ちょっと不思議なオオウバユリ
我が家の庭でオオウバユリの花が咲きました。このオオウバユリ、別に観賞用に植えているわけではありません。だいぶ前のことですが、リースをつくるためにこの花の蒴果(果実)を採ってきた際、何気なく中に残っていた種を庭に捨てたのです。
すると、しばらくしてから庭のあちこちからつやつやした葉の植物が生えてきました。はじめは何の葉かわからずにいたのですが、しばらくしてからオオウバユリの実生だということに思い当りました。そのうちの一本がだいぶ立派な株になったと思ったら、蕾がでてきて花が咲いたのです。
オオウバユリはユリ科に属しますが、人の背丈ほどの大きさになります。森林の中や林縁で緑がかった乳白色の花をひっそり咲かせている姿は、美しいというよりちょっとドッキリとさせるものがあります。一回繁殖型多年草で、芽生えてから花が咲くまでに何年もかかりますが、花が咲くとその株は枯れてしまうのです。
地下には鱗茎があり、アイヌの人たちの重要な食料になっていました。もちろん彼らは採りすぎて絶やしてしまうことがないように気を配っていました。狩猟採取民族のアイヌの人たちは、あくまでも持続可能な採取生活をしていたのです。
エゾシカはユリ科の植物が大好物なのですが、このオオウバユリも例外ではありません。エゾシカの数が非常に増えたときは、大きくてつやつやした葉がずいぶん食害にあい、花をつけている株がほとんど見られなくなってしまいました。でも、エゾシカの減少とともに復活してきたようです。
さて、このように茎の先にいくつも花をつける植物の場合、下から上に向かって順に花が咲いていくのが普通です。ところが、良く見ると一番先に咲いたのは下の蕾ではありません。下から順々に咲いていくというより、真ん中あたりから咲き始めて上下に咲きすすみ、数日中に全部開いてしまうようです。こういう咲き方をする植物はあまりないのではないでしょうか。
花が咲く頃に葉が枯れてしまうことから「歯がない」ということ姥百合というそうですが、花の時期でも葉はまだしっかり緑色をしています。
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