絶滅危惧種を釣る不思議
22日の北海道新聞に「イトウ 繁殖期の釣り自主規制」という記事が掲載されていましたが、これを呼んで「おやっ?」と思った人も多いのではないでしょうか。
環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているイトウを保護するために、北海道は繁殖期の釣り自粛を呼びかける方針を固めたという内容の記事です。
国や地方自治体は生物多様性保全のために、絶滅の恐れのある野生生物をレッドリストとして選定しているのですが、そのような保護が必要な種であっても法的には捕獲が禁止されているわけではありません。
このために保護が必要とされている魚であっても釣りをすることができます。イトウだけではなくオショロコマも同様です。なんとも不可解ではありませんか。
クモのように採集する人がほとんどいない生物は、たとえ絶滅危惧種に指定されていたとしても採集圧による減少などということはまずないといえますが、魚は状況がまったく異なります。
私は釣りはしませんが、釣り人というのは驚くほど大勢います。その大半は趣味として楽しんでいるのですから、道楽で絶滅危惧種を捕獲してもよいとしていることになります。
魚だけではありません。エゾライチョウは環境省のレッドリストで情報不足というカテゴリーに入っているのですが、狩猟鳥獣なのです。だからハンターに鉄砲で狙われることもあるわけですね。
研究のための採集ならともかく、保護すべき動物が趣味のために捕獲しても良いことになっているというのは、理解に苦しみます。
マニアの多い昆虫などでは、天然記念物などに指定されていて採集禁止になっている種が多いのです。採集圧の大きな生物こそ、もっと実効力のある保護策が必要なのではないでしょうか。
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