不思議なツルマサキ
写真の光景、ちょっと不思議だと思いませんか? 遠くから見ると落葉広葉樹林の下に、トドマツなどの針葉樹が生えているかのように見えますが、よくよく見ると針葉樹ではありません。
これはツルマサキというニシキギ科の常緑広葉樹です。つる性の木本で、気根をもっていて他の樹木によじ登ることができるのです。
本州では普通に見られるようですが、北海道ではそれほど多くありません。北海道のような寒冷な気候条件のところでは、寒さや乾燥から身を守るために落葉広葉樹や針葉樹が主体となります。このために北海道で生育できる常緑広葉樹はごく限られていていますし、雪の下で越冬するような潅木が多いのです。しかし、このツルマサキは葉を大気にさらしながら寒い冬を乗り切っているようです。
この写真は、空知地方の国道沿いにあるヤチダモ林です。ここにはヤチダモ林とヤナギ林があるのですが、ツルマサキはヤチダモにばかりついています。どうやらツルマサキはヤチダモとは相性がいいようです。
ヤチダモは開葉が遅く落葉が早い植物ですから、少しでも長く日光に当たりたいツルマサキにとっては好都合なのかもしれません。ツルマサキも絡みつく相手をちゃんと選んでいるのでしょうか?
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