春一番のウヅキコモリグモ
今年の十勝地方は、例年より春の訪れが一ヶ月ほど早いような感じです。なんだか雪かきらしい雪かきをしないうちに、春になってしまいました。北海道に来てから28年になりますが、こんな年も初めてです。
こんな早春に一番よく目立つクモは、ウヅキコモリグモです。空き地や林縁、川原など開けたところを好むこのクモは、雪が融けてポカポカと暖かくなるとどこからともなく湧き出すかのように姿を現します。じっとしていると落葉や枯れ草に紛れて目立たないのですが、人が歩くと足元から飛び出てくるのでその存在に気づきます。
北海道では多くのクモが小さな子グモで越冬するのですが、ウヅキコモリグモは成体の少し前くらいの状態で越冬するのです。春先にはかなり大きな体になっていますから(といっても7~8㎜くらいでしょうか)、他のクモより目立つのです。
ウヅキコモリグモのウヅキとは卯月(4月)のことで、本州では4月には成体が見られるところからそのような名前がつけられたようです。でも、北海道では成体になるのはまだ少し先の5月頃です。今の時期は雄も雌も同じような外見をしていますが、雄は成体になると黒っぽく変身します。
網を張らない徘徊性のクモですが、餌の捕獲を網に頼らないからこそ飛翔性の昆虫の少ない季節でも活動できるのでしょう。もっとも徘徊性といっても積極的に狩りをしているというより待ち伏せ型のようです。そして、このようなクモを狙っている野鳥もいます。
暖かさにつられて外に出てウヅキコモリグモを見かけると「春がきたな・・・」と、ちょっと嬉しくなります。
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