イチイの実と野鳥
イチイ(オンコ)は高さが10メートルから15メートルほどになる常緑樹で、9月から10月に枝先に点々と宝石のような赤い実をつけます。
我が家の庭のイチイも10月ごろまでは赤い実をつけていましたが、早々と小鳥の餌となってしまいました。
赤い実をつける樹は、野鳥や獣に種子を遠くに運んでもらうために、種子のまわりにおいしい果肉をつけるのです。赤い色は鳥や獣に見つけてもらうための目印です。ところが、イチイの実を食べにくる野鳥を見ていると、不思議なことに、種子の運搬にほとんど役立っていないようです。
太くがっちりした嘴のシメはイチイの実が大好きなのですが、赤い果肉の中から種子だけを取り出し、砕いて食べてしまいます。おいしそうな果肉はもったいないことに捨ててしまいます。
コガラやハシブトガラ、ヒガラなどのカラ類も、果肉はほとんど食べずに種子だけを取り出すと、どこかに運んで貯食したり、鋭い嘴でつついて食べたりているようです。種子を割って食べてしまうのでは、イチイにとっては迷惑でしかありませんね。
スズメも食べにきますが、こちらは赤い果肉だけを食べて種子を捨ててしまいます。これでは種子が遠くに運ばれません。
我が家のイチイの種はどうやらほとんど遠くに運ばれることがないようです。何のためにわざわざ赤い実をつけて小鳥を招いているのかわかりませんね。でも、実を丸呑みするヒヨドリやツグミが食べてくれたら、たぶん種子を遠くに運んでくれるでしょう。
ところで、図鑑を見ると、イチイの種子は有毒と書かれていました。人間には有毒な種子も、シメやカラ類にはとっては毒ではないようです。
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