哺乳類

2015年11月17日 (火)

チョウセンゴヨウと動物たち

 近くの園地に散歩に出かけたら、あちこちの木の下にチョウセンゴヨウの球果(まつぼっくり)がころがっていた。といってもすでに球果は齧られて中の種子は動物に食べられてしまっている。ただ、周囲に数粒落ちているのもある。

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 チョウセンゴヨウはとても大きな球果をつけるゴヨウマツで、その種子は「マツの実」として食用にもされる。人間も食べるくらいだから、動物たちにとっても貴重な食糧になる。

 たしかに園地の近くにチョウセンゴヨウが植えられているのだが、何十メートルも離れたところに球果がころがっているということは、動物が食べるために落ちた球果を運んできたのだろう。この大きな球果を運べる動物はエゾリスに違いない。木の下ばかりに落ちているということは、エゾリスが木の上まで球果を運びあげ、そこで齧りついたのだろう。

 今日はひっそりしていてエゾリスは見られなかったが、大きな球果を一生懸命齧ったり、貯食のためにせわしく走り回る姿が目に浮かぶようだ。そこで、ちょっとネット検索してみたら、まさにそんな様子を写真で紹介したページがあった。

チョウセンゴヨウのマツボックリ(今日のショット【エゾリスとともに~】)

リスの森からの便り(エゾリスと森の仲間たち)

 「オニグルミの不作とエゾリス」に今年はどんぐりもオニグルミも不作だと書いたが、チョウセンゴヨウはそれなりに実をつけたらしい。餌の乏しいこの秋には貴重な食糧に違いない。

 チョウセンゴヨウの実は、エゾリスだけではなく野鳥たちの餌にもなる。ただし種皮が厚いので、これを割って食べられる野鳥はキツツキ類やゴジュウカラなど一部に限られる。彼らは、樹皮の割れ目に種子を嵌めこんで固定し、嘴で割って食べるのだ。下の写真は樹皮の割れ目に残されたチョウセンゴヨウの種皮。

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 ところで、下から覗くとまるで笑顔のようなキノコがあったので、こちらも写真を一枚。

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2015年11月10日 (火)

オニグルミの不作とエゾリス

 わが家は森林が近いこともあり、家に居ながらにして野鳥や小動物の姿を見ることができる。食事中に庭先の野鳥が気になって双眼鏡を持ち出すこともしばしばある。そんな庭の訪問客の中でもエゾリスは仕草がかわいらしく、しばし見とれてしまう。長い尾でバランスをとりながらすばやく木々を駆け巡ったと思えば、時にぬいぐるみのようにじっとしていることもある。リスというのはなんとも愛嬌がある動物だ。

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 そういえば、今年はエゾリスの大好物であるオニグルミの実がほとんどならなかった。わが家の隣の空き地には2本のオニグルミがある。そして、2本のオニグルミはほぼ毎年、沢山の実をつけていた。だから、私はオニグルミには「なり年」と「不なり年」はなく、毎年コンスタントに実をつけるとばかり思っていた。でも、どうやらそうとも言えないようだ。

 オニグルミに実がならなかったことは、思い返してみても記憶にない。花が咲く時期に受粉を阻害するような異変でもあったのだろうか? しかし、これほど実がならないと、オニグルミを食べるエゾリスやアカネズミにとってはかなり厳しい冬になるのではなかろうか・・・。

 昨年はミズナラのどんぐりが豊作でたわわに実をつけていた。そのためか、今年はどんぐりがほとんど実をつけていない。越冬の巣穴にどんぐりを溜めこみ、その上で冬ごもりをするというシマリスにとって、どんぐりが不作の年は食糧の確保が大変だろう。もちろんシマリスだけではなく、ネズミやエゾリスも大変に違いない。

