支障にならない支障木!
15日に「えりもの森裁判」の口頭弁論がありました。本論に入って2回目の口頭弁論です。この日は北海道だけではなく大阪などから多数の代理人の弁護士さんがかけつけてくださいました。この日の見ものは支障になっていない支障木や、「地ごしらえ」をしていない場所での「地ごしらえのための伐採」などについて、映像をつかっての意見陳述です。
「えりもの森裁判」で問題にした道有林では、376本の立木を収穫するという契約でした。ところが実際にはそれをはるかに上回る木が伐採され、皆伐状態になっていたのです。376本の収穫木のほかに、何本くらいの木が伐採されたのでしょうか? 被告(北海道)は「支障木」として56本(当初18本、その後推定による支障木として38本)、それ以外に「地ごしらえ」として327本の立木の伐採をしたと認めています。
まず、支障木について説明しましょう。木を収穫する場合、まず道職員である「森づくりセンター」の職員が収穫する木を調査して、その木にナンバーテープとカラースプレーをつけます。その印をつけた立木を業者に売りました。
ところが業者が、収穫木を伐ったり搬出したりする際に収穫木に隣接した木が邪魔になることがあります。また、土場や集材路をつくるときに立木が邪魔になることがあります。このような木を支障木というのです。
支障木が予想されるときは、業者は事前に「森づくりセンター」に届け出なければなりません。届け出を受けた森づくりセンター所長は、その木が本当に支障になるのかを調査し、支障木等の認定を行うことが義務付けられています。ただし、労働安全上、伐ってしまった場合だけは事後に届け出てもよいことになっています。支障木として認定された木は、業者が買うことになります。
さて、私たち原告は、支障木として伐採された切り株の周囲をよく調べてみました。すると近くに伐採対象木がないものがあるのです。あるいは、木を倒した方角から推定すると、どう考えても伐採や搬出の支障になっていないと思われるのに支障木とされている切り株があります。しかもそれらの支障木には大径木や値段の高い広葉樹なども含まれています。
支障になっていないのに「支障木」なんて、おかしいですよね。そこで、今回の裁判では、支障木と立木の位置図を作成して「支障になっていない支障木」の説明をしました。 「地ごしらえ」というのは、植林をする準備として不用木、散乱した枝葉、ササなどを除去して畝状に寄せる作業で、立木を伐採する作業ではありません。ところが、その「地ごしらえ」で327本もの木を伐ったというのです。
不思議なのは、植林の邪魔にならないような木も多数伐採され、皆伐になっていることです。また、ササ刈りも植林もしていない場所、植栽などできないような水辺などにも印のついていない切り株があるのですが、これらも「地ごしらえ」によって伐採したというのです。
今回は、このような理解に苦しむ「支障木」や「地ごしらえ」について被告に釈明を求めました。さて、どのような釈明があるでしょうか。
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