天然記念物にならないナキウサギ
北海道の自然を紹介している写真雑誌ファウラの2007年秋号の特集は、エゾナキウサギ。ナキウサギのかわいらしい写真や情報が盛りだくさんです。
ナキウサギは、日本では北海道の一部の地域にしか生息していない希少な動物です。日本のナキウサギは、岩が積み重なった岩塊地を棲みかとしています。「氷河期の生残り」といわれるのは、大陸と北海道が陸続きになった氷河期に、大陸から移動してきたといわれているからです。それだけでも、天然記念物の資格は十分にあると思うのですが、どういうわけか天然記念物に指定されていません。アマミノクロウサギは天然記念物なんですけどね・・・。
ナキウサギは大雪山や日高山脈の高山帯にしか生息していないと思っている人も多いかもしれませんが、高山にしかいないというわけではありません。岩塊地は高山帯に多いために生息地も高山に多いだけで、岩塊地があれば標高の低いところにも生息しています。
自然保護活動をしている私にとって、ナキウサギはとても縁のある動物です。大雪山国立公園の然別湖一帯はナキウサギの一大生息地ですが、その生息地のど真ん中に計画された士幌高原道路の反対運動のために然別湖一帯をずいぶん歩き、ナキウサギに何回も出会いました。この道路計画をめぐっては「ナキウサギ裁判」が起こされたのです。幸いなことに、道路計画は中止となり、ナキウサギの生息地は守られました。
また、大規模林道(緑資源幹線林道)の建設予定地にもナキウサギの生息地があり、生息地の破壊や分断化の危険にさらされています。
それから、世界ラリー選手権が開催されている林道にも、ナキウサギの生息地があるのです。ですから、その生息地にも何回も行きました。
岩塊地という特殊な環境にしか棲めないナキウサギにとって、棲めるところは限られています。岩塊地が壊されたり環境が悪化したら、たちまち生存を脅かされることになります。開発行為などの危機にさらされているのは、このような標高の低いところに棲むナキウサギたちです。
でも、不思議なことに天然記念物にもなっていないし、絶滅危惧種にもなっていません。そこで、「ナキウサギふぁんくらぶ」は文部科学省に天然記念物に指定するように働きかけているのですが、なかなか実現しません。
なぜなのか? たぶん「天然記念物指定されたら都合が悪い」という人がいるのでしょう。
詳しくは、以下の記事をどうぞ。
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