原告の主張を展開します
12日は、「えりもの森裁判」があったために、またまた札幌に行ってきました。
原告らは6月に、「支障木」や「地ごしらえ」のことを中心に、23項目の求釈明を求めていました。被告は8月10日付けの準備書面でそれに対応しているのですが、その多くは原告の疑問を解消するような答えになっていません。
たとえば、前回の公判では「伐倒の支障になっていない支障木」があると、写真や図を利用して示しましたが、それでも具体的な根拠を示さずに「伐倒支障」だと主張しています。そもそも、裁判を起こしてから、「支障木」と認定した伐根が38本もあるのですから、摩訶不思議としかいいようがないのですが・・・。
そこで、これから何回かにわたって原告の主張を展開することになります。12日は、その一回目として、被告の提出した文書に関わる不可解な事柄から発展し、行政と業者の癒着疑惑まで論じました。
原告らが裁判を起こす前に情報公開で取得した「収穫調査復命書」と被告が裁判で提出した「収穫調査復命書」の日付が異なっていたのです。それらの文書は印影の濃淡や傾斜、筆跡などが同一なので、日付以外は同一の文書と考えられるものです。同じ文書なのに日付が違うなんて、不思議ですよね?
しかも原告が入手した「収穫調査復命書」に綴られているのに、被告が裁判で提出した同じ文書に綴られていない文書がありました。また、情報公開では出てこなかった文書が裁判に提出されています。こうしたことから、裁判対策のために文書を虚偽作成したのではないかという疑惑が生じるのです。
本件の伐採は平成13年10月の収穫調査に基づくもので、伐採率が66パーセントでした。ところが、北海道は平成14年3月に、木材生産をやめて森林の公益的機能を重視した森づくりをすると、全面的に方針転換をしたのです。ですから、それ以前の木材生産を目的とした伐採計画は中止されなければならなかったはずです。保安林内の択伐は30パーセント以内に収めなくてはならないのです。ところが、中止されることなく実行されました。なぜ実行できたのか?
森林の蓄積量が記載されている森林調査簿を検討すると、森林の蓄積量の数値を意図的に増加させることで伐採率を30パーセントに留め、「受光伐」として装ったのではないかとの疑惑が生じるのです。
そして、計画が変更されずに実行された背景には、日高支庁と業者との癒着が疑われます。つまり、本件の収穫木の調査、伐採、買受のすべてに特定の業者が関与しているのです。
さて、今後の裁判では、伐採の具体的内容やそれが自然に及ぼした影響、財務会計上の行為の違法性や損害論について論じていく予定です。
次回の公判は12月7日(金)、札幌地方裁判所で11時~11時30分です。映像による意見陳述も予定しています。傍聴歓迎!
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