森林問題

2011年10月17日 (月)

石狩川源流部の国有林違法伐採プレスリリースの考察

 北海道森林管理局は、14日に大雪山国立公園の石狩川源流部での違法伐採について、今年になってから自ら行った調査結果を公表した。以下が、プレスリリース。

上川中部森林管理署管内国有保安林における森林法違法行為について(PDF)

 これによると、今年行った調査は伐採予定区域内とそれに隣接する森林での全伐根の調査と集材路の再確認、請負業者からの聞き取りと関係書類の確認とのことだ。現地はかなり広大(北海道新聞の報道によると約130ヘクタール)で起伏があり、場所によってはササが深く生い茂っているため、全伐根の調査は容易ではない。相当数の職員によって何日もかけて行われたのだろう。北海道森林管理局は、昨年の秋の時点では「調査しない」と言っていたのだから、このような時間と人手をかけた調査を行ったことは大きな前進といえる。

 報告によると、越境伐採は合計で437本(220立方メートル)だ。昨年の調査では越境伐採は77本(区域外伐採52本、土場作設の際の伐採25本)だったのだから、昨年はきわめていい加減な調査しかしていなかったということだ。また違法に開削された集材路の長さは13,753メートル、すなわち13.753キロメートルであったことを認めた。昨年の調査では12.214メートルだったので、1.539メートルの新たな違反が確認されたことになる。なお、土場の新設は0.41ヘクタールの超過で、これは昨年の調査結果と変わらない)。

 越境伐採と知事の同意を得ていない集材路や土場の新設については、森林法第34条第1項第9号及び同条第2項第6号違反に当たると認めている。当然のことだ。ただし、このような違法行為が行われたことの原因の説明については首をひねってしまう。

 越境伐採については業者の作業員が越境していることを知りながら土場に近い場所で立木を集中的に伐採していたというのだ。しかし、昨年自然保護団体が指摘した越境伐採の場所は土場とは程遠い一番奥の場所だったのだから、この説明とは合わない。越境伐採の伐根のあった地点を落とした地図を提示すべきだ。それに業者が勝手に土場に近い場所で集中的に越境伐採したということなら、森林管理局の職員が境界を越えて収穫調査をしたということにはならないし、支障木にも当たらない。この違法に伐採された木は盗伐にはならないのだろうか? 森林管理局の理由はにわかには信じられない。

 では、伐採予定区域内での伐採はどうだったのか。報告によると、その超過分の合計は1,565立方メートルだ。仮に1本が1立法メートル(胸高直径が36センチのトドマツの材積はおよそ1立法メートル)として本数に換算したなら1,565本になる。販売木ではない木をどれほど大量に伐ったのかがイメージとして分かるだろう。

 不思議なことに、全伐根の調査をしているのに確認した伐根の本数がまったく記載されていない。越境伐採については本数を出しているのに、なぜ伐採予定区域内の調査結果では本数を隠しているのだろう。自然保護団体が8月に一部の林小班で調査したときには本数で4.6倍も過剰に伐っていたことが分かっている。この地域では7903本が伐採予定木だったので、過剰伐採の本数は万単位の数になるのではなかろうか。

 この伐採予定区域内での過剰伐採は「盗伐(森林窃盗)疑惑」と関係してくるために極めて重大な問題だ。この調査報告では主な原因を「請負業者が支障木(伐倒作業や集材路作設の支障となるために伐倒する立木)を上川中部署の監督職員等に断り無く伐採したことが共通の原因となっています」としている。本来、支障木が発生する場合は森林管理署に届け出なければならないのだが、それをしなかったというわけだ。

 しかし、この理由もかなり苦しいと言わざるを得ない。自然保護団体の調査ではナンバーテープのない伐根(販売木ではない)は細いものから太いものまで様々であり、支障木と思われるものがあったことは否定しないが、直径が5、60センチもある太い木も多数伐られていたことを確認している。売ったならかなりの収益になるだろう。だから網の目のように集材路を張り巡らせて販売木以外の木を多数伐採したのではなかろうか。

