青いクモ
だいぶ前のことになりますが、「苫小牧の港の近くの貯木場で青いクモが採集されたので見て欲しい」といわれて送ってもらったことがあります。
送られてきたクモを見て、ドッキリしました。とにかく全身が原色のブルーなのです。形からオニグモ(コガネグモ科)のクモであることがわかりましたが、こんな色のクモは日本にはいません。港の近くの貯木場・・・とすると、外材に紛れて南の国から運ばれてきたのでは? となると名前を調べるのは大変です。
クモの生殖器を確認しようと思ってひっくり返してから「おや?」と思いました。なんと、背面側は真っ青なのに腹面はまだらなのです。そして、顕微鏡で覗いて謎が解けました。何と、この青いクモさんは背面からカラースプレーをかけられたオニグモだったのです。顕微鏡で細部を見れば表皮も毛も同じ青ですし、一部がまだらになっていることからも、その青がもともとの体色ではなく塗られたものであることがはっきりわかってしまいます。
山から伐り出された丸太には、赤や青のスプレーで印がつけられていることがあります。おそらく丸太に止まっていたオニグモが、不運にもそのスプレーをたっぷりと浴びせかけられたのでしょう。ただし、腹面にまでスプレーがかからなかったのでまだらになったのです。また、クモの呼吸器官は腹面にあるのですが、そこにはスプレーが付着しなかったので呼吸するには問題がなかったようです。
「南国からの珍客?」という仮定はあっけなく崩れ去ったのですが、それにしてもあんな真っ青なクモを見つけたならだれだってびっくりするでしょうね。
ところで、私たちが普通目にするクモの多くは茶色系統などの地味な色が多いのですが、カラフルなクモもいろいろいます。赤、オレンジ、黄、緑、白など。北海道にもその名のとおり赤いアカオニグモとか、黄色のキバナオニグモ、緑に輝くエゾアシナガグモ、白いヒメハナグモなど、とても綺麗な色のクモがいます。ところが、よくよく考えてみると青いクモというのが思い当たりません。
アオオニグモというのがいますが、青ではなく薄い緑です。アオオビハエトリというクモはたしかに青光りする部分があるのですが、原色のような青というわけではありません。昆虫には目の覚めるような瑠璃色のハムシやカミキリムシがいます。また綺麗な青色をもつトンボやチョウなどもいますが、どういうわけかクモには青いものが非常に少ないようです。
クモの多くは積極的に狩りをするというより待ち伏せ型ですから、体の色もまわりの環境に合わせているのかもしれません。自然界には緑や黄色、赤などの色彩は多くても、青というのはほとんどありませんから。
ところで、先日こんなサイトを見つけました。タランチュラの仲間ですが、何と脚が綺麗な青ではありませんか! こんな写真を見ると目が輝いてしまうんですよね、蜘蛛好き人間は(こんなこと書くと、たぶんかなりの変人だと思われるのでしょうね・・・)。
好奇心旺盛な方は以下のサイトをどうぞ。でも、クモが嫌いな方は見ないほうがいいような・・・。
http://avimania.exblog.jp/7674343/
こんなふうに、全身青いのも!
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