皆伐地あれこれ
2004年の台風18号は道内の各地で風倒被害を出したようで、風倒木処理のために皆伐にした天然林を何箇所も見かけました。
これは北見市で見かけた皆伐地です。たぶん国有林でしょう。作業のためにブルドーザーで道をつくって段々畑のようにしています。ただし表土をすべて剥いでいるわけではありません。ここの場合は、すべての木を伐って搬出したのではなく、倒れなかった木や幼木は残されているようです(写真は3月に撮影したものなので広葉樹はまだ葉が出ていません)。
こちらは、滝上町の国有林の皆伐地です。倒れなかった木もあると思うのですが、すべて伐ってしまっています。やはりブルドーザーで段々畑みたいにしていますが、表土をすべて剥いでしまったわけではないようで、草本に被われてきているようです。今はどこもこのようにブルを入れて作業をするので、斜面が急なほど表土が傷つけられます。この近くの別の皆伐地はもっと急傾斜で、土がむき出しになっていました。大雨が降るたびに土砂が流出して崩れていくことが懸念されます。
さて、こちらは例の大雪山国立公園のタウシュベツの皆伐地です。かなりの急斜面のうえに、表土が全面的に削られています。皆伐してから2年以上経っているのに、植物はほとんど生えていません。最悪の状態です。こんな酷い皆伐現場はなかなかあるものではありません。この光景に、同行したマスコミの方たちも愕然としていました。ところが環境省の職員は現場をみて「皆伐地ってこんな感じかという印象」と淡々と語ったのです。環境省の職員がですよ! この感覚には呆れました。
ここは木材生産を目的とした人工林ではないんです。国立公園の特別地域内の天然林です。しかも公益的機能を重視する保安林なのですけどね・・・。洞爺丸台風のときも大きな倒木は搬出しましたが、こんな状態にはしなかったはずです。それでも自然の力でちゃんと森林が再生されました。林野庁が、本当に問題がないと思ってこんなやり方をしたのなら、森林管理者として失格でしょう。
5日の自然保護団体と林野庁・環境省との合同視察については、「天然林皆伐で林野庁・環境省の弁解」にも書きましたが、JANJANにも投稿しました。
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