 また、その他の理由として「請負事業者の現場作業員が自らの判断で、土場から遠い箇所の伐採予定木の一部を伐採しない代わりに近い箇所にあった伐採を予定していない立木を伐ったり、伐採予定木であることを示す番号札を別の太い立木に付け替えて伐採するという、自らの作業負荷を不正に軽減するためと考えられる悪質な行為を行っていました。」としている。土場から遠いところにある木のナンバーテープをはがしてきて、土場の近くの立木に付け替えるなどという話しは聞いたことがない。これが事実なら伐根に残されたナンバーテープの色・番号とその位置から立証できると思うのだが、裏付けるデータは公開されていない。

 過剰に伐られたのが支障木だとしても(私はそうは思わないが)、土場に運ばれて販売されたはずだ。とすると収穫調査で算出された材積より、土場に積み上げられて販売された丸太の材積の方がはるかに多くなるはずだ。ところが昨年の秋の現地説明会では、土場に出された木の材積は収穫調査の材積とほとんど変わらないと言っていたのだ。あの説明は今回の調査結果と矛盾する。森林管理局の言うように両者の材積の差が大きくないということなら、過剰伐採分の材がどこかへ消えてしまったことになる。ここで何らかのからくりによって盗伐が行われているという疑惑が生じるのだ。だから、具体的な数値まで公表し、納得できる説明がなされなければならない。

 これほどの過剰伐採は、市民の目から見れば盗伐としか思えないのだが、その可能性については一切触れていない。森林管理局の理由づけは、なんとか盗伐以外の理由で済ませたいという意図がうかがえるのである。得られたデータを棚に上げ、かなり頭をひねって「原因」を考え出したのではなかろうか。

 また報告では業者、職員の不正を認めて処分を明記しているのだが、その具体的処分内容には触れていない。軽くすまされる問題ではないだろう。

 林野庁が自ら大掛かりな調査を行って不正を認め、業者と職員の処分を決めたことは自然保護団体の活動の大きな成果であり評価できる。しかしこの報告は不完全であり闇に包まれた部分がかなり残されている。国立公園の森林の生物多様性を破壊した反省も書かれていない。今後はこれらの点について問いただしていかなければならないだろう。

2011年8月24日 (水)

大雪山国立公園の石狩川源流部で驚くべき過剰伐採

 私は参加できなかったのだが、去る21日、大雪山国立公園の中の石狩川源流部で日本森林生態系保護ネットワークと市民らが違法伐採の調査を行った。この違法伐採についてはこのブログでも何回か報じてきたが、2009年に日本森林生態系保護ネットワークのメンバーが調査に入って疑惑が発覚したものだ。2010年には北海道森林管理局の職員とともに現地に視察に入り、説明を求めていた。

 北海道森林管理局は違法な集材路や土場、そして一部の越境伐採は認めたものの、ナンバーテープのない伐根が多数あることについては違法と認めていなかった。そこで調査をするように求めたのだが、前向きな回答は得られていなかった。このために今年6月に市民団体が自ら調査しようと現地に入ったところ、伐根に新たなナンバーテープが付けられていたのだ。 以下がその写真。

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 この新しいナンバーテープについて北海道森林管理局に問い合わせると、今年に入ってから自分たちで伐根調査をしているとのことだった。そこで、市民団体としても調査をしてみようということになった。計画伐採本数が153本となっている区画(小班)を選んで調査したのだが、なんと697本もの伐根が見つかった。544本もの木が過剰に伐られていたことになる。これは計画伐採本数の4.6倍にあたる。

 現場に行ってみるとよくわかるのだが、細い木が残されてスカスカの森林になっている。つまり、お金になりそうな大きさの木はほぼ伐りつくされてしまったということなのだ。伐根の直径はさまざまだが、40~50センチの木が多く、中には80センチ以上の大径木もあった。

