見事な倒木上更新
針葉樹の森に分け入っていくと、しばしば倒木上更新に出会います。寿命が尽きて倒れた老木や風倒木が、自らの命を土台として新たな命をつなげていく光景は、森が世代を重ねて生き続けていることを教えてくれます。
エゾマツやトドマツの稚樹・幼樹が根を伸ばしている倒木は、風雨にさらされ表面には苔が生えていますが、やがて朽ち果てて地面と区別できなくなっていくことでしょう。
ところが、ときにはこんな倒木上更新もあります。倒木が地面に接触せず宙に浮いた状態のまま時が経過し、いつしか腐朽しはじめた幹は苔をいただき、そこに種子がこぼれて発芽したのでしょう。
あまりにも見事な倒木上更新に、しばし見とれてしまいました。 この倒木がさらに腐朽して地面に着地するのに、あとどの位の年月がかかるのでしょうか? 倒木上に並んだ兄弟たちのような木々が大きく成長するためには、倒木から地面へと根を伸ばさなければなりません。倒木が朽ちて地表に着くまで、この木々は倒木の上でじっと待つしかないのです。
熱帯や亜熱帯の森では、落葉などはすぐに分解されてしまうと聞きます。倒木の上に並んだ木々たちが大地に根を張れるときをじっと待っているこんな光景は、倒木が腐朽して地面と見分けがつかなくなるまでに恐らく何十年とかかる北国の針葉樹林ならではの光景なのでしょう。
ここのすぐ脇には風倒木処理との理由で皆伐された裸地が広がっているのです。自然の営みを無視した愚かしい行為による傷跡が癒えるには、どれだけの年月がかかることか・・・。
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