「考える会」の弁明?
昨日「新風舎商法を考える会」のHPが久々に更新され「新風舎破綻の真相、1昨年から危機の兆候が・・・ 信頼回復に向かって動き出す自費出版業界」という記事が掲載されていました。
倒産の理由は提訴やそれに関する報道のためではなく、放漫経営だという説明がなされています。私はこれを読んで「あっ、私のJANJANの記事に対する弁明だな」とすぐに感じ取りました。
でもね、この説明どう読んでも「提訴やそれに関する報道が倒産の引き金にはなっていない」という説明にはなっていません。「応募原稿は読まない」とか「広告代金の支払が滞っていた」とか、「前受け金を使い込んだ」とか、新風舎の問題点が連ねられているだけ・・・。
私も新風舎の実態がひどかったことは認めますよ。でも、「応募原稿を読んだ、読まない」ということ以上に、商品とならざる原稿にまで流通を勧めたり、アマチュアの原稿を流通レベルに高めるような編集をしていないことの方が問題ではないでしょうか? ならば、文芸社だってほとんど同じといえるでしょう。文芸社は確かに原稿を読んでいるのでしょうけれど、棚に並んでいる本を見れば「本当に売れるの?」と疑問を抱くような本が多々あります。
読者を顧客にすべき契約書を用いながら、本の販売によって経営をしているとは思えないことがこの商法の問題なのです。そして同様のことをやっていると考えられる出版社はたくさんありますよね。相変わらず論点がずれています。意図的にずらしているのかな?
また、新風舎の一部の社員が上司に疑問をぶつけたり改革の提言を行ったが、それがことごとく潰されて契約を取り捲り、編集能力を超えた受注を重ねたことで破綻に向かったとのことが書かれています。それでは文芸社は改革しているのでしょうか?
確かに小手先の改革はしたでしょう。著作者保護制度とか、売上還元タイプの創設とか、提携書店の強化とか。以前やっていた著名人を広告塔に使うことは控え、ヒットしたアマチュア作家を広告塔にしているようですね。でも、本質的な改革をしているとは思えません。文芸社が批判を受け入れて改革を目指す会社なら、被害者の会である「共同出版・自費出版の被害をなくす会」の質問書に対して誠実に回答するのが筋というものです。
そして、リタイアメント情報センターのガイドラインの宣伝をしています。「事業者にとってはかなりハードルの高いガイドライン」なのだそうです。文芸社はこの高いハードルもクリアしているから問題ないと考えているのであれば、驚きです。もっとも文芸社はガイドラインの賛同事業者には入っていませんから、拘束されるようなこともないのでしょうね。このガイドラインは以下の記事でも指摘しているように、私にとっては疑問が多いんです。
さらに、他の自費出版社にも問題が残っているとして、新風舎の元社員たちが動き始めていることにも言及しています。これって、JPS出版局の高石左京氏が宣伝しているパブネットのことを指しているのでしょうか? 高石氏は文芸社に譲渡されるはずだった作品を勝手に出版させてしまいましたからね。文芸社から睨まれる存在になったといえるでしょう。
JPS出版局に問題がないとはいいませんけれど、批判されている共同出版社のように契約内容と実態がかけ離れているわけではなく、新風舎などと同レベルで問題視すべきではないでしょう。あえていうなら、利益のためにやっているのではないと弁明していることや編集内容でしょうか。
さて、ちょっと驚いたことがあります。リタイアメント情報センターは4月26日に「失敗しない自費出版のススメ」というタイトルで出版相談事前セミナーを開催するそうです。自費出版編集者フォーラムは、だいぶ前からこの日の同じ時間帯に総会・座談会を予定していました。リタイアメント情報センターに関っている一部の業界関係者もこちらの座談会のパネリストになっています。同日同時間帯とはずいぶん偶然ですね。
「出版相談事前セミナー」とのことですが、中立であるべきNPO法人が、特定の事業者による出版相談会を主催するということにも疑問を感じてしまいます。セミナーを開催するのであれば、利害関係のない人に講演を依頼するとか、せめて複数の講師に依頼するとかすべきではないでしょうか。
そうそう、高石氏は5月11日にやはり都内で有料の「本作りセミナー」を予定していますが、その前にリタイアメントの無料のセミナーがあるわけです。こういう状況にも、なんだか意図を感じてしまうのですよね。考えすぎでしょうか・・・。
それにしても被害者組織の「考える会」とNPO法人の「リタイアメント情報センター」というのは、いったいどういう関係なんでしょうか? 文芸社との癒着疑惑を持たれている尾崎浩一氏が両者に共通していることは明らかですけれど、「考える会」のメンバーの皆さんはこのような状況に疑問を抱かないのでしょうか?
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