ダンゴムシの思い出
子供のころ、私は虫を捕まえるのが大好きでした。どうしてなのかわからないのですが、たぶんそれは子供の本能みたいなものなのでしょう。昆虫を見つけると、まず捕まえてみたいという衝動にかられます。蝶にトンボ、行列をつくるアリ、草むらのバッタ・・・。虫たちが飛び回る季節になると捕虫網を片手に、外をかけずり回っていました。
捕まえてみたいと思ったのはそれだけではありません。くるりと丸まってボールのようになってしまうダンゴムシも私にとっては興味の対象でした。
住んでいたアパートの敷地の一隅に砂利が敷かれたところがありました。その砂利をひっくり返すと、少し湿った石の下にたくさんのダンゴムシが潜んでいました。それをつまみ上げては手の平で転がし遊んだものです。どうしてこんな風に丸まってしまうのかと、いつも不思議で仕方がありませんでした。
そしてそのダンゴムシを家に持ち帰って母から変な顔をされたものです。母は虫が嫌いではありません。でも、さすがにダンゴムシを持ち帰る娘には呆れていたようです。たしかにダンゴムシを集めて遊ぶなどという子供はあまりいなかったのかもしれません。本人は、とてもかわいい虫だとしか思っていなかったのですが。
さて、それから何年かたってからのことです。つかまえたダンゴムシのお腹から小さな子供のダンゴムシがもぞもぞと這い出してきたときには本当にびっくり仰天してしまいました。親のダンゴムシがいきなり子供を生んだのだと思ってしまったのです。
その当時は、ダンゴムシが陸生の甲殻類であり、卵胎生だということを知らなかったのです。ダンゴムシは、腹面に保育嚢をもっていて、卵からふ化した子供はそこから外に出てくるのです。
北海道ではダンゴムシによく似たワラジムシがたくさんいますが、ワラジムシを見るたびに、どうしてこれは丸まらないのかと思ってしまうのです。でも、ダンゴムシはどうしてあんなふうに丸くなるようになったのでしょうね? ちなみにわが娘は、子供のころワラジムシをつついては、「どうしてこのダンゴムシは丸くならないのだろうか?」と、不思議でしかたがなかったとのこと。
ところで、おかしなことに私は今でも虫を見るとついつい手が伸びてしまいます。虫を手にとってみたいという衝動にかられる習性は、困ったことにいくつになっても変わりそうにありません。
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