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2007/12/05

見識が問われる新聞記事

 今日の北海道新聞の一面のど真ん中に掲載された写真を見て、唖然としてしまいました。

 その写真とは、石狩の機械工場で飼育しているというヘラクレスオオカブトムシです。記事によると、石狩市の機械メーカーが多角経営の一角としてヘラクレスオオカブトムシと外国産クワガタムシを大量に飼育し、二年後をめどに販売するとのこと。

 いやはや、何と言うことか!

 外国産のクワガタムシやカブトムシがブームとなって高額な値段で販売されるようになって久しいのですが、その一方でこれらの外来種が逃げ出して在来種と交雑するなど、生態系に悪影響を与えていることがかねてから指摘されてきました。外来種の野生化は、ときとして在来種に致命的な影響を与えかねません。

 国も「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」によって、外来種の駆除に重い腰を上げて動きはじめています。この法律によって、遅ればせながら環境省も、ウチダザリガニやセイヨウオオマルハナバチの駆除などに取り組み、北海道新聞でもしばしば外来種問題を取り上げてきました。

 ウチダザリガニは食用として、セイヨウオオマルハナバチはハウス栽培のトマトの受粉用として導入されたものですが、野生化の危険性を十分検討せずに導入し、取り返しのつかない状況にまでなってしまったのです。

 生物多様性の保全が叫ばれるなかで、ブームに乗じて外国産の昆虫を販売目的で大量飼育するなどということ対し、マスコミは問題点を掘り下げて警鐘を鳴らすべき立場です。

 それにも関らず、このような記事を一面に掲載するなどというのは、新聞社の見識が問われるというものです。記者やデスクが外来種問題についていかに不勉強であるかが伺えますが、せめて掲載前に昆虫の専門家などに意見を聞くべきでしょう。

 ここには日本のジャーナリストがいかに問題点を的確に捉えておらず、状況が見えていないかが如実に表れています。

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