昆虫

2019年6月10日 (月)

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(3)

 前々回前回の記事で、イタヤカエデとシラカバの葉を噛み切って落とす蛾の幼虫のことを書いた。落下した葉に蛾の幼虫がついていることに気づくと、足元に落ちている新葉が気になって仕方ないのでついつい地面に目をやることになる。そして昨年6月14日のこと、縁が巻かれているケヤマハンノキの葉が落ちているのに気が付いた。

 これはたった一枚しか拾えなかったが、やはり中には蛾の幼虫と思われる小さな幼虫が入っていた。この幼虫は葉脈を残して葉を食べている。

 6月24日にはケヤマハンノキの葉を巻いて糸でかがり、中から出てこなくなった。蛹化したのだと思う。

 そして7月3日に茶色い翅の蛾が羽化した。体長は約6ミリ。これはハンノハマキホソガだった。ほっそりとした体で、独特の姿勢をしている。

 成虫を横から見たところ。
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 こちらは上から見たところ。
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 ハンノハマキホソガの幼虫は写真を撮り損ねてしまったが、拾った葉はたった一枚なので幼虫が噛み切って落としたのか、それとも強風など何等かの要因で自然に落下したのかは判然としない。しかし、開葉したばかりの葉がそんなに簡単に落ちてしまうのもちょっと不思議であり、幼虫が噛み切った可能性が高いのではないかと思っている。

 葉柄を噛み切って落とす場合は噛み切った葉1枚だけしか餌にできない。従って、どうしても体の小さいミクロレピしかこういう芸当はできないだろう。あまり気づかれてはいないものの、こんな風に新葉を落としているミクロレピはけっこう沢山いるのかもしれない。

 小さな虫たちの世界はまだまだ知られていないことが多いし、興味は尽きない。

 

2019年5月31日 (金)

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(2)

 前回の記事「新葉を噛み切る小蛾類の不思議(1)」では、イタヤカエデの新葉を噛み切って落下させるミドリモンヒメハマキについて書いた。イタヤカエデの葉の幼虫に気づいた後の2018年6月4日、今度はシラカバの新葉が何枚も道に落ちていることに気づいた。その葉は端の方からクルクルと巻かれている。葉の一部だけ巻かれているものと、全部巻いて筒状になっているものがあるのだが、巻かれた葉を開いてみるとやはり蛾の幼虫と思われる芋虫がいた。この虫も、新葉を噛み切って地面に落としてから葉を巻くらしい。一部だけ巻かれているものは、おそらく葉を巻き始めたばかりのものだろう。

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 そこでこのクルクル巻かれたシラカバの葉を持ち帰って飼育してみることにした。6月4日のほか、11日と18日にも同じ場所で巻かれた葉を拾って持ち帰った。

 幼虫は筒状の葉の中に潜みながら巻いた葉を食べている。姿は見えないが飼育容器にフンが落ちているので葉を食べて過ごしていることが分かる。寄生蜂や寄生ハエに寄生されているものもあり、途中でハエらしき蛹が出てきたり、ハチが出てきたものもあった。

 24日になって、シラカバの葉を巻いている幼虫には小型で白色のものと大型で茶色のものがいることに気が付いた。小型の方は幼虫が大きくなると体に黒い斑点が現れる。

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 下の写真は大型の幼虫。
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 幼虫は巻いた葉の中から出てこないのでいつ蛹化したのかわからないのだが、25日に一部の葉を開いてみたところ小型の方が2頭蛹化していた。繭は作らないようだ。

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 大型の方は巻いていた葉を食べつくしてしまうような状態だったので、新しいシラカバの葉を追加してみた。しかし、シラカバの葉を自分で巻くことはしない。大型の方は自分で新葉を噛み切って葉を巻いたのではなく、巻かれた葉に後から侵入したのではなかろうか。とすると、蛹化は土の中かもしれないと思い飼育容器に土を入れてみた。大型の幼虫は結局3頭混じっていた。

 7月5日には小型の幼虫から5頭の蛾が羽化した。こちらも専門の方に送ってカンバシモフリキバガであると教えていただいた。この蛾は翅の色彩が淡色のものから濃色のものまで変異がある。ミドリモンヒメハマキ同様、幼虫が蛹化するまでの餌は噛み切った1枚で足りるようだ。

