呆れ果てるマスコミ
碧天舎の倒産、新風舎の倒産で、マスコミはどのような役割を果たしたのでしょうか?
大手新聞社は原稿募集の新聞広告を掲載して著者を引き込みました。大手新聞社の広告なら安心だと思って契約した著者も多かったのではないでしょうか。朝日新聞などは新風舎の提灯記事まで書きましたし、文芸社があたかも問題のない出版社であるかのように受け取れる記事も書きました。
ところが、それらの出版社が主として行っていた共同出版は詐欺的な商法であったわけです。詐欺的というのはもちろん出版社と著者で費用を分担するとしながら出版社は何ら負担せず、実際の出版費用を上回る請求をしていたということです。契約と実態が異なり、本が一冊も売れなくても利益が上がるという出版社にとって非常においしい商法で、不公正な取引だったことがわかりました。
では、新聞はその商行為についてどれだけ問題点を伝え、警鐘を鳴らしてきたでしょうか? 新風舎の例でいうなら、一部の著者が起こした裁判やそれに関連することばかり取り上げました。つまり「書店にほとんど本が並ばなかった」ということや賞ビジネスがもっぱらの話題になったのです。そして、不当な費用請求についてはほとんど話題にされませんでした。
共同出版の疑惑については、私は2005年からJANJANに投稿していましたから、その本質的問題点はネットで調べればわかったはずです。しかしマスコミは、新風舎商法を考える会」をつくり著者らを提訴させて新風舎問題を広めた尾崎浩一氏の主張をそのまま伝えたのです。これによって、共同出版商法の本質がますます見えにくくなってしまい、提携書店の棚を有料で借りて本を並べている文芸社は問題ないかのような雰囲気が作り出されました。しかも、尾崎氏は新風舎の契約がサービスの契約であり著者は消費者だといういい加減な解釈を撒き散らしたのです。
さて、新風舎の倒産後、出版権が消失していない新風舎の原稿を出版してしまい、販売されている方がいます。「俺、マジダメかもしれない・・・」という本です。この著者の方は、ご自分が新風舎と交わした契約を理解されていなかったのでしょうか? もし契約内容をきちんと理解されていたなら、今回の出版は断わるか延期していたことでしょうね。なぜなら、出版権を出版社に設定している原稿を別の会社から出版することは法に抵触する行為だからです。
新風舎の財産が保全管理人弁護士の管理下にある状況のもとでは、財産的価値のある本のデータは債権なのです。出版権が解除されたり消滅していない以上、著者といえども勝手に出版することはできません。保全管理人弁護士は本のデータが新風舎に所有権のある財産であることを伝えています。また、弁護士は外部委託先や印刷会社にも、データをそのまま保管しておくように伝えています。その文書をJPS出版局の高石左京氏自身が自分のブログにアップしています。外部編集者の方は、なぜ保管しておかなかったのでしょうか?
その出版の実現にむけて編集者と著者を結びつけ出版させた高石左京氏からは、どんな説明を受けていたのでしょうか? 出版契約のことがよくわからない著者にいい加減な持論を説明して契約させたのであれば、とんでもない非常識者です。
高石氏はあちこちのマスコミに取材依頼をしたようですが、業界関係者が介入して債権であるデータをつかって違法と判断される出版をしてしまったというこの不祥事を、マスコミが何も調べずに報道したのであれば、これまたとんでもない失態でしょう。
共同出版問題に関してマスコミのやってきたことは「どうしようもない」の一言です。
そして、新聞社は相変わらず、新風舎と同様の商行為を行っている出版社の原稿募集の広告を掲載しています。責任などというものを持ち合わせていないとしか思えません。
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