違法行為だけが問題なのか?
北海道の自然保護団体などは、大雪山国立公園の特別地域で風倒木処理の名目で行われた皆伐と、沢を破壊してつくられた作業道について、12月3日に北海道森林管理局(林野庁)と北海道地方環境事務所(環境省)に質問書を提出し、17日にはそれぞれの事務所を訪問して交渉をもちました。
その交渉の記事が18日の新聞各紙に掲載されたのですが、どの新聞記事も林野庁と環境省の「伐採や作業道は適正」という見解を伝える内容でした。
「記者クラブに浸かった軟弱ジャーナリズム」に書いたように、北海道で行われている天然林伐採問題に関する報道は、大半が低レベルとしかいえないものです。
確かに自然保護団体は、問題のひとつとして「事前協議」なしに土地や沢の形状を改変をし、自然公園法に違反している恐れがあると指摘していますが、それだけが問題なわけではありません。ところが、違法疑惑にピリピリしている林野庁と環境省は「適正」ということばかりを主張し、マスコミもそのことばかりを報じたのです。
裏を返せば、責任がないことを主張したい林野庁と環境省の姿勢、さらに違法ではないことは報じたくないというマスコミの姿勢があります。そのマスコミの姿勢がどこからきているのかといえば、行政にたてつきたくないというところにあるのでしょう。要するに批判をしたくないのです。
さて、大雪山国立公園の皆伐問題については、12月7日号の週刊金曜日でも大きな写真とともに報じられました。ここでは違法疑惑だけではなく、天然林伐採のあり方や背景にも言及しています。国立公園の特別地域という本来環境保全を優先すべきところで、多くの人があきれ果てるような皆伐をしているのです。
「国立公園で木を伐る日本の恥」や「無惨! 国立公園の森林」にも書きましたが、国際的に見ても国立公園で伐採をしていること自体が恥ずべき行為であるのに、皆伐をしてブルドーザで土壌をメチャメチャに撹乱し、沢の生態系まで破壊していることを、環境省やマスコミはどう考えているのでしょうか?
環境省が、「違法ではないから関係ないし、責任もない」と考えているとしたら、とんでもないことです。マスコミは、満足な現地調査もせずに林野庁に同調する環境省の姿勢を疑問に思わないのでしょうか? 恐らくそんなことはないでしょう。でもそれは書かないのですね。
無惨な皆伐行為に何もいえず弁解しかしない環境省、そして違法性云々にばかりこだわり行政側の言い分だけしか報道しないマスコミは情けないばかりです。
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