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2007/06/12

出版社との協議は疑問の連続

 前回の記事の続きです。

 さて、76万円の編集費を請求しながら、編集者は「ほとんど手を加えなくてもいい」などと平然とのたまうのですから、どうやらとんでもない出版社と契約してしまったようです。しかし、まだ組版には入っていませんから、解約交渉をするなら今のうちです。そこで、対策を考えました。

 まず、電話でのやりとりを断わり、電子メールでの協議を要請しました。電話でのやりとりは記録が残らず「言った、言わない論争」になる可能性があります。こういうときは、やりとりの証拠を残さなくてはなりません。証拠を残すために文書でやりとりするというのは、日ごろの自然保護活動で身についていたのです。そこで、契約担当者と編集者の二人を相手にメールでの協議を開始しました。

 ここで頑張れば、出版社から解約を申し出るのではないかと期待を抱いたのです。だって、多額の編集費を請求しながらろくに編集作業をせずにトラブルになったのなら、著者の責任ではなく出版社の責任です。出版社はまだほとんどお金をかけていないのですから、今のうちに解約を申し出てこれ以上のトラブルを避けるというのが利口なやり方でしょう。

 まず11月28日に次の点について契約担当者に質問しました。急がせて契約をせまった理由。実態に見合わない高額な編集費についての釈明。今後の編集の具体的スケジュール。

 ところがすぐに回答がありません。そんなに時間がかかることでしょうか? 疑われたくなかったらすぐにでも理由を説明してもよさそうです。そこで30日に以下の質問をしました。

1 見積内訳表の詳細な内訳の送付(「本来内訳はより細かくなる」と書かれていた)。

2 編集者との電話内容の確認。

3 出版までの具体的スケジュール。

4 TRC(図書館流通センター)書評の送付(予定表では編集責任者の選定前に書評の作成をすることになっていた)。

 12月3日に編集者からスケジュールの連絡がありました。12月10日頃初校出、1週間ほどで校正してほしい。初校戻しの頃にカバーデザインについて相談。12月28日頃再校出、1月11日頃までに戻してほしい。1月中旬に印刷、2月上旬に本ができ、3月に書店に並ぶとのことです。

 このスケジュールにびっくり仰天しました。年末年始という忙しい時期に短期間で初校と再校をしろというわけです。年末までに何とか再校を出さなければ契約期限までに本ができないということなのでしょう。まだ内容的に検討しなければならないことがいろいろあるうえに、本のタイトルも決まっていません。カバーデザインについても、著者からの提案も考慮すると契約時に確認したのですが、2通りの見本から選べということのようです。

 とにかく、編集者は私の疑問を解消することなく作業を進める様子です。どうやら考えていたより強気です。そうである以上、私としても対応していかねばなりません。そこで抗議するとともに少しでも納得のいく本になるよう、さまざまな要求をすることにしました。なんていったって76万もの編集費を払っているのですから!

 12月5日には、編集者の上司が北海道新聞の記事に関して電話で説明したいとのメールがありましたが、電話での説明は断わり、メールでの説明を求めました。上司のメールによると、新聞報道にあったような悪質なことは一切やっていないとのこと。さらに、特約店について次のような説明がありました。

 「当社では出来上がった本を書店に置いてもらうために、独自のルートを確立しております。『取次店を通して全国の書店へ配布する』といったこれまでの出版界の常識(この制度ですと、取次店という仲介業者が出版社と書店との架け橋をし、どこの書店にどの本を何冊置くといったことが、すべて取次店の判断のみでなされます。ですので、その制度のみに頼っていると、当社のように著名ではない方々の本は、あまり書店に置いてもらえません)を覆す、『特約店制度』を導入しております」とのこと。そして、特約店制度とは、取り次ぎ店を通さず出版社から直に書店へ本を送り置いてもらうシステムであり、全国500店舗の特約店のうち300書店に本を置けるとのことでした。

 契約担当者からきた手紙には「書籍を『取次』に収めるばかりではなく・・・」とか、「取次及び広告用の見本分100部・・・」などと書かれていましたが、取次は通さないということでしょうか? ムムッ! なんだか話が違います。

 ところで、契約担当者に質問を突きつけていたのに、編集者からの返事しかありません。疑問が募るばかりなので、契約担当者にさらに追加の質問をしました。 5 毎日新聞に掲載する連合広告の見本の送付。 6 300の提携書店リストの送付。 7 過去1、2年間に開催されたブックフェアや独自のフェアの詳細。 8 5000部くらい売った本の点数と協力出版全体に対しての割合。 9 書店陳列が1ヶ月であることの理由と返本された本の扱い。 10 納本・贈呈・批評・宣伝・業務などに使用される100部について、具体的な説明。 11 TRC書評の見本。

 12月7日に、契約担当者からようやくこんなメールがありました。「10日にまとめてお答えいたします」 なんでまとめて答えなければならないの? なんで回答日の予告をするの? こっちは少しでも早く回答が欲しいのに、まったくおかしな会社です!

 さて、10日の夜にようやく回答のメールがありました。それまでに回答済みのものや別途ファックスが来たものなどを除くと以下のような内容です(番号は質問に対応)。

1 これ以上細かい制作費明細は出せない。理由は印刷所との取引価格が漏れてしまうと、会社の倫理が疑われる。

6 書店リストは刊行約半月前に送付するが、今は提示できない。理由は新規契約する書店や解約する書店が出てくるから。

8 協力出版で刊行する書籍の目標をまず5000部に設定する。今日の出版業界で5000部をクリアする書籍は少ないのが現状だが、アマチュアの本でも5000部以上売った実績があるし、5000部いかなくても増刷される書籍は多数ある。

9 有名な著者の書籍でも売れなければ1週間で返本される。返本された本は倉庫で保管。3年間は弊社に販売の権利があるので、契約期間中は保管する。フェアで再配本することもある。

10 取次・書店への見本。各種マスメディア(主に新聞社)へ送付。

 なんとも理解しがたい内容の回答に愕然としならが、この日は寝ることにしました。さて、翌朝メールのチェックをすると、昨日の回答のあとに添付ファイルつきのおかしなメールが来ています。本文は意味不明の英語。タイトルも意味不明。どうやらコンピューターウイルスのようです。当方のメールアドレスは親しい人しか知らないはずですし、知人からのメールではありません。不思議なこともあるものです。もっとも適当にアドレスをつくって無作為にウイルスを送りつけるということもあるのでしょうけれど・・・。 うっかり添付ファイルを開いていたら昨夜の回答のメールはどうなっていたやら。 (つづく)

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