植物

2015年7月13日 (月)

久々の登山で緑岳へ

 11日に久しぶりに大雪山系の緑岳に登った。ここ数年、いろいろあって山から遠ざかっていたので、はて、何年ぶりの登山だろう。私は頻繁に登山をするほどの山好きではない。体力もないし健脚とは程遠いから、ゆっくりしか歩けない。それでも、たまには天井の楽園を覗いてみたくなる。

 東京に住んでいた若い頃は、週末に思い立って一人で山に行ったことが何回かあった。山行を思い立つと金曜日の夕方に食料などを買い込み、帰りの電車の中で行き先を考える。両親がしょっちゅう山に行っていたので家にはガイドブックや地図はいろいろあった。家に帰って夕食と身支度を済ませてから新宿駅に向かい、夜行列車で山に向かうというのがお決まりのパターンだった。

 ときどき山の自然に身を置くことで心身をリフレッシュするというのが最大の目的ではあったのだけれど、山の自然にはそれだけの力があると思っている。高山帯という極限の環境の中で生きている植物の姿は決して無駄がなく、限りなく清々しい。風雪に耐えた高山植物たちは一斉に花を開いて短い夏を謳歌し、無機質な砂礫地にすら可憐な彩りを添える。そんな景色を見るだけで心が洗われ、日常の人間関係でのごたごたが些細なことに思える。人は、ときどきこんな気持ちになることが必要なのではないかと思う。

 緑岳(標高2019m)の登山口は高原温泉(標高1260m)にある。登山口のすぐ近くに泥火山(泥水噴出口)がある。泥水が音をたてて煮えたぎるこの噴出口は、規模は小さいながら地球の鼓動が伝わってくるようだ。
P10609771


 その周囲に固有種ダイセツヒナオトギリが花をつけていた。
P10609262


 急な斜面を登り切って第一花畑に出ると、目の前に緑岳の姿が現れる。花畑にはチングルマが咲き誇っていたが、ツガザクラなどはまだこれからだ。
P10609743


 こちらは、ミヤマリンドウとヨツバシオガマ。
P10609324


 第一花畑、第二花畑を抜けハイマツの茂る道を過ぎると、目の前に山頂への大斜面が現れる。写真で見ると傾斜が分からないが、けっこう急な登りだ。
P10609415


 山頂からは白雲岳、旭岳、高根が原が見渡せる。そして遠くにトムラウシ山。写真は旭岳。
P10609526


 山頂のイワウメ。イワウメは、米粒ほどの小さな葉には不釣り合いの大きな花をつける。
P10609547


 こちらはミヤマキンバイ。
P10609518


 同じく、山頂のイワヒゲ。釣鐘状の花が愛らしい。
P10609649

 こんな景色が待ち受けているから、文句なしに山はいい。

2015年7月10日 (金)

初夏の原生花園

 少し前のことになるが、7月5日に十勝川の河口近くの長節湖とトイトッキ浜で植物観察会があり参加した。講師は若原正博さん。

 日中は暑くなるかと思いきや、海岸に近付くにつれ雲が空を覆いはじめ、観察会がはじまる時は涼風がたっていた。海岸の天気は行ってみないと分からない。

 このあたり一帯は原生花園となっており、春から秋にかけてさまざまな花が草原を彩る。6月にはセンダイハギが黄色い鮮やかな花をつけるのだが、大半が実になっていた。今の季節はハマボウフウ、エゾノヨロイグサ、マルバトウキなどのセリ科の白い花に、ハマナスやノハナショウブ、エゾフウロなどが彩りを添えている。