 調べたのは一部の区画だけなので、他のところもこれほど過剰に伐っているのかどうかは分からないものの、おそらく計画伐採本数の数倍の木が違法に伐られたのではなかろうか。とすると、これは業者が出来心でちょっとだけ余分に伐ったなどという話しではない。お金目当ての盗伐だろう。伐採対象になっていない木を大量に伐って平然としている業者と、それを見て見ぬふりをしている林野庁の姿が見て取れる。それにしても過剰に伐られた木はどう処理されたのか?

 北海道新聞の報道によると、北海道森林管理局による伐根調査は今年の6月から7月にかけてのべ1000人体制で行われたという。森林管理局は9月にも結果を公表するとしているのでそれを待ちたいが、調査結果の誤魔化しは許されない。それに、昨年の「過剰に伐ってはいない」という言い訳についてきっちりと謝罪してもらわねばならないだろう。

 北海道での違法伐採に関しては、市民団体が「えりもの道有林」「上ノ国の国有林」などの事例を明らかにしてきたほか、大雪山国立公園の「幌加・タウシュベツの皆伐」、十勝東部森林管理署管内のナキウサギ生息地破壊なども追及してきた。それでもなお、国立公園の山奥で林道ゲートに鍵をかけ、こんな大規模な違法伐採が行われているのが実態だ。

 この木にはクマの爪痕がつけられていた(左下の斜めに並んだ5本ほど筋が爪痕)。ここに棲んでいるキムンカムイもこの酷い伐採を怒っているに違いない。

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石狩川源流部違法伐採合同調査での林野庁のおかしな説明
越境伐採を隠ぺいした北海道森林管理局 

2010年11月14日 (日)

越境伐採を隠ぺいした北海道森林管理局

 石狩川源流部での違法伐採で、10月16日に現地で林野庁の職員と自然保護団体のメンバーによる合同調査があったことは以下の記事に書きました。

石狩川源流部違法伐採合同調査での林野庁のおかしな説明 

 この記事で、音更沢で小班界を尋ねたところ「わからない」というとんでもない事態になったことについて触れました。森林管理者が林班や小班の境界が分からないというのですから、いったいどうなっているのかということになります。

 上記の記事で書いたように、昨年、自然保護団体から違法伐採の指摘を受けた北海道森林管理局は自ら調査を行っています。そして、集材路を測量して「集材路実測図」をつくりました。その実測図には、白い紙に網の目のような集材路が赤線で描かれているだけで、林班界・小班界は入っていません。等高線も入っておらず、森林基本図に落としたものではないのです。なぜ、森林基本図の上に集材路を書き込まないのでしょうか? しかも、集材路実測図は「足どり図」(森林基本図に書き込んだもの)と縮尺が違うので、重ね合わせることができないのです。私はそのことが不思議でなりませんでした。

 しかし、合同調査のあとでその訳がわかりました。私たちは合同調査のあと、GPSデータを基に「足どり図」と「集材路実測図」を重ね合わせてみました。すると、合同調査のときに林班界を問いただした場所は伐採対象区域の外だったのです。ここにはナンバーテープのついている伐根とついていない伐根がありました。つまり、越境伐採をしていたのです。だから、林班界がわからないととぼけたのでしょう。

 森林管理署は集材路を測量して図に落としていますので、全域にわたって調査しているはずです。また、集材路の入口付近では越境伐採を認めていますので、林班界や小班界も把握していたはずです。ところが、奥の越境伐採については報告書に記載しなかったということです。これを隠ぺいといわないで、何というのでしょうか。一部だけを認め、あとはお茶を濁そうという魂胆だったのでしょう。