 どんぐりは、子孫を残すために「なり年」と「不なり年」をつくると言われている。たとえばネズミは冬の食糧としてどんぐりを土に埋めて溜めこむのだが、たくさん実をつけた年には食べきれなかったどんぐりが翌春に芽を出す。ただし、毎年たくさんの実をつけているとネズミが増えすぎて食べ残しのどんぐりがなくなってしまう。つまり「なり年」と「不なり年」をつくるのは植物の生き残り戦略というわけだ。

 自然のめぐみに頼って生活している動物たちにとって、冬の食糧の確保は死活問題に違いない。エゾリスは冬眠をしないので、秋になると冬に備えて木の実などを地中に埋める習性があるのだが、木の実の少ない今年は餌集めもさぞかし大変だろう。

 野生動物にとっては厳しい冬になりそうだが、愛らしいエゾリスの姿を見るにつけ、なんとか無事に乗り切ってほしいと思わずにいられない(もちろん“愛らしい”から乗り切ってほしいと言うわけではないのだけれど・・・)

2013年7月 2日 (火)

然別湖畔でヒグマに遭遇

 先日、然別(しかりべつ)湖畔の道を車で走っていたら、目の前をヒグマが横切った。北海道ではエゾシカやキツネが道路に出てくることはしょっちゅうあるが、道路でヒグマに遭遇することはほとんどないので、やっぱりドッキリする。

 道路を横切ったヒグマは森の奥へ走り去ったのかと思ったら、少し離れたところでこちらを見ていた。親離れして間もないくらいの子どものヒグマだ。

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 北海道で山の中をうろついていると、ヒグマの痕跡はしばしば見かける。足跡、フン、爪痕など。でも、実物のヒグマに遭遇することはほとんどない。シカやキツネのように個体数が多くないということもあるが、ヒグマの方が先に人間の気配を察知して逃げてしまうということもある。私は、これまでヒグマを目撃したのは2回しかなかったが、今回で3回目だ。

 然別湖周辺はもともとヒグマが少ないところだ。かつて士幌高原道路の反対運動をしていた頃は現地視察や調査で然別湖周辺にしばしば出かけたが、ヒグマの痕跡はまず見なかった。だからヒグマに警戒するようなこともほとんどなく、一人でも気軽に歩けた。ただし、全くいないというわけではない。少ないからこそ、たまに出没情報があると話題になる。

 然別湖の岩塊地にクモ調査で通っていた時に、その近くでヒグマが出没したという情報を聞いたことがあった。そのときは、さすがに気になって「熊鈴」をザックに付け熊撃退スプレーも持ち歩いた。また、雪の積もった湖畔の道路にヒグマの足跡が点々とついているのを見たこともある。

 然別湖は標高800メートルのところにあり、周辺は針葉樹林に囲まれている。エゾマツ、トドマツ、アカエゾマツなどを主体に、ダケカンバやナナカマド、オガラバナなどが混在する非常に単純な森林だ。つまり、ヒグマの餌になるような植物が乏しいのだ。

 ヒグマは肉食獣だと思っている人が多いかもしれないが、動物だけではなく植物もかなり食べる。大雪山ではヒグマが高山帯に生息しているが、草地の広がる高山帯は餌が豊富で、とくにハクサンボウフウなどは好物だ。夏は高山帯で過ごし、冬は標高の低いところに移動して越冬する。

 しかし、然別湖周辺の山の大半は標高が1200メートル前後で高山帯を持たない。しかも南東側は十勝平野が広がっていて森林がない。針葉樹林帯だけではヒグマは十分な餌が得られないので、定住が困難なのだろう。ときどき放浪個体が現れても長期間居座ることはほとんどないのだと思う。

 ヒグマは歩いているときには絶対に出合いたくない動物だが、車に乗っているときは、恐怖感はあまりない。もっとも、車に体当たりしたヒグマもいると聞くから、車に乗っていても無闇に近づかない方が賢明だ。

2012年10月24日 (水)