P10609231

 以下、植物を少し紹介したい。

 下の写真はノハナショウブ。この原生花園にはアヤメ、ヒオウギアヤメ、ノハナショウブが咲くが、今はノハナショウブが美しい季節。花弁の黄色い斑がポイントだ。

P10609022


 こちらはエゾフウロ。あちこちでピンクの可憐な花をつけている。
P10609133


 砂浜に生育するハマベンケイソウ。青い花が可愛らしい。
P10609004


 こちらも砂浜に生育するハマボウフウ。

P10608975


こちらは蘭の仲間のエゾチドリ。
P10609106


 トイトッキ浜の原生花園の一部は北海道の天然記念物に指定されているのだが、ここにはガンコウランやコケモモ、ハナゴケ(地衣類)など、高山性の植物も見られる。

 コケモモの花。
P10609177


 ガンコウランは黒い実をたわわにつけていた。
P10609118

 以前も同じような季節にこの海岸を訪れたことがある。あの時はまだ母が元気で、植物が好きな母は原生花園の散策をとても楽しんでくれた。長節湖は霧に霞んではいたが、靄の中に浮かぶ花々はそれはそれで幻想的だった。

 花の観察にはいい季節なのに、あの時に比べて今回は何か物足りない。しばらくしてその原因が分かった。セリ科植物の花をエゾシカが食べてしまっているのだ。シカが悪いわけではないのだけれど、草原に林立するセリ科植物の花が少ないのは何とも寂しい。

2015年6月 8日 (月)

日高地方のサクラソウ移植に思う

 6月7日付けの北海道新聞の日曜版「日曜Navi」に、全道の植物調査をしている五十嵐博さんの活動が紹介されていた。その記事の中で、むかわ町の「まちの森」に移植されたサクラソウのことが紹介されている。

 サクラソウの仲間にはオオサクラソウやエゾコザクラ、クリンソウなどいろいろな種があるが、単に「サクラソウ」という種名のものもあるのでちょっと紛らわしい。このサクラソウは、江戸時代に荒川の河川敷に自生していたものを栽培してさまざまな品種が生みだされたことで知られている。

 サクラソウは、北海道では日高地方にのみ分布しているのだが、自生地が日高自動車道(国道の高規格幹線道路)の用地となり危機に瀕しているということを、かつてサクラソウ研究者である鷲谷いづみさんからお聞きしたことがある。鷲谷さんはサクラソウ保護のために開発局に申入れをして尽力されたと聞く。

 このサクラソウ保護の件をめぐって日高地方の植物愛好者の方などとやりとりしたことがあるが、結局、自然保護運動という形にはならなかったようだ。日高地方にはいわゆる自然保護団体がない。だから、平取ダムの反対運動なども地元からは起きなかった。

 で、このサクラソウの件がその後どうなったのか知らなかったのだが、新聞記事によると町民有志が数年がかりで自生地から「まちの森」に移植したそうだ。「まちの森」には現在1万5千株以上が生育しているという。

 高規格道路で自生地が縮小されておしまい、となってしまうよりは確かにいいのだが、移植でしか対処できなかったことはやはり残念というしかない。移植は「種」の保全にはなっても決して生育地保全ではないし、これでは日高のサクラソウ群生地が守られたとは言えない。野生生物や生物多様性保全というのは本来の生息・生育地そのものが守られてこそのものだからだ。

 サクラソウは環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されているし、北海道では日高地方の限られたところにしか生育していない。道路建設にあたっては環境アセスメントを実施しているはずだが、保護すべき希少植物の生育地があってもこの国では生息地保全が優先されないのだ。「はじめに建設ありき」で計画が進められるために、希少動植物や生物多様性保全は単に努力目標になっているにすぎない。レッドリストに登載されたからといって保全義務があるわけではないのは事実だが、いったい何のためのレッドリストであり生物多様性保全なのかと思わざるを得ない。

 開発予定地に希少な植物が生育している場合、その保全策の定番が「移植」だ。しかも、移植をした後に枯れてしまう場合も少なくない。「まちの森」に移植したサクラソウは無事生育しているようだが、サクラソウは一般に種子でもよく増えるし有毒でシカが食べないなどの条件も関係しているのだろう。これを保護の成功例とか美談にしてはならない。

