遥かなる北極圏
しばらく更新していませんでしたが、この間、母と私と娘の母子三代でスウェーデンとフィンランドに行ってきました。といってもこの北欧旅行、4月に入ってから急に行くことになり、飛行機・列車・ホテルを予約しただけで出かけたという全くの準備不足。海外旅行は北海道のお隣のサハリンへ地質見学のツアーに一度参加したことがあるだけなので、初めて同然なのです。そのうえ英語もダメ。
乗り継ぎのためにフィンランドの空港に降り立ってから「こりゃ、ちょっと無謀だったか・・・」と思った次第。ちょっとしたアクシデントもありましたが、何とか予定どおりヨーテボリ・ストックホルム・ヘルシンキを巡って無事に帰ってきました。
この旅行のひとつの楽しみは、飛行機からシベリアやラップランドなどの北極圏を見ることでした。かなり高度の高いところを飛ぶので、もちろん雲があると全く下の景色が見えないのですが、それでも往路では雲の合間から東シベリアの山岳地帯や湿原、北極海周辺やフィンランドの海に無数に浮かぶ島々(写真)を見ることができました。
はじめて知ったのですが、飛行機のカメラからの映像が座席のモニターに映しだされるようになっているので、窓側に座れなくても下の様子がわかります。往路は窓とモニターの映像から下界の光景をちょこちょこと見ることができました。残念ながら帰路はカメラのスイッチが入っていなかったようで、モニターは真っ黒でした。
いつも小さな日本列島だけを見ている目には、シベリアやラップランドの光景はあまりにも壮大で息を飲むほどの魅力を感じてしまいます。ハバロフスク周辺に広がる湿地帯や河川、それにつづく東シベリアの広大な山岳地帯は、原始の姿を留めているところも多いのでしょう。ツンドラに広がる湖沼や湿原、大きく蛇行して海へ注ぐ河川は、上空から見る限りでは人跡未踏としか思えない大自然に見えます。
私はどうしても熱帯より北方の自然に魅力を感じてしまうのですが、とりわけシギやガン・カモなどの水鳥たちの繁殖地であるツンドラ地帯の湿地に関心をそそられてしまいます。学生時代には時間さえあれば干潟に出かけ、シギやチドリなどの水鳥ばかりを見ていたせいもあるのでしょう。彼らの繁殖地をいつか訪れてみたいと思ったものです。それに、ツンドラに生息する北方系のサラグモ類に大きな興味を引かれます。もっとも本当に湿地帯に下り立ったなら、途方もない数の蚊やブユに襲われて大変なことになるのでしょうけれど・・・。
最終氷期にはスカンジナビア半島は大陸氷河によって覆われてしまったのですが、空からの光景はフィヨルド地形や湖沼をつくりだした氷河の力をまざまざと感じさせてくれます。
はるか上空からその広大な自然を眺めている限り、人の手によって破壊や汚染がされていない大自然が息づいているとしか見えないのですが、実際には北極圏にも暮らす人々がおり、また人間の活動による気候変動などがこんなところにまでさまざまな影響を及ぼしているのでしょう。
人類による自然破壊がはっきりわかるのも飛行機からの光景です。区画整理された農耕地や単調な色合いの植林地などは一目瞭然であり、人が開拓してきた土地の広大さにも圧倒されます。飛行機からの光景は、大自然の壮大さとともにそれを切り刻んできた人類の開拓を見せ付けられ、なんともやりきれない思いにかられてしまいます。
ということで、北欧で感じたことなどを何回かにわけて報告したいと思います。
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