シラカンバとダケカンバの秘密
シラカンバ(シラカバ、白樺)とダケカンバ(ダケカバ、岳樺)といえば、北海道ではとてもポピュラーな樹です。名前だけは誰でも知っていると思いますが、簡単な見分け方を知っていますか?
シラカンバは葉脈(正確には側脈)が6~8対なのに対して、ダケカンバは7~12対。でも、葉っぱを見なくても遠くから簡単に見分けることができます。幹の枝の付け根の部分にヒゲのような黒い模様があり、枝が黒っぽいのがシラカンバ。幹にヒゲ模様がなくて、枝の先の方まで白いのがダケカンバ。写真の左の樹がシラカンバで、右がダケカンバです。鬼蜘蛛おばさんも、ここまでは知っていました。それではなぜシラカンバにはヒゲがあるのでしょうか? 昨日、この謎を教えていただき、思わず「なるほど!」と納得しました。
樹は毎年少しずつ生長していきますが、幹が太っていくときに枝の基部を包み込むように生長していきます。このとき、枝の樹皮が押し出されるようにして幹の表面に残されるのです。あのヒゲは枝の樹皮だったんですね。これを専門用語で枝隆(しりゅう)といいます。
とすると・・・枝隆はシラカンバだけにあるわけではないですよね。それで庭の樹をじっくり見てみました。ありました、ありました! ヤチダモにもイタヤカエデにもオオバボダイジュにも。なぜシラカンバの枝隆があんなに目立つのかといえば、幹が白くて枝が黒っぽいからなんです。他の樹は幹と枝が同じ色をしているので、目立たないだけなんですね。ダケカンバは幹も枝も白っぽいしから、ヒゲが見えないわけです。それにしても、なぜシラカンバの枝は黒いんでしょうね?
シラカンバやダケカンバの樹皮はところどころ薄く剥がれていますね。よく燃えるので「ガンピ」といって炊きつけに利用したりします。あの薄い皮一枚が一年間でつくられた樹皮なんです。シラカンバは短命の樹で、生長も早いのですが、ダケカンバは長寿でじっくり生長します。そしてダケカンバは老樹になると、あの白くてつるりとして綺麗だった樹皮がひび割れて、まったく違う樹のような樹皮になるのです。そうそう、人間のお肌も歳をとると・・・
ダケカンバはふつうシラカンバより標高の高いところに生育していて(例外もあります)、北海道では針葉樹林帯の上にダケカンバ帯と呼ばれるダケカンバの純林があるのですが、本州の山には明瞭なダケカンバ帯というのがないんですね。これも鬼蜘蛛おばさんが疑問に思っていることのひとつです。知っている方は、是非教えてください。
ところで、シラカンバの樹皮が好きなクモやダケカンバの樹皮が好きなクモもいるんですよ。このクモさんたちのお話は、また別の機会にしたいと思います。
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鬼蜘蛛おばさん
おはようございます。
枝隆、しりょうませんでした。(ノ∀`)・゚・。
側脈の数の違いは、どうしてでしょうか。
葉っぱのかってでしょうか。
投稿: ハイ松仙人 | 2017/02/04 06:31
ハイ松仙人さん
側脈の数の違いの理由までは分かりかねます。何か意味があるんでしょうか。
投稿: 松田まゆみ | 2017/02/04 10:19