原生花園と植生
一昨日は、十勝の海岸にイソちゃん(イソコモリグモ)の調査に行ってきました。頭の中はイソちゃんの調査のことしかなかったのですが、出かけてみるとちょうど原生花園は夏の花たちの季節だったのです。ノハナショウブ、エゾフウロ、ハマナスなどなど野の花たちが咲き競っていて、思いがけぬお花見になりました。
今の季節はセンダイハギやハマエンドウ、ヒオウギアヤメなどの花は終っていてちょうどノハナショウブの季節。ちょっとシックな赤紫の花が草原に彩りを添えていました。
北海道では原生花園があちこちにあります。小清水原生花園とかワッカ原生花園、サロベツ原生花園などが有名ですね。原生花園という名前からは自然のままのお花畑を連想させますが、必ずしもそうではありません。小清水原生花園では以前は牛や馬を放牧していたのです。それで家畜の食べない植物が美しい花を咲かせていました。
しかし、放牧をやめてしまうと外来の牧草などが繁茂したり枯れ草が堆積し、きれいな花を咲かせる植物が衰退してしまうのです。小清水原生花園では原生花園らしい光景を取り戻すために放牧をしたり火入れ(野焼き)をしたりしています。これについては以下のサイトに説明されています。原生ではない原生花園なのです。
http://www.dosanko.co.jp/koshimizu/guide/digimail/symposium/document.html
十勝でも十勝川河口の豊北原生花園のほか長節湖、湧洞沼のほとりなどに原生花園がありますが、放牧や火入れをしているという話は聞きません。道沿いには帰化植物も侵入してきていますので、植物相が少しずつ変わってきているのかも知れません。
長節湖の原生花園は、ひょろひょろと伸びる丈の高いエゾノヨロイグサとビロードのような花をつけたノハナショウブの織りなす幻想的な光景が広がっていました。季節は違うのですが、もう30年以上も前の学生時代、夏の終わりにここを訪れたことがあります。大津からてくてくと歩いたものです。
8月下旬のその時期には、野に咲く花々はすっかり秋の彩りになっていました。でもこのエゾノヨロイグサの茂る草原はその時の記憶とはちょっと違う印象を持ちました。さて、この光景は昔からの光景なのでしょうか? そして何年かしたら変わっていくのでしょうか?
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