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 大型の方はやはり土の中にもぐって蛹化したようだが、結局成虫になったのは1頭だけだった。そしてこちらはハイイロヨトウとのこと。

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 イタヤカエデの葉を噛み切って落とすミドリモンヒメハマキにしても、シラカバの葉を噛み切って落とすカンバシモフリキバガにしても、新緑の季節にはとても沢山の葉が落ちている。それなのに今まで気づかなかったことにちょっと愕然とした。そして、両者ともにネットなどの記述を見ると食草は書いてあるのに、葉を噛み切って落下させるという習性まで書かれているものは見当たらない。なんだかとても不思議だ。(続く)

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(3)

 

 

2019年5月29日 (水)

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(1)

 今年も新緑の季節が巡ってきた。そして新葉がハラハラと舞う季節になった。

 5月22日付の北海道新聞夕刊「科学」のコーナーに、北海道博物館の堀茂久さんによる「葉の落下傘で地上へ」という記事が掲載されていた。ウラキンシジミという蝶の幼虫が、アオダモの小葉を食いちぎって地上に落下し、その葉を食べて葉の下で蛹になるという話だ。

 私はウラキンシジミのことは知らなかったのだが、昨年の新緑の季節にこれと同じことをする蛾に気づいた。

 昨年の5月下旬、みずみずしい新葉が開いたばかりのイタヤカエデから、青々とした新葉がハラハラと何枚も落ちてくる光景に出会った。開葉したばかりだというのに、なぜこんなに葉が落ちてくるのだろうか? 疑問に思い落ちてきた葉を拾って良くみると、どの葉にも蛾の幼虫らしき小さな幼虫がついている。どうやら新葉の葉柄を噛み切って落としているらしい。この小さな幼虫は、地面に落下してから葉脈に沿って葉を綴り、体を隠してしまう。

 

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 はて、何の幼虫だろう? こんなに沢山落ちているのだから、きっと「イタヤカエデ 蛾 幼虫」でネット検索でもすれば種名が分かるだろうと思ったのだが、検索してもそれらしき昆虫は出てこない。気になったので、知人の蛾の研究者に連絡をするとさっそく見に来られた。ミクロレピ(小蛾類)の幼虫だというが、飼育しないと種名は分からないという。そこで、5月30日に幼虫のついた葉を拾い、飼育してみることにした。

 この幼虫はイタヤカエデの葉をつづって中に潜みながら、葉を食べていく。蛾の幼虫の飼育はしたことがなく、拾った葉が乾燥して死んでしまう幼虫がいたので途中から水分を補うようにしたら、今度は葉にカビが生えたりと、慣れないことをやるとなかなか上手くいかない。容器を洗って新しい葉を入れたり、新たに幼虫のついた葉を拾ってくるなど、ちょっと手間取った。ハチに寄生されている幼虫も何頭かいたが、残った幼虫は次第に大きくなって6月19日に繭をつくった。繭は葉を楕円形に齧り、それを二つ折りにした中に作る。

 

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 こちらは容器と葉の間に作った繭。
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 6月24日に蛹化。繭をつくってから4、5日ほどで蛹化するようだ。

 

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 そして7月13日になってようやく成虫が出てきた。

 

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 もちろん私には種名が分からない。蛾はとても種類が多いうえ、ミクロレピと言われる小蛾類の分類はとても難しい。ミクロレピが専門ではない知人も分からないとのことでミクロレピの専門の方に成虫をお送りし、ミドリモンヒメハマキと教えていただいた。

 飼育してみて分かったのだが、幼虫が必要な餌の葉は噛み切った葉1枚で足りるようだ。ウラキンシジミ同様、新葉を噛み切って落下傘にして地上に降り立ち、その一枚の葉で育ち繭もそこに作る。小さい蛾だからこそこんな芸当ができるのだろう。

 さて、この蛾の幼虫はなぜ葉を噛み切って落としてしまうのだろう? 樹上で葉を食べて蛹化しても良さそうなものだが、そうせずに餌の葉ごと落下するのは何か理由があるに違いない。

