紛争解決への道
今日もまた「9条やめるんですか?」をとりあげて、今回の話題を締めくくりたいと思います。
私には、アイヌ民族の「あとぅい」さんという方の一文がとても印象に残りました。彼はこんなことを書いています。
「人間という生き物、特に男はそうだが、謝るということができない。生きていくうえで一番しんどいことらしい。友達同士でも、近所づきあいでも、国家同士でも、非を認めて素直に謝ることくらい難しいことはない。メンツにこだわり自分を正当化しないと身の保全ができない。そういう悲しい性を人間は持っている。俺たちはそれを克服しなければならない。相手に対して誠心誠意、謝る勇気を持つこと。これこそ最も志が高く平和が広がっていく道だ。まして武器なんて持つ必要はなくなる」
アイヌの教えでは、非を認めて心から謝ることができる人間は、まさに完成された人間だというのです。私たちも、この教えを心に刻む必要がありそうです。
さらに、「ウコチャランケ」について紹介しています。「ウコチャランケ」とは、相手の発言中は絶対に発言しないというルールのもとに、公の場で、お互いが納得するまで討論するというものです。何日でも、何年でも続け、一方が反論できなくなったときに、一応の決着がつくという、トラブルの問題解決法です。
アイヌ民族のこのような教えや伝統は、自然の中で狩猟採取民族が平和的に生きていくために編み出された賢い知恵なのでしょう。アイヌ民族はまさに民主主義を率先して実践していたのです。
動物の中で、同じ種同士が殺戮し合っているのは、人間くらいではないでしょうか。人間ほど賢く、そして愚かな動物はいないでしょう。人はその賢さを、なぜ平和に生かすことができないのでしょうか?
「非を認めて謝る」そして「力ではなく話し合いで問題解決する」このふたつを守ることができたなら、戦争など起こりえないでしょう。
凄惨な殺し合いのあげく、人の心をズタズタにして憎しみを生み出し、私たちの生きる地球を破壊する、もっとも醜い戦争という行為を、私たちは回避する知恵を持っているはずです。
「戦争・平和」カテゴリの記事
- 資本主義とホセ・ムヒカ氏(2025.05.16)
- 欲と悪(2025.04.03)
- 競争と闘争(2023.11.14)
- 支配欲のあるところに平和はない(2022.04.13)
- 敗戦の日に(2019.08.15)
コメント