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2007/06/06

崩れる!壊れる!大規模林道

Daikibo20houkai  緑資源機構の官製談合事件では、同機構理事の高木宗男氏ら6人が逮捕されたあと、松岡農水相の自殺、さらに旧森林開発公団理事も自殺する事態となり、政・官・業の深い癒着の構造が浮かび上がってきました。

 ところで、政府の規制改革会議では、緑資源幹線林道は現在着工している路線の工事が終了した時点で事業を廃止する方針であると伝えられています。今工事中のところはまだ工事を続けるというのなら、この道路の抱える問題が理解できていないとしかいいようがありません。なぜなら、この道路は存在するだけで自然破壊と税金の無駄遣いを続けるからです!

 北海道で建設が進められている3路線の大規模林道(緑資源幹線林道)は、いずれも地盤のもろいところに建設されています。このために大雨などが降ると、工事中のところはもちろん、完成したところもあちこちで土砂崩れが発生するのです。

 2003年の8月に、日高地方の厚別川流域を台風10号が襲いました。この川の上流部には大規模林道「平取・えりも線」の「平取・新冠区間」がすでに完成していたのですが、この台風によってこの区間はズタズタになってしまいました。

 その惨状といったら、それはそれは大変なものでした。全区間6.9キロメートルのうち、法面が崩壊したり路面が倒木や土砂で埋まったところが何と67ヶ所、長さにして3.6キロメートルにも及び、全区間の半分以上が被害を受けたのです。写真を見てください。こんな具合です。土砂に覆われて路面が全く見えないところもあります。流木が山のように積み重なったところも・・・。

 確かに、このときは未曾有といわれる集中豪雨でした。でも、この崩壊の原因を台風のせいだけにして「特殊なケース」だとするのは間違いです。なぜなら、大規模林道ではこれまでもあちこちで大雨による崩壊が生じているからです。昨年は「滝雄・厚和線」の「丸瀬布・留辺蕊区間」を通る機会があったのですが、ここでも路肩が崩落して壊れているところがありました。

 なぜこのような崩壊が生じるかといえば、もろい地質の地滑り地帯に無理やり建設しているからです。なにしろ幅が7メートルもある道路を建設するのですから、山の斜面を大きく切り崩して広大な法面を作らなくてはなりません。むき出しになった斜面は、緑化したりコンクリート枠をはめ込んだりしても、大雨が降るとあちこちで崩落します。沢の部分に設置された通水管はすぐに目詰まりを起こし、あふれて路面を流れた水は、法面下部も侵食して道路が崩壊するのです。

 つまり、道路をつくったことで土砂崩れが起こり、災害を誘発しているのです。天災ではなく人災です! 大規模林道は「災害時の代替道路になる」といわれていたのですが、これではまるで反対ではありませんか。こんな地盤のところに道路を造ること自体が間違っています。しかも、通る車はまばら・・・。一日に何台が通るのか?と首をかしげてしまいます。路面にはヒグマの足跡もありましたが、クマだって怒っているのではないでしょうか。

 さて、大規模林道は完成すると、その管理は地元の市町村に移管されます。つまり、日常的ながけ崩れなどは市町村が負担して直さなくてはなりません。こんな厄介な道路を欲しがる自治体がいるのでしょうか? ただし、この「平取・新冠線」は災害復旧ということで地元の市町村の負担にはならず、国民の税金で修復されました。27億円を超える事業費をかけて建設し、災害復旧費は数億円。それを国民が払っているのですよ!

 多額の税金をつかって山の中に必要性があるとは思えない道路をつくり、災害を招いている。そしてその災害の復旧のために多額の税金をつぎこんでいる。これが大規模林道の姿なのです。緑資源機構はただちに解散し、このような道路建設は即刻中止すべきです。

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