ミズナラと霜害
北海道の山々はすがすがしい緑に覆われました。多くの木は新緑をとおりこして、緑が色濃くなってきました。
ところが先週、滝上町に向かっているとき、山の斜面にまだ緑になっていない木々が点々とあることに気付きました。写真の茶色っぽく見える木です。木の開葉の時期は樹種によって異なりますが、こんな季節になってもまだ葉を開いていないのはどうしたことか?
そこで思い出したのが、霜害です。5月中旬に富良野のあたりを通ったとき、ミズナラの新芽が霜にやられて茶色くなっていました。そういえば、その少し前に強い霜が降りたのです。我が家のエゾマツの新芽も赤茶色になっていました。
ヤナギなどは早くから葉を出しますが、ミズナラやヤチダモはいつまでも枯れ木のようで、「まだ~?」と思うくらい開葉が遅いのです。またトドマツとエゾマツではエゾマツの方が芽が出るのが早いのですね。早くから葉を開けばそれだけ早くから光合成ができるのですが、寒さに弱い新芽が霜の害を受ける可能性が高くなります。開葉の遅い木は、霜害のリスクを回避しているといえそうです。
ところが今年のように春先の気温が高いと開葉の時期も全体的に例年より早くなります。霜を避けて遅めに新芽を出す戦略をとっていても、霜にあたると霜害を受けることになってしまいます。
どうやら霜害を受けたミズナラは、その影響で開葉が遅れてしまったようです。なんだか皮肉ですね。
こちらはサロマ湖のほとりにあったカシワの木。まだ葉は伸びきっていませんが、花が咲いていました。垂れ下がっているのは雄花です。カシワもミズナラと同じく開葉が遅いのですが、場所によってこんなに違うのですね。
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