斜面からころげ落ちて狸寝入りするエゾタヌキ

 先日、林道を車で走行していたときのことだ。路肩にいた動物が車に驚いて道路脇の斜面によじ登ろうとしたのだが、あまりに急斜面だったためにあっけなくころがり落ちるのを目撃した。一瞬のことだったが、色や顔つきからエゾタヌキだ。あんな急な斜面を短足のタヌキが登れるわけがないのだが、タヌキ君は瞬時にそういう判断ができないらしい。

 ころげ落ちたタヌキはどうしたものかと車をバックさせて路肩の溝を覗き込むと、なんと水たまりの脇でうずくまってじっとしている。カメラを向けても逃げようともせず、困ったような顔をしている。

 ほかの動物なら一目散に道路の反対側にでも逃げるのだろうが、タヌキはとっさに逃げることができないらしく、完全に凍りついている。電車に駆け込み乗車しようとして目の前でドアが閉まり、ばつが悪い顔をしている人を連想してしまった。

 車に驚き、斜面からころげ落ちて動転し、ショックで立ち直れないということなのだろうか。これが例の「狸寝入り」なのだろう。これではすぐに捕まってしまうだろうに。

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 だいぶ前のことだが、知人からずいぶんドジなタヌキの話しを聞いた。車庫にタヌキが入り込んで一夜を過ごしたらしいのだが、眠っている間に尻尾が凍りついてしまったという。屋根から落ちた水滴が尻尾を濡らし、夜の冷え込みで凍って地面とくっついてしまったようだ。知人が見つけたときには、動けないでいたそうだ。

 タヌキはマヌケなところがあるのだが、なんとも愛嬌があり憎めない動物だ。北海道ではエゾシカやキタキツネは飽きるほど見られるが、エゾタヌキはあまり見られない。だから、個体数が多いのか少ないのか、減っているのか増えているのかもよく分からない。北国の自然の中でいつまでもひっそりとそしてしぶとく生き続けてほしいと思う。

2012年9月 1日 (土)

ナキウサギが準絶滅危惧種に

 先日、環境省のレッドリストの見直しが行われ、ニホンカワウソが絶滅危惧ⅠA類から絶滅へと変更されたことがニュースになった。そういえば、最近ではカワウソのことはすっかり話題にならなくなっていたが、最後の記録から30年以上も経過しているという。

 絶滅というのは進化の歴史の中でずっと繰り返されてきたことだ。とはいっても、近年は人為的な要因で絶滅種が急増している。いとも簡単に生物を絶滅に追い込んでしまうヒトという生物の責任は重い。

 ところで、今回の見直しに関してマスコミはニホンカワウソの絶滅のことばかり取り上げていたのだが、それだけが変更点ではない。エゾナキウサギが準絶滅危惧種へとランクアップされたのである。

 環境省のホームページに、注目される種のカテゴリー(ランク)とその変更理由が説明されている。

別添資料6 

 哺乳類ではニホンカワウソとミヤココキクガシラコウモリが絶滅種とされたほか、エゾナキウサギのランクが上げられ、馬毛島のニホンジカが「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定された。ほかにはゼニガタアザラシ、トドのランクが下げられ、九州地方のツキノワグマが絶滅とみなされて「絶滅のおそれのある地域個体群」から削除された。

 複数の哺乳類が絶滅と判断されたことはたしかに今回の見直しの注目点ではある。しかし、それと同時にエゾナキウサギがランクアップされたことも、北海道にとっては注目すべきニュースだ。ところが北海道新聞をはじめとした北海道のマスコミは、ナキウサギについては取り上げなかったようなのだ。

 その理由は恐らく環境省のプレスリリースに関係していると思われる。8月28日に発表された「報道発表資料」の、「3 注目される種のカテゴリー(ランク)とその変更理由(別添資料6より抜粋)」では「哺乳類」はニホンカワウソと九州地方のツキノワグマの絶滅しか取り上げていないのだ。

 環境省はなぜランクが上がったナキウサギのことを、「注目される種」としてプレスリリースで取り上げなかったのだろうか?