 知人によれば、蛾の幼虫がまだ有毒物質を蓄えていない新葉を食べるために葉を切り落とすのではないかとのことだった。十分ありえることだと思う。これは私見だが、樹上よりも地面に落ちてしまったほうが野鳥などに見つかりにくくなるということもあるかもしれない。

 ウラキンシジミと同様にこの蛾も樹木の葉を餌としながら地上で蛹化し羽化することを選択したということだが、実はその後、このような生態を持つ蛾をほかにも見つけることになった。(続く)

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(2)

 

 

 

 

2018年7月31日 (火)

スズメバチ駆除

 私の住んでいるところはスズメバチが比較的多いが、今年は二階のベランダの下に巣をつくってしまった。野生の生物はあまり駆除などしたくないのだが、ここは通路の下なので仕方なく退治することにした。
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 いつもならまだ女王蜂しか出入りしていない小さい段階で巣を見つけるのだけれど、すでに時遅しで働き蜂がたくさん出入りしている。こんなに大きくなるまで全く気がつかなかったとは自分でも呆れてしまうが、人は歩くときに上なんて全く気にしていないということなのだろう。

 夜になってからレインウェアー上下、ネット付き帽子、長靴、ゴム手袋で完全装備をした上で巣の入口に殺虫剤を吹き付け、全体にも散布した上でポリ袋に入れ、念のために踏みつぶして駆除終了。蜂が出てきて攻撃されることもなく終わった。

 このスズメバチは小型で腹部に細い黄色の縞がある。スズメバチはいろいろな種類があって同定が難しいのだが、シダクロスズメバチではないかと思われる。シダクロはスズメバチの中でも比較的おとなしく攻撃性が強くないので、頭の上を飛び交っていても気づかなかったのだろう。

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 蜂ではないけれど、庭でスナップエンドウを収穫していたらゴマフアブに襲われた。吸血性のアブで、刺されると痛い。ブユやらアブやら、今年は吸血性の昆虫が多い気がする。このゴマフアブ、よく見ると翅はきれいなすかし模様が入っている。昆虫の模様はとても繊細で美しいものが多い。
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2018年7月 1日 (日)

蚊より厄介なブユとヌカカ

 このところ虫刺されによるかゆみに悩まされている。とりわけ夜になるとかゆみが増す。いつ刺されたのか分からないのだが、脚に20カ所近く、腕や上半身にも点々と刺された痕がある。

 その犯人が昨日判明した。いつもは庭の草取りは長袖、長ズボン、長靴のいでたちなのだけれど、昨日はとても暑かったのでつい半袖で草取りをしていたらブユが腕に寄ってきた。その後、家の中で脚を刺そうとしていたブユも捕まえた。10日ほど前からのかゆみはどうやらブユだったようだが、家の中にまで入ってこられると悲劇だ。

 ブユは刺されるときにほとんど痛みがない。しかも刺されてすぐかゆくなるわけではなく、しばらくしてから紅くなってかゆみが出てくる。刺されたことが分かっていたらインセクトポイズンリムーバーなどを使うと効果的なのだろうけれど、それがまずできない。気がついたときは刺されてからだいぶ時間が経っている。

 仕方がないのでステロイド入りのかゆみ止めを塗るのだが、薬を縫っても数日間はかゆみがとれない。ただし、塗らないでいると悲惨なことになる場合もある。以前、たかが虫刺されだからそのうち治るだろうと放っておいたらいつまで経ってもかゆみがとれず、掻きこわして数カ月も傷口が治らず酷い目にあったことがある。

 東京に住んでいた頃は、虫刺されといえば蚊だった。ところが北海道では蚊よりもブユやヌカカの方が大敵だ。

 ヌカカはブユよりも小さく、網戸の目もすり抜けてしまう。だから暗くなって明かりをつけたら窓は閉めるようにしている。夜の涼しい外気を入れて室温を下げたいときは、部屋の戸を閉め切り明りをつけずに窓を開けておくようにしている。これでヌカカの侵入はだいぶ防げる。