2014年9月21日 (日)

青い小花が涼しげなチシマセンブリ

 十勝の海岸ではチシマセンブリが見られる。チシマセンブリは4弁の青い小さな花を咲かせる愛らしい植物だ。ところが、場所によってずいぶん感じが異なる。下の写真は浜大樹のチシマセンブリ。花の色は水色で、花も草丈も10センチくらいしかない。確か、然別火山群の東ヌプカウシヌプリで見たチシマセンブリも、こんな感じだった。

P10600401

 こちらは十勝太や豊北原生花園のチシマセンブリ。花は大きく紫がかった青色で、草丈も20センチ前後ある。
P10601452

P10601543


 地理的に大きく離れているわけではないのに、場所によってこれほどにまで形態が異なっている植物はそれほど多くないのではなかろうか。知らなかったら別種だと勘違いしそうだ。

 こうした違いは生育場所の環境からくるのだろうか? 見た目には同じような環境としか思えないのだが、ここまで形態が違うのはちょっと不思議だ。

 豊北原生花園にはガンコウランの広大な生育地があり、コケモモやハナゴケなどもある。なんだか高山に来たような気分になる。
P10601524


 しかし残念ながら、盗掘をする人がいる。下の写真のように、ガンコウランの群落の中に植物を掘り取ったと思われる穴がポッカリと開いていた。
P10601505


 一部の植物愛好家による盗掘だと思うのだが、私はこういう人たちが真の植物愛好家だとは思わない。単なる山野草マニアで、所有欲が強い自己中の人間だ。ほんとうの植物愛好家ならありのままの自然を大切にするし、生物多様性の保全に逆行したり、絶滅に加担するような行為はしないに違いない。

2014年9月19日 (金)

道路脇に生きるエゾマツムシソウ

 先日、浜大樹の海岸のエゾマツムシソウのことを書いたが、北海道のエゾマツムシソウの分布東限のことが気になって、再び十勝の海岸に出かけた。

 ネット情報によると晩成温泉のあたりには間違いなくあるのだが、それより東での情報が出てこない。晩成以東には分布していないのだろうか? そう思ってまず行ったのが十勝太(浦幌十勝川の河口)だ。ここは河口の左岸に海食崖が続いており、台地の上にはガンコウランの群落もある。浜大樹と似た環境があり、エゾマツムシソウが生育していてもおかしくない。海食崖の上を昆布刈石方面に向かってしばらく進んだが、残念ながら見つけることはできなかった。

 台地の下の河口部も覗いたが、ここも海浜植物ばかりでありそうにない。ついでに豊北原生花園にも行ってみた。ここにはガンコウランの広大な群落があり、コケモモやハナゴケもある。しかし、目を凝らして薄紫の花を探したが見つけることはできなかった。

 そこで、晩成に向かった。まず晩成の海岸に降りて下から台地の縁を見上げたが、エゾマツムシソウの薄紫の花は確認できない。温泉のある台地上にもどって生花苗沼方面へと道を進むと、舗装道路の脇にエゾマツムシソウが咲いている。道路脇にはコハマギクやエゾフウロもある。

P10601581
P10601612


 生花苗沼は、海岸に沿って沼の一部が南西に細長く伸びている。エゾマツムシソウはその海食崖の縁にもあるのだが、人為的な環境である道路脇にも広がっているのだ。

 生花苗沼から引き返し、ホロカヤントウ沼も覗いてみた。以前来た時にはあったキャンプ場の小さな小屋と炊事棟がなくなっていた。海岸浸食が進み、取り壊したのだろう。ここの砂洲にもガンコウランの群落があるが、そこにはエゾマツムシソウは見られない。エゾマツムシソウがあるのは、やはり道路脇だった。