 これまでナキウサギは、「夕張・芦別のエゾナキウサギ」が「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されていただけで、種としてはレッドリストに入っていなかった。しかし、アセス調査などでは以前からナキウサギは希少種として特別扱いされていた。ナキウサギは実質的には絶滅危惧種と同様に認知され扱われているのである。

 また、ナキウサギは本来ならとっくに天然記念物になっていてもおかしくない存在なのだが、なぜか天然記念物になっていない。このために「ナキウサギふぁんくらぶ」が天然記念物指定を求めて署名活動を続けている。

 こうしたことからも今までレッドリストに取り上げられていなかったこと自体が不可解であり、軽視されていたとしか思えない。そして、今回ようやく環境省が準絶滅危惧種として認めたのだ。

 ナキウサギは高山帯の生物という印象が強いが、しかし実際には低山にもそれなりに分布しており、そのような生息地が開発行為や森林伐採などによって影響を受けているのである。士幌高原道路、日高横断道路、そして大規模林道もナキウサギの生息地を破壊する道路計画だった。情けないことに、こういう大規模開発にナキウサギが絡んでいると、自然保護に消極的な環境省は絶滅危惧種に指定したくないという心理が働くのだろう。しかしこれらの道路はいずれも中止になり、足かせがなくなったのである。今回ようやく環境省がナキウサギを準絶滅危惧種に指定したのは、こうした背景も関係しているのではなかろうか。

 ところで、国営美蔓地区かんがい排水事業でもナキウサギの生息地の破壊が問題になっている。加森観光が強引にスキー場開発をしようとしているサホロ岳北斜面は、大雪山系の生息地と日高山脈の生息地をつなぐ重要なナキウサギ生息地なのである。ナキウサギの生息地破壊は今も続いている。

 こうした問題が浮上しているにも関わらず、北海道のマスコミはナキウサギの準絶滅危惧種指定をなんら報じなかったのだ。環境省は今ごろになってようやくレッドリストに入れたことが恥ずかしいのか、プレスリリースにも入れなかった。そしてプレスリリースばかりに頼って深く取材しようとしないマスコミは、ナキウサギのランクアップにも気がつかなかったのだろう。なんともお粗末な話しである。

2012年8月12日 (日)

置戸町オンネアンズのナキウサギ

 昨日、地形の研究者らに同行して置戸町のオンネアンズに行った。ここは1928年にナキウサギがはじめて確認された場所だ。山火事のあとに植林したカラマツが食害にあい、罠で捕獲を試みたところナキウサギが捕獲されたのである。「はじめて確認された」というのは「北海道でのナキウサギの生息が捕獲によって学術的に明らかにされた」という意味だ。もちろんアイヌの人たちはナキウサギの存在を知っていたのだろうし、入植者もナキウサギのことを「ゴンボネズミ」と呼んでいて存在を知っていた。

 ナキウサギの生息地といえば、大雪山の高山帯のガレ場を連想する人が多いかもしれないが、低山の森林帯にある岩塊地にも生息している。オンネアンズもそのような生息地のひとつだ。そして、このような低山に点在する生息地こそ道路建設や伐採などによって破壊される危険性が高いのである。

 オンネアンズ川流域は網の目のように林道が張り巡らされているのだが、この日は2カ所の生息地を確認することができた。一カ所は林道の奥にある岩塊堆積地で、規模は大きくはない。ここではナキウサギが噛み切ったベニバナヤマシャクヤクがあった。

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 もう一カ所は、「ナキウサギがはじめて捕獲された場所」と思われるところだ。林道からは岩塊地は見えないが、林内に入ると岩塊のある斜面が点在している。ただし、広大な露岩帯が広がっているわけではなく、航空写真などでは分からない。地形の研究者によると地滑り地形とのことだ。