 ブユやヌカカが厄介なのは、刺されても気がつかないことが多く1週間くらいはかゆみがひかない点だ。しかも私の住んでいるところは蚊に刺されるよりブユに刺されることの方が多い。すぐ近くに川が流れていることも関係しているのだろう。特に夕方などに庭の草取りをしていると刺されやすい。

 北海道ではかつて山奥で造材作業を行っていたが、作業をしている人たちは大量のブユ、ヌカカ、蚊に襲われたそうだ。考えただけでもぞっとする。今は虫刺されに効果のある薬もいろいろあるが、昔はさぞかし大変だったことだろう。

 北海道は夏が短いとはいえ、雑草の伸びるスピードは凄まじい。6月から9月までは頻繁な草取りが欠かせないので、完全防備スタイルでやるしかない。

2015年9月 8日 (火)

狩り蜂に麻酔されたクモの行方

 机の上にヤチグモ(たぶんアキタヤチグモ)の幼体の入った管ビンがある。このクモは、7月31日に狩り蜂に狩られたものだ。

 わが家の庭ではときどき狩り蜂がクモを狩るのを目撃する。この日は、狩ったクモを抱えたハチが家の壁(サイディング)の下端のあたりをウロウロしていた。ところが、私が写真を撮ろうと近づいたところ、ハチはクモを落としてしまった。

 下の写真はクモを狩ったハチ。一度獲物を落としてしまうと、なかなか見つけられないようだ。
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 こちらは狩られたクモ。麻酔でぐったりしていて動かない。
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 で、ハチには申し訳ないが、運がよければクモは生き返るかもしれないと思い、クモを持ち帰って管ビンに入れておいた。はじめのうちはちょこちょことビンを覗いていたが、クモは麻酔された状態で、ビンを軽く振っても全く動かない。しかし、干からびる様子もない。ただ、脚は伸びた状態から次第に関節を曲げた状態になっていった。その後、8月18日から10日ほど本州に出かけてしまったが、帰ってきてから管ビンを覗くと、同じような状態のままだった。

 しばらくそのまま放っておいたのだが、もう生き返りそうにないし、そろそろ自然に帰しておこうかと思い、手のひらの上にクモを取り出した。その途端、クモの第1脚がピクピクと動いたのだ。「あれっ、生きている!」と、目をしばたいた。そして、もう一度手の上でクモを転がしてみた。すると、こんどは第1脚のみならず、他の脚もピクピクと動くではないか。麻酔されてからの日にちを数えてみると、39日目である。下の写真は、机の上に出したヤチグモ。
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 以前、同じように狩り蜂に麻酔されたオニグモを持ちかえって様子を見たことがある(詳しくは
こちらの記事を参照いただきたい)が、その時は3日ほどで動かなくなり11日ほどで生気がなくなってきたのでアルコール標本にしてしまった。そんなことがあったので、このヤチグモの場合、1カ月以上も経ってから動いたことにちょっと驚いた。

 クモの生命力もさることながら、こんなに長期間、仮死状態にさせておける麻酔薬を進化させたハチもたいしたものだ。

 さて、このヤチグモはこのあとどうなるのだろう? 死んでしまうのか、生き返るのか、後日結果をお知らせしたいと思う。

2015年6月18日 (木)

ナミスジフユナミシャクの大発生

 6月の初旬頃だったと思うが、道路脇のヤマモミジの並木の中に葉がほとんどついていない木があるのが目についた。どうも虫による食害らしい。何年か前にマイマイガが大発生して丸坊主にされた木があったが、マイマイガではなさそうだ。

 そういえば、わが家の庭のイタヤカエデに緑色の尺取り虫がついていたが、丸坊主にした犯人はあれと同じだろうかとふと頭をよぎった。

 今月中旬のこと、道北に向かう道中でダケカンバもかなり食害にあっていることに気がついた。

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 中には8割から9割くらいの葉を食べられてしまっている木もあり、注意をしていれば遠目にもよく分かる。ダケカンバだけではなくナナカマドも食べられている。食害されている木に近寄ってよく見ると、やはりイタヤカエデを食べていたのと同じ尺取り虫だ。小さな幼虫なのに高木を丸坊主にしてしまうくらい葉を食べるのだから、大発生しているのだろう。

