共同出版は疑惑のデパート?
7回で終了するつもりだった第2弾の連載ですが、その後、さらに書き続けることになってしまいました。
というのは、ネット上でこの問題について発言する人たちが複数出てきたのです。写真家の藤原新也さんがご自身のブログで新風舎のやり方に疑問を投げかけ、寄せられたメールを公開したことで、大きな話題を呼ぶことになったからです。これをきっかけに、とりわけ新風舎に対する批判が高まっていきました。
こうした動きに対応するために、さらに記事を書き続けることになってしまったのです。これは新風舎に限らず業界全体の問題であること、著者はどうして錯誤してしまうのかということ、この問題の本質論など。
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(8)崩壊する出版業界と協力・共同出版
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(9)明らかになりつつある新風舎の実態
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(10)こんなにある「だまし」のテクニック
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(11)本質論とメディア,業界への提言
こうした中で、JANJANにも私以外の方からの投稿がありました。新風舎から絵本を出版した三浦ヒロシさんはこんな記事を書きました。
さらに、文芸社から自伝を出版した元和歌山市長の旅田卓宗さんは、自分の出版の体験談を投稿したのです。
旅田さんの記事には、ほんとうに驚きました。何しろ本を出版したあとに、電子出版、全国紙への広告、買い取り条件での増刷など、文芸社の提案によってつぎつぎと出資し、合わせておよそ400万円も支払ってしまったというのです。ところが、この記事の「ご意見板」には、旅田さん本人の認識が甘かったのであり、出版業界の問題ではないかのような意見が書き込まれました。この方は、文芸社の契約が出版サービスの請負契約だと勘違いしているようです。私はこの意見に大きな疑問をもったのです。そこで、旅田さんに連絡をとって、契約書を送っていただき、私の意見を書いたのが次の記事です。
ここに至って、この共同出版商法というのは、疑惑のデパートといえるほどいろいろな問題を抱えているように感じたのです。
いっぽう、週刊金曜日では平田剛士さんがこの問題をとりあげ、「だれもが本を作りたがる時代」とのタイトルで1月26日号と2月2日号の2回にわたって記事を書きました。私も取材を受けました。その記事が掲載されたあと、2月16日の週刊金曜日の投書欄に、文芸社から本を出し満足している方からの意見が投稿されたのです。
その方は「本を作る」ことが夢であり、ベストセラー作家になりたいわけでも、印税生活を夢見ているわけでもない。そして同じ大金をかけるならISBNコードをつけて売ってもらったほうがいい。だからこのような出版形態を否定的に捉える記事は納得がいかないといいます。たしかに、そのように考えていらっしゃる方は多いでしょう。
でも私には、そのような方はこの商法のことや自費出版のことがきちんと理解できていないように思えてならないのです。アマチュアの本にISBNコードをつけて書店で販売するには、共同出版という方法しかないわけではありません。自費出版社の中には取次と取引していて、著者に所有権のある本をつくり、それを書店流通させて売上金を著者に戻している会社もあります。また、文芸社よりはるかに安い費用負担で商業出版形態での出版に対応している出版社もあるはずです。その投書に対し、私も意見を投書しました。それとともにこのような考えの方に対し、もっと詳しく説明をする必要を感じたのです。そこで投稿したのが以下の記事です。
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(13)適正な制作費とはなにか
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(16)販売の夢を利用し巧妙化する出版社
(つづく)
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