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 岩塊の中に貯食が見られたほか、噛み切った植物もあった。また鳴き声も2回聞かれた。ここでは今でもナキウサギが生き続けているのである。

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 尾根の上部は平坦地となっており、おそらくここに植えられたカラマツの苗が食べられたのだろう。

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 ここには冷気が吹き出す風穴も見られた。岩の隙間に温度計を差し込むと6度前後まで温度が下がった。

 

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 じっくりと探せば、この一帯にはほかにも生息地があるのだろう。置戸町には中山風穴(春日風穴)もあり、ナキウサギ生息地が点々とある。ナキウサギ生息地に大規模林道も予定されていたが中止になった。これ以上、ナキウサギ生息地を壊すことのないように願いたい。

2009年10月22日 (木)

北海道のヒグマ出没予報の精度

 北海道は、この秋からヒグマ出没予想の情報提供をはじめました( 9月18日付北海道新聞)。これによると渡島半島部を除き例年並の出没だろうとのことです。これは、ドングリ・ヤマブドウのなり具合が例年並だという判断に基づいています。

 十勝管内では10月18日に浦幌町内で、20日に新得・清水間でヒグマが特急列車に衝突したという報道がありました。さる9月26日には糠平温泉近くの国道273号でバスにヒグマがぶつかっています。また、この夏以降、十勝北部の三股山荘のまわりや然別湖近くの道路にしばしば出没して話題になっていました。こうした情報から、ヒグマが餌を求めてかなり広範囲に歩きまわっている様子がうかがえます。

 過去にもドングリが不成りの年には、夏からヒグマが人里に出てくることがありました。そこで、今年のミズナラドングリのなり具合を調べてみたのですが、糠平ではまったくドングリをつけた様子がありません(これは昨年豊作だったので予期された結果なのですが)。さらに確認のため、9月27日に然別湖付近および十勝川上流に出かけた際に、ドングリの成り具合を調べてみました。然別湖の白樺峠で二本のミズナラにそれぞれ1粒のドングリが確認できただけで、それ以外のところではドングリをつけたミズナラを見つけることができませんでした。不作を通り越して凶作といえるほどの不成りです。

 北海道は例年並の成りとしているのですが、少なくとも十勝北部では、この判定はあたっていません。これが続発したヒグマの交通事故と、例年並みという出没情報の乖離の原因ではないでしょうか。北海道が予想するにあたって判断材料としたのは、主に道内の大学研究林から集められたデータでした。十勝地方からは足寄町の九州大学のデータだけで、その足寄のデータは凶作となっていました。

 ヒグマの出没予想情報を出すことに異存はありませんが、もう少し判定の精度を高めるための努力をしてもらいたいものです。北海道には鳥獣保護員という制度があったはずです。彼らからドングリの成り具合について情報を寄せてもらい、サンプリング地点を増やすなどすれば精度向上に繋がるでしょう。

2009年6月 9日 (火)

クマが通り抜けたベア・マウンテンのフェンス

 十勝のサホロリゾートにあるヒグマの放牧施設「ベア・マウンテン」のフェンスをはじめて見たときには、「シカやキツネならともかく、ヒグマを飼う施設のフェンスなのか?」と目を疑いました。電気柵を設置し、柵を二重にしているとはいうものの、金網製のちゃちなフェンスなのですから。十勝自然保護協会では、開園前から許可を出した十勝支庁や事業者の加森観光に、さまざまな疑問点ついて問いただしてきました。しかし十勝支庁は「『北海道動物の愛護及び管理に関する条例施行規則』で定める施設基準に適合しているかどうか審査し,また現地調査し,適合したものであると判断したところであります」として、許可が適正であったと主張しました。

 ところが、開園後まもなく外部から視察したところ、外周フェンスにクマが容易に通り抜けできる大きな空隙があったことを発見したのです。そこで再度、質問書を送付したのですが、回答期限を2週間もオーバーして届いた回答も、先の回答と基本的に変わらないものでした。現地調査をしているのに、クマが通り抜けできる穴のあるフェンスが、条例で定める基準に適合しているというわけです!! その後、この空隙には事業者によって金属製の格子が取り付けられました。