 エゾマツムシソウは海岸の砂地では生育できないようだ。海食崖の上や、ある程度安定した崖地に生育している。また草丈の低いエゾマツムシソウは、高茎草本が繁るところでは生きてはいけない。ササなどが繁茂しているところには生育できないが、草丈の低いガンコウランなどとなら共生できる。こうした限られた条件下で生き続けてきた植物と言えそうだ。

 道路脇は道路管理者によって草刈りが行われているのだが、この草刈りがエゾマツムシソウの生育を可能にしているのだ。もし草刈りをしなくなったら、高茎植物が繁茂して道エゾマツムシソウは消えてしまうだろう。

 さて、生花苗沼の南部にまでエゾマツムシソウが分布していることは分かった。しかし生花苗沼以東にも海食崖はあるので、ここが東限だと言い切ることはできない。

2014年9月15日 (月)

海岸に咲くエゾマツムシソウ

 14日は、浜大樹の海岸で行われた植物観察会に参加した。この日の私の最大の目的はエゾマツムシソウだった。

 十勝の海岸部は春から夏にかけては何回か行っているのだが、よく考えてみたら秋にはほとんど行ったことがない。エゾマツムシソウは、花の時期に行かなければまず気がつかない。

 私の故郷は信州の上諏訪で、霧ヶ峰には子どものころから何度となく行っている。その霧ヶ峰を代表する花といえば7月に高原を黄色く染めるニッコウキスゲと8月から9月にかけて藤色の花を咲かせるマツムシソウだろう。涼風の立ち始めた初秋の草原に咲き乱れるマツムシソウの花は、どことなく寂しげで哀愁を誘う。父の命日の頃はちょうどマツムシソウが盛りを迎える。父が亡くなってからは母と何度か霧ヶ峰を訪れたが、いつもマツムシソウの季節だ。その母も今年他界した。マツムシソウを見るとさまざまな思いが蘇る。

 北海道にはエゾマツムシソウがあるのだが、実は信州のマツムシソウとはずいぶん趣が異なる。信州のマツムシソウは、草丈が50センチから90センチほどになる。それに対して、エゾマツムシソウはずっと小さく、今回見たものはせいぜい15センチくらいしかない。風の強い海岸の地べたにしがみつくように生えている。色も信州のものより幾分濃い藤色だ。

P10600491


P10600512


 海岸といっても砂浜に生育しているわけではない。海食崖の上の草地に生育しているのだが、ガンコウランの群落にも入り込んでいる。ガンコウランとエゾマツムシソウが一緒に見られるのは、北海道の一部の海岸だけではなかろうか。

P10601213


 エゾマツムシソウは思っていたより沢山あり、そのちょっと不思議な光景を堪能することができた。カシワの海岸林と海食崖の間の僅かな草地にしか生育できないようだが、海食崖の浸食が進んだり、ササが繁茂したら生育地がなくなってしまうのではないかと心配になる。

 いつまでも可憐な姿を絶やさずにいてほしいと思う。

***

こちらはマツムシソウが出てくる父の随筆と詩。

http://yamanobanka.sapolog.com/e76031.html
http://yamanobanka.sapolog.com/e76052.html

http://yamanobanka.sapolog.com/e76053.html

 

2014年6月23日 (月)

オダマキの花の色

 一昨年、友人が「珍しい白花のミヤマオダマキの種子があるから播いてみない」と言って、小袋に入れた種子をくれた。友人の家の庭には普通の紫色のミヤマオダマキの他に、白い花をつけるミヤマオダマキがあり、その種子をとっておいたというのだ。

 さて、この種子から育つオダマキはみんな白色の花を咲かせるのだろうか? それとも紫色の花をつける株もあるのだろうか? そう思いながら昨年その種子を播いた。そして、今年になって花をつけた。

 結果を咲きに言ってしまうと、20株ほどのオダマキのうち14株が花をつけたのだが、すべて白色だった。私は内心、紫色の花を咲かせる株もあるのではないかと思っていたので、ちょっと意外だった。