 日本森林生態系保護ネットワークは、12日にこの越境伐採について、北海道の保安林グループに調査を行うよう申入れ、記者会見をしました。

 この申入れについては13日の北海道新聞でも小さな記事になりました。その記事によると北海道は「ただ、道は国有林伐採について同局に同意を与える権限はあっても、調査・監督権限はなく、この日は道から同局に対し適正な対処を求めるにとどまった」となっています。

 越境伐採を隠ぺいしてとぼけている北海道森林管理局には怒りを覚えますが、北海道のこの対応もなんとも情けない。保安林を違法に伐採したのですから、きっちりと確認のための調査をするというのが筋でしょう。越境伐採を知りながら自然保護団体を欺いた北海道森林管理局には、納得のいく再調査をしてもらわねばなりません。

2010年10月18日 (月)

石狩川源流部違法伐採合同調査での林野庁のおかしな説明

 16日に石狩川源流部の違法伐採現場で、林野庁の職員と環境省の職員、そして自然保護団体である日本森林生態系保護ネットワーク(以下、ネットワーク)のメンバーで合同調査が行われました。合同調査の報告をする前に、これまでの経緯を簡単に説明します。

 問題となっているのは2009年に大雪山国立公園内の三角点沢、音更沢、天幕沢で行われた伐採です。大量の木が伐られているとの情報を受けたネットワークが2009年9月と11月、2010年6月に調査に入り、盗伐の可能性のあるナンバーテープのない伐根があったこと、保安林内の作業許可条件を大きく超えた土場や集材路が作設されたことなどを確認しました。これらは新聞でも報道されました。

 違法伐採の指摘をされた北海道森林管理局は調査を行い、9月10日に調査結果を公表しました。その内容は、①森林法に基づく知事の同意の範囲を超えて作設された集材路は、その距離が12キロメートル以上に及び、同じく範囲を超える土場の面積は4100平方メートルに及んだ。②知事の同意を得ずに伐採された樹木が77本(音更沢の越境伐採が52本、三角点沢の土場作設の際の過剰伐採25本)あることを認めたというものです。

 ネットワークはこの9月18・19日にも現場に調査に入り、調査の様子はマスコミでも報道されました。以下は調査に参加した私の報告記事です。

石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠
石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」

 ネットワークはこの調査をもとに、9月24日付で林野庁長官あてに要望書を送付し、10月16日に自然保護団体との合同調査をすることになったのです。

 さて前置きが長くなりましたが、ここから16日の合同調査の報告です。

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 初めに入ったのは三角点沢です。ネットワークは9月19日に方形区(約0.25ヘクタール)を設定し、伐根を数えました。その結果、ナンバーテープのついている伐根が21本、ついていない伐根が35本の、計56本の伐根を確認しました。テープ番号の連番から推測するなら、テープが脱落した可能性があるものは多くて6本です。この6本を差し引いたとしても29本のテープのない伐根があり、これは盗伐ではないかと追及しました。

 この疑問を解消するためには、収穫調査をした木の本数と実際の伐根の数を比べればいいだけです。それが一致すれば盗伐はしていないことになりますし、収穫対象木より伐根の数のほうが大きければ、業者が多く伐ったことになります。ですから、私たちは伐根を数えるよう求めたのです。全域で伐根調査をするのが大変だというのなら、とりあえず一つの小班を選んで行ってもいいと。これに対する森林管理局の説明は以下のようなものでした。

 製品販売(素材生産)の場合、収穫調査の時に収穫木(調査木)の幹につけたナンバーテープを伐採時に伐根に移し替えるよう、業者に義務づけていない。テープのある伐根とない伐根が混在しているのは、伐採作業をした人の習慣による違いだろう。指定した収穫木以外の木まで伐れば余計な仕事をすることになるので、そんな損になることを業者がするはずがない。伐根を調べなくても、土場に積み上げた丸太の材積から管理は十分できる。

