思考停止の行き着く先
過酷で低賃金の労働環境に対して何も言わない人々、政治や社会についての会話をしない若者たち、君が代強制を黙認する多くの教職員や親、悪質商法の被害にあっても泣き寝入りするだけの人々…。
日本人は自分の頭で考え行動することを放棄しつつあるのではないでしょうか? いったいいつからこんな思考停止状態になってしまったのでしょうか?
ある東京都の教職員と話しをしていたとき、「同僚から組合などには関わるなと言われるし、組合なんて入っていたら仕事ができない」といわれたことがあります。これを聞いたときには、耳を疑いました。日教組の内情はともかくとして、組合に入って教員としての権利を守ろうとは思わないのでしょうか? そこからは体制になびいているだけの教師の姿しか見えてきません。
東京都といえば、「君が代」の不起立で教師たちを処分していますが、教師自身がこんな感覚なら、思想・信条の自由を否定されていることに怒りもせず平然としていられることが理解できます。
東京都の教員である根津公子さんが、日の丸掲揚、君が代斉唱での不起立を貫いて処分を受けていますが、多くの教師たちはこうした同僚の行動を「見て見ぬふり」なのでしょう。この構図は、いじめを見ても傍観している子どもたちといったいどう違うのでしょうか?
教師が分別をもった大人であり、子どもたちを指導する立場である以上、子どもたちのいじめより低レベルではないかと思えてしまいます。人間として…。
根津さんは、多様な意見を認めたうえで、自分の意志を貫いているのです。誰も不起立しないからこそ自分で不起立を実行しているのです。そしてこの問題を自分の頭で考えて行動するように訴えています。「自分の頭で考えて行動する」という最も基本的なことができない大人がいかに多いことか! この国の国民の重症の病としかいいようがありません。日本国民はもう瀕死状態ですね。
周りの人に同調し、上からの言いなりになり、保身ばかりを考える。自分が楽しいと思うことにしか興味を示さない。そうした態度が、やがては自分の首を絞めてしまうことに気付きもしないのでしょう。
自分で考えようとせず、過去からも学ぼうとしない。まるで頭がピーマン(空)ではありませんか。
卒業シーズンの今、根津さんや彼女を応援する人たちの思いを多くの人に知ってもらいたいですね。
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