P10506481

 たいぶ前のことなのだが、西洋オダマキの種子を播いたことがある。種子の袋には紫や黄色、赤、白などカラフルな花の写真がプリントされており、花が咲くのを楽しみにしていた。オダマキは種子を播いた年には花をつけず、2年目に花を咲かせるのだ。

 2年目にようやく花が咲いたのだが、下の写真のようなカラフルとは程遠い地味な淡色の花しか咲かず、なんともがっかりしてしまった。

P10506492

 このオダマキはとても丈夫で、種子がこぼれてあちこちから芽を出した。そして、一昨年、濃い紫色の花を咲かせる株が現れたのだ。おそらく眠っていた紫色の遺伝子が発現したのだろう。

P10506513

 さらに今年は、ミヤマオダマキのように紫と白の二色の花をつける株が現れた。

P10506524

 だから、今年咲いた白花のミヤマオダマキも種子繁殖をくり返していたなら、そのうち紫色のミヤマオダマキが出現するかもしれない。

2013年10月29日 (火)

日高の秋を彩る赤い木の実

 先日、日高の幌満に出かけた。幌満というのはアポイ岳の近くである。ちょうど紅葉のシーズンだったのだが、ナナカマドやカエデなど赤くなる葉がきれいに色づいておらず、なんとも冴えない光景だった。

 そんな中で、赤い実をつけている植物がいくつかあった。下の写真はヒロハヘビノボラズ。

P10503041

 こちらは落ちていたキタコブシの実。

P10503062

 下の木は赤い実をたわわにつけているのだが、何の木なのか分からなかった。

P10503213

 あとで図鑑で調べたところワタゲカマツカ(別名ウシコロシ)だと知った。ウシコロシとは何ともぶっそうな名前だが、「牛が枝の間に角を入れると、抜くことができなくなるくらい強靭」であることに由来するようだ。

 日高地方というのは、ちょっと変わった植物が分布することで知られている。変わったというのは、北海道では分布が日高以南(以西)に限られるという意味だ。たとえばクリとかサンショウ、クサギ。ワタゲカマツカも同じような分布をする植物だ。

樹木の分布:日本要素・大陸要素の北上 

 また日高にはキタゴヨウがあることで知られ、幌満一帯のキタゴヨウ自生地は国の天然記念物にも指定されている。もっとも北海道でのキタゴヨウの北限は十勝地方のピシカチナイ山だ。どうしてこんな分布をするのかとても不思議だ。

P10502974

P10503145

P10502986

 植物の分布は地史的な視点から見る必要があるが、なかなか奥深いものがある。

2013年8月 5日 (月)

奇形のデルフィニューム

 涼しい気候の北海道ではデルフィニュームが見事な花を咲かせる。初夏に涼しそうなブルー系の花を咲かせるデルフィニュームは私の好きな花の一つで、庭にも数株植えている。今年は、その中に奇形の花を見つけた。

 ちょっと珍しいと思ったので皆さんに写真をお見せしたいと思う。

P10409871

 花茎が扁平になって、花穂が途中から二股に分かれている。こんなデルフィニュームの花を見たのは初めてだ。

 こういう写真を掲載すると「放射能の影響では?」なんて思う人もいるかもしれない。

 いつだったか、帯状化したセイヨウタンポポを複数見たことがある。あれはチェルノブイリの原発事故の前だったのだろうか、それとも後だったのだろうか? 記憶がどうも曖昧だ。その時は放射能の影響なんて考えもしなかった。そう言えば、2011年には複数の花が合体したようなモモバキキョウの花が咲いた。そして今年はデルフィニュームの花の奇形。

 しかし、植物の奇形は比較的よく見かけるので、原因は不明としか言えない。原発事故があると、その影響ではないかと結びつけて考えてしまいがちだが、あまり安易に放射能を持ち出すのも適切ではない。