 しかし、これはとてもおかしな回答です。56本中29本もの不可解な伐根があるという事実を突き付けられたのです。国民の共有財産であり自分たちに管理責任がある樹木が倍以上伐られたのではないかと疑いをかけられた以上、国有林の管理者であり業者の監督責任のある森林管理署は、疑いを晴らすために伐根調査をするのは当たり前のことではないでしょうか。だいたい、土場に積まれた丸太の材積だけで森林管理ができるなどということ自体がおかしな論理です。土場に積まれて玉切りされてしまえば、何本の木が伐られたか分からなくなってしまいます。収穫木が適正に伐られているかどうかは、基本的には収穫木(調査木)の数と伐根の数を確認するしかありません。

 伐根調査を強く求めたところ、ようやく出てきた回答は「持ち帰って検討する」でした。林野庁の職員は私たちに対して安易に「盗伐と言うな」と苦言を呈していましたが、そんなことを言うのなら、自ら伐根の数を数えて「盗伐はない」ということを証明するべきでしょう。業者をかばうようなことばかり言っていたら、業者との癒着疑惑を増大させるだけです。

 午後は音更沢です。ネットワークは合同調査にあたり、越境伐採疑惑のある小班名を挙げて調べておいてほしいと要請していました。ところが集材路の奥にあるその現場にたどり着いて小班界を尋ねると、驚いたことに「わからない」という事態になったのです。自ら集材路の実測調査を行い、集材路の入口付近では越境伐採があったことを認めたのに、奥にある別の場所では小班界が分からないと言うのですから、まるでマンガのような話しです。森林管理者が林班や小班の境界も分からずに、どうやって森林管理をするのでしょうか。

 音更沢では南側の林班界で52本の越境伐採を認めていますが、これらの伐採木にはナンバーテープはついていなかったと明言しました。ここで三角点沢での彼らの説明、すなわち「指定した収穫木以外の木まで伐れば余計な仕事をすることになるので、そんな損になることを業者がするはずがない」は破綻しました。現実に越境してナンバーテープのついてない木まで伐っていたというのですから。そして、この越境伐採について業者に聞き取り調査をしたのかと問いただすと、「していない」とのこと。管理者として越境伐採の原因を調べようともしないとは無責任の極みであり、不正疑惑は深まるばかりです。

 最後に、林野庁の職員が漏らした本音をちょっと紹介しましょう。林野庁は、「間伐」であることをしきりに強調していました。間伐というのは優良な木を育てるために質の悪い木を間引きすることです。ところが、「ちょうど収穫どき」というような言葉を漏らしたのです。なんのことはない、売れるようなサイズに育ったから伐ったということでしょう。「間伐」などというのはまやかしです。50年以上も前の洞爺丸台風で生き残り、大きくなってきた木がようやくお金になるサイズになったので、一気に伐ったといったところなのでしょう。彼らには風倒被害を乗り越え50年かけてようやく甦りつつある森林も、単にお金の山にしか見えないのです。

2010年9月26日 (日)

名前ばかりの「受光伐」

 先日、石狩川源流部の違法伐採について以下の記事を書きました。

石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠 
石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」

 ここでの伐採は、契約上では天然林受光伐が主体(一部人工林の保育伐もある)で、契約上の伐採量は4400立方メートルです。また、伐採率は小班によって異なるものの、20%から30%となっています。

 では、「受光伐」とはどんな伐採方法なのでしょうか。そして、この伐採は本当に「受光伐」といえるものなのでしょうか。

 「森林・林業・木材 基本用語の解説」(北海道林業改良普及協会)で「受光伐」を調べてみると、以下のように説明されていました。

 「漸伐作業において、予備伐、下種伐のあと、稚樹の成長を図り更新を促すために、上木をすかす伐採のこと。この後、終伐(殿伐)で最終的な収穫を行い、更新が完了する」

 漸伐については以下のような説明があります。

 「天然下種更新を前提として、成熟木を数回に分けて伐採し収穫する方法のこと。収穫と並行して天然更新が行われ、母樹の保護のもとで稚樹が育成される」

 これらを合わせると、受光伐とは「天然更新を図るために母樹の保護のもとで行われる伐採であり、稚樹の成長を図るために上木をすかす伐採」ということになります。つまり、「受光伐」だとする以上、優良な種子をつくる母樹を保護したうえで、稚樹を育成するために上木をすかす伐採が行われなければなりません。

