魑魅魍魎の出版業界
新風舎の事業が文芸社に譲渡されて不可解に思うのは、あれだけ騒いでいた「新風舎商法を考える会」の動きです。昨年はあちこちのマスコミに露出していたようですが、すっかり沈黙してしまいました。「裁判どうなってるの?」にも書きましたが、提訴時には記者会見までした裁判の動きはさっぱりわかりません。
文芸社に事業譲渡されたというニュースが報道されても、マスコミは譲渡先の文芸社や同様の商行為を行っている出版社については何も批判的な報道をしていないようです。弁護士先生がお墨付きを出したから?
つい先日もある新聞記者と話しをする機会がありましたが、共同出版の話題になったら苦笑いをしていました。本気で何も問題がないと思っているわけではないのでしょう。でも書けない、それが現実なのだと思います。新聞記者はネタ探しには熱心なのですけれど・・・。それにしても、昨年はどうして新風舎ばかりが目の敵のように批判されたんでしょうね?
新風舎の広告塔になっていた井狩春男氏は出版取次の鈴木書店に勤務していたのですから出版業界のことに詳しいはずですが、新風舎の商法をどう考えているのでしょうか? 自分の責任を感じていないのでしょうか? 広告塔になっていた著名人の無責任ぶりにも呆れてしまいます。
ということで、以下の記事を書きました。
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(24)新風舎倒産の疑惑と批判できないマスコミの不甲斐なさ
私は、出版業界というのはもう少し堅気の商売だとばかり思っていました。出版というのはメディアの一員ですし、マスコミの多くは出版部門ももっているのです。何よりも信頼性を重視しなければならない業界ではないでしょうか。でも実態は、魑魅魍魎がうようよしている世界のようです。長引く出版不況で出版業界が大変なのはよくわかりますが、それでもやっていいことと悪いことの区別くらいはしてほしいですよね。利益のために人を騙すようなことだけは許せません。
もちろんそんな業界であっても、地道に頑張っている出版社もあるはずです。商業出版であっても自費出版であっても、一人でも多くの人に読んでもらいたいと著者とともに努力している出版社だってきっとあるでしょう。ただし、そのようなところはあまり目立ってはいないのでしょうね。
アマチュアが本を書いて販売することを非難する人もいるようですが、私はたとえプロのもの書きではなくても、何千部も売れなくても、本を出版することを否定するつもりは毛頭ありませんし、出版はひとつの文化だと思っています。アマチュアだって発言したり表現する権利はあります。ただ、作品の内容やレベルに見合った出版をすべきですし、悪質な商法に引っかからないような注意が必要だということです。
昨年から猛然と繰り広げられた新風舎への批判によって、アマチュアの人が本を出すことや著者が費用を負担する出版への批判や不信感が強まってしまったのではないかと気になります。契約内容も確認せずに的外れな批判をしている人もいたようですが、そんな発言が広まってしまったら出版文化の妨げになりかねません。
でも、つくづく思います。魑魅魍魎がうようよするなかで良心的な出版社や出版サービス会社を探すのはとても大変なことだと。
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