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 これほどの食害をするのは何の幼虫なのかと調べてみると、ナミスジフユナミシャクというフユシャクの一種らしい。フユシャクというのは他の昆虫がほとんど見られなくなる初冬に成虫が出現するシャクガの仲間で、雌は翅が退化していて飛べない。初冬の夜に車で外出したときに、ヒラヒラと薄茶色の蛾がライトに映し出されることがしばしばあるが、あれがフユシャクの雄だ。

 以下のブログによると、どうやら北海道では昨年からフユシャク類の密度が高かったらしい。

 フユシャク類の"大発生"(原 拓史blog)

 ナミスジフユナミシャクもマイマイガと同様にいろいろな木を食害するようだが、特に被害が酷いのはダケカンバのようで、シラカンバはほとんど食べられていない。今年の初冬はフユシャクの成虫も例年より多いだろう。成虫は以下を参照していただきたい。

 ナミスジフユナミシャク(こんちゅう探偵団)

2013年9月18日 (水)

ゴミを背負うクサカゲロウの幼虫

 植物の上で小さなゴミの塊が動くのを見て「あれっ?何だろう」と思ったことのある人は少なくないのではなかろうか。

 そのゴミに目を凝らすと、虫がゴミを背負っているのが分かる。私は、この「動くゴミ」を学生の頃からしばしば目にしてきた。そこでチョウマニアの一人に「ゴミを背負っている虫がいるけど、あれは何?」と聞いたことがあるが、「知らん・・・」という返事だった。

 その後も、何度もこの虫にお目にかかったが、結局その虫が何か分からないままだった。しかし、先日、散歩に出て2回も続けてこの虫を見た。

 下の写真は、ゴミの下から腹部の先端が覗いている。

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 こちらは横から見たもの。左が頭で右が腹部。

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 今はインターネットという便利なものがある。そこで、ようやく思い立って「ゴミ 背負う 虫」と検索したら、すぐに出てきた。やはり、不思議に思ってこのような検索をする人がそれなりにいるようだ。

 その正体は、クサカゲロウの幼虫だった。クサカゲロウといえば、薄緑の弱弱しい虫で、子どもの頃よく捕まえたものだ。クサカゲロウは細い糸の先に白い小さな卵を産みつけるのだが、これが葉の裏などにいくつも並んでついている。「優曇華の花」と言われるこの卵は家の中の電燈の笠などにも産みつけられることがある。なんでわざわざ糸の先に卵を付けるのだろうと、子どもの頃から不思議に思っていたものだ。

 これで、クサカゲロウの卵(優曇華の花)→幼虫(ゴミを背負った虫)→成虫(薄緑の弱弱しい虫)が繋がり、積年の疑問が解けた。とはいっても、幼虫と成虫の間に蛹があり、これは見たことがない。

 クサカゲロウといってもいくつも種類があり、すべてのクサカゲロウの幼虫がゴミを背負うわけではないそうだ。クサカゲロウの幼虫はアブラムシやカイガラムシを食べるのだが、一部の種の幼虫はその食べカスを背中にくっつけるという。だから、ゴミが歩いているかのように見える。

 何十年ものあいだ分からないままになっていたことが、1分もかからずに調べられるインターネットは確かに便利だし驚異的だ。しかし、こうも簡単に分かってしまうと、あまりにあっけない気もする。人は疑問に思うことを頭の片隅にしまっておくものだ。そして、ちょっとしたことでその謎が解けたときの快感は格別なものがある。たとえ自分で観察して知ったということではなく、たまたま読んだ本に書いてあったとか、人から教えてもらったということでもいい。今まで分からないでいたことが分かるというのは心躍る楽しさがある。

 しかし、インターネットで何でも簡単に調べることができてしまうというのはどんなものだろう。人知れず疑問を胸に秘めておいたり、何らかのきっかけに密かに謎を知る楽しみが減ってしまう気がしてならない。便利の陰で、失われてしまうものもある。

2013年9月11日 (水)