 ところが実態は上記の記事に書いたように、母樹となる大径木を手当たり次第に伐りつくし、スカスカ状態にしまったのです。「更新を図る」どころか広大なササ原をつくりだし、更新困難地にしたようなものです。光を当てて育てているのは、ササ原というのが実態でしょう。「受光伐」などというのは名目だけで、契約と実態が乖離している施業なのです。

 また、上記の記事で指摘したように、収穫を予定していなかった木まで伐採(つまり盗伐)しているのであれば伐採率は申請より大きいことになります。スカスカになってしまうのも当然のこと。北海道森林管理局は、実際の伐採率を算出すべきです。

 大雪山国立公園の針葉樹林帯のかなりの部分が第3種特別地域になっているのですが、この地域も第3種特別地域です。第3種特別地域では伐採率の上限が定められていません(第1種特別地域では10%まで、第2種特別地域では30%までという制限があります)。幌加やタウシュベツで皆伐が行われたのも第3種特別地域だからなのです。こんなことでどうやって生物多様性の保全をするのでしょうか。

 北海道森林管理局が、大雪山・日高山脈森林生態系保護地域を、主として標高1000メートル以上の地域を中心に設定した理由はここにあるのでしょう。森林生態系保護地域としたところの大半は、特別保護地区や第1種特別地域に指定されており、もともと施業はほとんどできないのです。

2010年9月25日 (土)

森林生態系保護地域等設定委員会の意味不明の議事録

 北海道森林管理局のホームページに、9月6日に開催された第3回大雪山・日高山脈森林生態系保護地域等設定委員会の議事録が掲載されていました。

第3回設定委員会概要

 当日傍聴された方によると、委員の皆さんには意見募集に寄せられた意見が配布されたそうですので、それに対して委員の方たちがどのような意見を述べたのかと思って読んでみました。ところが、この議事録、なんだか意味がよくわかりません。

 1日時、2会場、3出席者まではわかります。4は「主な意見」となっていますので、委員の方たちから出された意見が記されているのかと思ったのですが、「(1)については、報告事項であることから、今後の説明の際の参考とする旨森林管理局より説明」という但し書きがあります。

  (1)は「森林生態系保護地域等の設定案等に関する意見募集の実施結果について(報告)」となっています。ならば、森林管理局から委員の方への報告事項なのかと思って読むと、委員の意見としか思えないものなのです。ならば、なぜ(1)が「報告事項」であると但し書きをするのでしょうか? まったくもって意味不明です。

 そもそも発言した委員の名前を入れた議事録を作成すれば、こんなわけのわからない議事録にはなりません。発言者の名前を出していれば、「報告」というのが森林管理局からの報告なのか、委員から出された意見なのかは一目瞭然です。

 有識者から意見を聞くことを目的に委員会を設置しているのであれば、誰がどのような発言をしているのかということを明らかにすべきなのです。それが委員を引き受けた方の責任でもあるでしょう。この委員会は公開で行われているのですし、発言者の名前を伏せる理由がわかりません。

 (1)は委員から出された意見と判断されますが、そうであれば「意見1の標高1,000m以下に重要な森林があるという主張についてはそのとおりだと思う」とか、「森林生態系保護地域と緑の回廊だけの議論では生物多様性を守るためには不十分であると考えており、周辺地域についても検討しながら全体を保護していくといった説明があった方がよい」、あるいは「意見4にある『“保護ゾーン”を拡張すべき』という意見は妥当と思う。森林生態系保護地域及び緑の回廊以外の別の対処でもよいので、カバー率が上がるようお願いしたい」などといった意見が出されていたことになります。