 これで問題がなくなったかといえば、とんでもありません。実は、冬季閉園中に野生のヒグマが二重のフェンスの間に入り込み、外周フェンスを通り抜けてしまったとの情報がありました。この件について十勝支庁に質問書を送付したところ、ヒグマの侵入についてはあっさりと認め、フェンスを通り抜けたことも否定しませんでした。穴を塞いでも、ヒグマが通り抜けできるフェンスだったことが証明されたといえましょう。これは、フェンスが条例で定めた基準を満たしていなかったことを意味します。常識的に考えたなら、許可を取り消さなければならない事態ではないでしょうか。

 で、十勝支庁に見解を求めたのですが、「サホロリゾート ベアマウンテンのヒグマ飼養施設については、動物愛護及び管理に関する法律の基準に従い、飼養しているヒグマの逸走を防止出来る構造及び飼養の方法について支障無いことを確認し、許可しております」という回答が、質問をした翌々日に返ってきました。都合の悪いことには一切答えず、「臭いものに蓋」をするかのような回答です。この許可の件は、十勝支庁にとってよほど都合が悪いことなのでしょう。

 この問題については、JanJanの以下の記事も参照してください。

自然な生態展示できるのか 北海道・新得町に建設中のヒグマ放牧施設 

餌の与え方、安全性に疑問残る北海道のヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」

危ういフェンス・ヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」

北海道ヒグマ放牧施設 「ベア・マウンテン」は条例違反か

2008年10月 1日 (水)

夕張岳とナキウサギ

Yuubaridake  昨日は夕張岳に登ってきました。写真の奥の山が夕張岳です。

 林道のゲートのことなど何も考えずに出かけたのですが、林道の入口に9月30日で林道のゲートを閉めると書いてあったのにはドッキリしました。最終日にギリギリセーフです。

 実は5月に足を捻挫してしまったために、今年は登山を控えていたのです。で、今年最初で最後の山ということで、ちょっとキツイかなとは思ったのですが夕張岳に登ることにしたのです。とにかく無理は禁物ですから、先日、スポーツ店に行って登山用の杖を買ってきました。ちょっと前までは、杖をついて登山などということは考えてもいなかったのですが、まったく情けないですね。

 平日ですし、ゲートの閉まる最終日ということもあってか、登山者は他には無し。誰にも合わない登山ほど最高のものはありません。雄大な山の景色を独占できるのですから。

 ということで登り始めは良かったのですが、標高1000メートルほどになると積雪がちらりほらりと…。標高1300mメートルほどの望岳台から先は登山道にも雪が積もっていて、雪の夕張岳登山になってしまいました。

 そういえば、大雪山では24日に初冠雪が確認されたのですが、この時に道内の山には一斉に雪が降ったようです。上の方は雪があることも予想はしていたのですが、尾根は風に飛ばされて雪はついていないのでは…とちょっと楽観していました。といっても雪の上に数人の踏み跡があったので、新雪を踏んでいくというわけではなく踏み後をたどっていきました。ズブズブ埋まる新雪状態だったら途中で引き返していたでしょう。

 凍った雪や濡れた岩は滑るので、どうしても慎重にならざるを得ません。特に、濡れた木道が滑るんです。何とか転ばずにすみましたが、ヒヤリとしたことも数回。いやはや、杖に助けられた登山でした。

 さて、夕張岳といえばナキウサギが生息していることで知られています。とりわけ夕張・芦別のエゾナキウサギは「絶滅の恐れのある地域個体群」として環境省のレッドデータブックに掲載されています。大雪山系から日高地方にかけての生息地からは離れていて、孤立した生息地なのです。