マルハナバチを襲うケブカスズメバチ

 庭のペパーミントにチョウがたくさん吸蜜にくることはこちらに書いたが、チョウ以外にもマルハナバチやアブなど、いろいろな昆虫が吸蜜にくる。中でも目につくのはエゾオオマルハナバチだ。しきりに蜜を集めている。

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 昨日はケブカスズメバチ(キイロスズメバチ)もやってきた。ケブカも蜜を吸いにきたのか?と思ったら、どうやらそうではない。しばらく飛び回ってから、いきなりマルハナバチに襲いかかった。

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 5分後にはもうこんな感じ。

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 8分後にはほとんど食べつくしてしまった。

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 いつもなら攻撃性の強いケブカスズメバチにはあまり近寄りたくはないのだが、お食事に夢中のときだけは近寄って写真が撮れる。

 今日、ペパーミントの花を見ていると、またケブカスズメバチがやってきた。花には目もくれずに、吸蜜しているチョウやマルハナバチに襲いかかっていくのだが、チョウはさっと飛んで逃げてしまう。マルハナバチへのアタックも2回見たが、成功しなかった。ケブカスズメバチの狩りも、そう簡単ではなさそうだ。

 本州に産するものはキイロスズメバチという亜種なのだが、キイロスズメはニホンミツバチの巣に近づいて働き蜂を襲うことがある。このため、ニホンミツバチは集団(蜂球)になってキイロスズメバチを取り囲み、熱で殺してしまうことが知られている。天敵に一方的にやられるのではなく、防衛行動も進化させてきたのだ。もともと日本には生息していないセイヨウミツバチは、このような防衛をできないそうだ。詳しくは以下参照。

スズメバチを熱殺するニホンミツバチ(あきた昆虫博物館)

 以下はその動画。

2013年8月31日 (土)

ペパーミントに集まるチョウ

 昨年種を播いたペパーミントが今年は一斉に花をつけたのだが、チョウをはじめとした昆虫がたくさん集まってきた。植物の花には昆虫がとてもよく集まるものと、それほどでもないものがある。そういえばラベンダーにはシロチョウがたくさん吸蜜にやってくる。独特の香りが昆虫を誘引するのだろうか。

 そこで、ペパーミントにやってきたチョウを紹介したい。

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 まるでクジャクの羽を連想させる魅惑的な紋様のクジャクチョウ。子どものころ霧ヶ峰でこのチョウを見て、こんな美しいチョウがいるのかと心が震えた。タテハチョウの仲間は樹液を好む種が多いが、クジャクチョウは花によくやってくる。北海道では平地でも見られるが、本州だと高原に行かないと見られない。東京に住んでいた子どもの頃、時々でかけた信州の霧ヶ峰はクジャクチョウやヒョウモンチョウの宝庫で、高原の花に集まる華やかなチョウは飛ぶ宝石のように思えた。

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 オレンジ色に黒い斑点を持つヒョウモンチョウは、一見どれもよく似ている。翅の表側だけでは識別が困難だが、裏側はけっこう違いがある。ペパーミントで見られたのは3種。上の写真はウラギンヒョウモンの表側。

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 こちらはウラギンヒョウモンの裏側。その名の通り、裏側には銀白色の斑点がある。

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 上はオオウラギンスジヒョウモン。


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 こちらはミドリヒョウモン。後翅の裏側がやや緑色を帯びていることから「ミドリ」とつけられたようだ。


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 シロチョウで多いのがエゾスジグロシロチョウ。翅脈の周辺の鱗粉が黒い。食草はコンロンソウやタネツケバナなど野生のアブラナ科植物。


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 こちらはおなじみのモンシロチョウ。食草はキャベツやダイコンなど栽培種のアブラナ科植物。


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 そして、愛らしいベニシジミ。


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 こちらは地味なオオチャバネセセリ。

 私が学生の頃、チョウマニアの方たちはチョウが減っているとよく言っていた。あれから40年ほどが経った今、さらに減少したのではなかろうか。野生生物の減少の多くは人間による環境の悪化が影響していると思うが、「気が付いたら見られなくなっていた」ということになるのが本当に恐ろしい。昆虫が棲めない環境は、人間にもいいはずがない。

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