 原発事故のあとに今まで以上に目立って奇形が増えたというのならそれは放射能の影響が考えられるが、この程度ではとても因果関係を云々できるほどの事例ではない。だから「放射能で奇形のデルフィニューム」などと拡散しないで欲しい。

2012年10月 5日 (金)

絶滅が懸念されるカラフトグワイ

 カラフトグワイは、寒冷地の湖沼に生育するオモダカ科の水生植物で、浮葉性の葉をつける。北海道にも生育するのだが生育地が限られ、絶滅が懸念されている。環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類だ。

 カラフトグワイの図が記載された文献は少ないのだが、滝田謙譲氏の図が知られている。以下参照。

カラフトグワイ(北海道レッドデータブック)

 滝田氏の図では、葉が矢尻状の特徴的な形をしている。しかし、実際にはこのような形状の葉は少なく、多くの葉はヤナギの葉のような細長い形だ。滝田氏の図を頭にインプットしていると、まるで別種であるかのような印象を受ける。以下がカラフトグワイの葉。

P10403011


 この写真の一部を拡大してみると、葉の基部が尖って矢尻状になっている葉が4枚ほどあるのが分かる。でも大半は細長い葉だ。

P10403012


 滝田氏の図は花をつけている個体なのだが、成熟しないと矢尻型の特徴的な葉をつけないようだ。こんどは花の時期に行ってみたい。

 カラフトグワイは湖沼に生育するため、生育地の湖沼の環境が悪化することで容易に絶滅してしまう。そして近年懸念されるのが外来種のウチダザリガニによる食害だ。人間が営利目的で湖沼に持ち込んだウチダザリガニは、希少植物の絶滅をもたらしかねない。

 ウチダザリガニは一度侵入してしまうと根絶させることはほぼ不可能だ。せいぜい捕獲によって個体数を減らしたり増加を抑えることくらいしかできない。この群落もウチダザリガニの脅威にさらされているといえるだろう。

 このような湖沼に生育する水生植物は生育地が隔離されている。野鳥などが種子を運ぶことで分布を拡大させるのだろうか? 

 ところで、このカラフトグワイの写真は先日カヌーから撮影したものだ。カヌーは30年ほど前に「フジタカヌーST-2型」の組み立てキッドを購入した。当時はカヌーに乗る人は限られていたこともあり、かなりマニアックな趣味だった。

P10403113


 カヌーを購入するきっかけは、知人の組み立て式カヌーに乗せてもらったことだ。十勝川の川下りをしたのだが、音もたてずに水面を滑るように進むカヌーは実に気持ちがいいし、水面に近い位置から野鳥などが観察できる。そんなこともあってレジャーというより観察や調査に使えると思った。

 かつてカヌーに乗せてもらった彼は、学生時代にアラスカのユーコン川の川下りをしたというツワモノだ。その後、彼は木製カナディアンカヌーの製造を手掛け、今ではカヌーの輸入卸売会社を経営している。

 フジタカヌーST-2は骨組みが木製のためにちょっと重いのが難点だが、折り畳み式なので普通の車で持ち運びができる。組み立ては慣れると20分くらいでできるのだが、今回は久しぶりに組み立てたので40分ほどもかかってしまった。もう長いこと使っていなかったので浸水しないかとひやひやしたが、なんの問題もなかった。まだしばらく使えそうだ。

 パドルにニスを塗る前にアクリル絵具で水鳥の絵を描いた。左からシロカツオドリ、ソリハシセイタカシギ、アホウドリ、アジサシ。こういうことができるのも組み立てキッドのいいところだ。ただし、今はこのタイプは製造していない。

P10403144


 今度は、このカヌーでミズグモの調査に行ってみたいと思っている。ミズグモは環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類になっているが、池沼に生息することもあって基本的な生息調査すら行われていないのが現状だ。生息地となる池沼や湿地は減少しており、絶滅が懸念される。

フォト

twitter

2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        

最近のトラックバック

無料ブログはココログ