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2007/11/09

メディアがつくった血液サラサラ詐欺

 「血液がサラサラ・・・」っていう表現、近年よく聞くようになりました。でも、いつも不思議に思っていました。サラサラの血液とかドロドロの血液なんてあるのかって。

 一般的な感覚としては、サラサラという表現は粘性がない液体で、ドロドロというのは粘性のある液体です。確かに人によって血液の成分の割合は違うのでしょうけれど、それによって血液がサラサラだったり粘性を帯びてドロドロだったりなんてことがあるのでしょうか?

 先日、「ブレスレットをつけていると血液がサラサラになる・・・」と嘘をいって高額なブレスレットを売りつけたという詐欺が発覚しました。血液検査と称して採血した血を顕微鏡で見せ、その後ブレスレットを装着させてからまた血液を採り、ガラス板を押し付けて赤血球を拡散させて「サラサラになった」と信じ込ませたといいます。

 その新聞記事にコメントしていた医師は、「そもそも血液にどろどろやさらさらという定義はない」といっています。冷静に考えれば、ブレスレットをつけることで血液の性質が変わるなどということは考えられません。それなのにこんな詐欺が堂々と働けたのは、多くの人が「ドロドロの血液は健康によくない」と信じこまされていたからでしょう。

 そう信じ込ませたのは、テレビとか健康雑誌ではなかったでしょうか? これらのメディアが、しきりに「血液サラサラ」を喧伝し、ドロドロは大敵との思い込みを植えつけてきたのではないでしょうか? そして、それに対して「そんな定義はない」ときっぱりと否定する論説を載せたメディアはあったのでしょうか? 

 この詐欺の被害者は、まさにメディアの被害者でもあったのです。でも、メディアの被害者はこの詐欺にあった方たちだけではありません。今や大多数の市民がメディアの被害者といえるのでしょうね。

 メディアの不適切な報道によって、大勢の人が「思い込む」というのは、とても恐ろしいことです。それが「血液サラサラ・・・」などということだけではなく、もっと重要なことであったら・・・。

 たとえば「戦争をしなければ世の中がよくならない」と思い込んだらどうでしょうか?  しかし、それをメディアのせいだけにしてはいけないはずです。騙されない目をもつこと、そしてもし騙されたら黙っていないこと。そうしなければ平和も民主主義も守れないのではないでしょうか。

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