 夕張岳の一帯には岩峰が沢山あります。大夕張コースから夕張岳に登ると、前岳、男岩、ガマ岩、釣鐘岩など、岩峰を巻いていくのですが、岩峰から落下した岩が溜まっているところはナキウサギの生息地になります。また、夕張岳の山頂部にも岩が堆積しています。

 ただ、夕張岳の場合、岩のサイズがあまり大きくはありません。大雪山系の典型的な生息地のような大きな岩が堆積した岩塊地が少なく、岩の隙間が明瞭ではないのです。とりわけ新しく崩壊しているところは、岩のサイズが小さくてナキウサギの生息には不適です。

 ただし、すべての岩塊地で岩のサイズが小さいというわけでもなさそうです。岩の上に火山堆積物が積もっているところもあり、場所によっては岩と岩の空隙が火山灰で埋まってしまった可能性もあります。岩の堆積が厚いところでは、内部は比較的良好な生息地になっている可能性があります。たとえば新得町の低山にある生息地も岩の隙間が明瞭ではなく、外見ではあまり好適な生息地に見えないのです。

 岩の隙間を生息地にしているナキウサギにとって、夕張岳は好適な岩塊地はあまり多くないのかも知れませんが、岩塊の堆積状態がどの程度なのか、もっと綿密な調査が必要なようです。この山塊で生息しつづけてきたのですから、恐らくある程度の広さの生息可能地が点々とあるのでしょう。

2008年3月27日 (木)

エゾシカは減ってきたのか?

 いつもこの季節になると悩まされるのが、エゾシカによる庭荒らしです。雪が融けて間もない頃は、エゾシカが餌となる植物を求めて市街地にまで出てくるのです。公園などの芝生や、庭に植えられた園芸植物・樹木が彼らのごちそうになります。人家の庭先のわずかな植物まで食べなくても・・・と思うのですけれど。

 といってもエゾシカが庭先にまで現れるようになったのは、十数年ほど前からでしょうか。はじめはチューリップが狙われました。何とチューリップが大好物なのです。それからクロッカスやヒヤシンス、ムスカリなども食べられました。どうやらユリ科の植物は特に好きなようです。

 ある年などは、プランターに植えて並べたばかりのビオラの花が一晩できれいになくなっていました。朝、窓から庭を眺めてそれを見つけたときには、ビオラの花だけがきれいに消えていたので目を疑ったものです。

 さらにエスカレートしていって、オニゲシやアイスランドポピー、フロックスなどの宿根草もことごとく食べるようになりました。最近では食べないのは毒のあるスイセンやサクラソウなどの一部の植物くらい。食性もどんどん変わっていくかのようです。

 樹木ではイチイの樹皮が齧られるほか、ツリバナやサクラの幼樹、バッコヤナギの枝もバリバリと食べられてしまいました。イチイとツリバナは大好物です。

 夜になると、本当にシカさんたちが家の周りを闊歩しているのです。20メートルくらい近づくとさすがに逃げますが、車に乗っているとかなり近くでも逃げません。時には昼間でも出てきていました。毎年、「今年こそ数が減って庭に来ないで欲しい」と思っていましたが、必ず来るのです。

 一時は庭の周りに網を張ったり針金で柵をつくって侵入できないようにしたこともありますし、懐中電灯を持って夜回りをしたことも。で、最近はもうあきらめて何もしていませんでした。どうぞ勝手に食べてくださいとばかり、そのままにしていました。

 ところが今年は来ないのです! 雪が多い年はエゾシカも餌がとれず、餓死して個体数が減るのです。でも今年は雪がすごく少なくて雪融けも早かったので、エゾシカにとっては餌がとりやすい年だったはずです。それなのに、来ない・・・。どうやらエゾシカの個体数が減ってきているようですが、どうして減ってきているのかが今ひとつわかりません。

 世界遺産に指定された知床半島では、エゾシカが増えすぎて食害が深刻な状況になっており駆除もしているようですから、場所によって違うのでしょうね。

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