露出度の高い文芸社
私は日ごろテレビをほとんど見ないのですが、先日ある人から「テレビで文芸社の本のコマーシャルをやっていたよ」との知らせを受けました。その人曰く「本のテレビコマーシャルなんて初めて見た」とも。例の血液型の本、今度はO型が出版されるようですね。
そこでどこの放送局かを聞いてみると、案の定、テレビ朝日系のHTB(北海道テレビ)でした。文芸社では協力出版(流通出版)で出版された本の中から毎年1作品を選び、テレビドラマ化してお正月に放映していますが、その放送局がテレビ朝日なのです。以前、そのテレビドラマをちらっと見て、文芸社のコマーシャルが流れているのにはたまげました。
あっ、別に本や出版社のテレビコマーシャルが悪いというわけではないのですよ。でも、本がテレビコマーシャルの対象になることなどほとんどないといっていいでしょう。テレビコマーシャルにどの位の費用がかかるのか知りませんが、出版不況のなかではたとえ大出版社とてテレビで本のコマーシャルなどできないのが実情なのではないでしょうか。
ところが文芸社はそれができるということです。文芸社の場合、基本的には著者に出版費用を出してもらう出版形態をとっているのですから、ベストセラーが出ればその売上金は純益につながり、自社のアピールのための広告費に回せるのでしょう。著者から費用を出してもらった本がヒットしたなら、「打ち出の小槌」のようなものです。
でも一般の商業出版社の場合は、ベストセラーの売上収益は他の赤字の本の制作費や会社の運営費などに回されてしまいます。文芸社は、今は血液型本がヒットしたのでかなり余裕があるのかもしれませんが、それにしてもかねてから新風舎とならんで批判されてきた共同出版社がテレビコマーシャルにまで登場するというのは・・・。
出版不況などどこ吹く風ということなのでしょうか。もっともベストセラーなどというのはパタリと売れなくなることもあるものです。
新聞や雑誌の広告にテレビと、メディアの露出度の高い文芸社ですが、メディアに露出する前に、疑問や批判に対して真摯な態度を示して欲しいものです。
昨日の「新文化」によると、草思社の新役員が決まったそうで、新しい代表取締役社長は文芸社の取締役販売部長の古内敏章氏、専務取締役も同じく文芸社第1,2編集部長の若林孝文氏とのこと。文芸社から出資をうけ、代表者も交代した草思社は、もはや今までの独自性が保てるとは思えないのですが。
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