 以下のページを読んでみてください。

第3回大雪山・日高山脈森林生態系保護地域等設定委員会の概要について

  「開催の結果、設定委員会(辻井達一座長)から、設定案については妥当である旨、また、森林生態系保護地域等の一層の保護を図るため、道有林をはじめとする国有林と隣接する地域とも連携を図っていくことが重要である旨答申をいただき、3回にわたる設定委員会を閉会しました」となっています。拡大すべきだという意見が一般の方からも委員からも出ていたのに、「原案が妥当」という結論になっているのです。いったい何のための意見募集であり、委員会だったのでしょうか? やはり、はじめから林野庁に都合の良い案を通すための委員会であったとしかいいようがありません。あの案なら、林野庁はほぼこれまでどおりの施業(=略奪林業という森林破壊)ができるのですから。

 こんな意味不明の議事録を掲載したのは、委員からの意見を案に反映させなかったことを誤魔化すためではないかと思えてなりません。

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2010年9月21日 (火)

石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」

前回の記事
石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠

 19日は、北海道森林管理局が「2号物件」としている場所に入りました。森林管理局が作成した集材路の図はまるで網の目のようになっており、それだけでもかなり酷い伐採が行われたことが想像できます。

 実際に入ってみると、案の定、大径木の伐根があちこちにあり、ひょろひょろの木しか残っていないスカスカの森林が広がっていました。ナンバーテープのない伐根に交じってナンバーテープのある伐根が点在しているというような状況です。一定の区画をとって伐根の数を数えてみると、なんとテープのない伐根はテープのある伐根の2倍以上もありました。「盗伐の森」といっても過言ではないでしょう。

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 調査に参加されていたKさんは伐根をみて、「こりゃ無印良品ばかりだ」となかなかうまいことを言います。なるほど、無印(ナンバーテープがない)の伐根は高く売れるような良質の木が多いのです。残しておかなければならない優良な種子をつくる母樹が伐りつくされてしまいました。かつてはここまで酷い伐り方はしていなかったはずです。大径木がごっそり伐られた森はすっかり明るくなってしまいました。やがて林床はササで覆われて、更新困難になってしまうでしょう。大変な自然破壊です。

 昨日の「1号物件」と同じように集材路には伐根が埋められて土がかぶせられています。

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 そして、こんなふうに沢を埋めてしまったところもあります。脇にかろうじてミズバショウが残っていましたので、ここには小さな湿地があったのでしょう。それを集材路で埋めてしまったのです。土から伐根がはみ出ているのがわかりますから、下には多くの伐根が埋められているのではないでしょうか。

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 全部の伐根を埋められなかったとみえ、ころがっているものもあります。

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 この2号物件はあまりにも広いために、ごく一部しか見ることができませんでしたが、一部がこんな状態であれば、他のところも似たようなものでしょう。とんでもない数の「無印良品」が伐り出されているものと推測されます。はたして、伐られた「無印良品」はどこに行ったのでしょうか?

 大雪山国立公園の中は、とんでもない無法地帯ということでしょう。森林管理署は業者の監督責任があるのですが、きちんと監督していないことは明らかです。業者と森林管理署の共犯といえます。

 森林管理局の調査によると、この2号物件では、「土場作設の際、伐採を予定していなかった樹木25本を伐採」としているのですが、それ以外の違法な伐採は報告されていません。なぜナンバーテープのない伐根が多数あるのか、それらの木はどこに行ったのか、北海道森林管理局や森林管理署の職員に説明をしてもらわなければなりません。

 やまりんの盗伐事件、えりもの道有林での違法伐採、上ノ国のブナ林での違法伐採、大雪山国立公園の幌加・タウシュベツでの皆伐、十勝東部森林管理署管内でのナキウサギ生息地の破壊・・・。いくつもの違法伐採や自然破壊が明らかになってきているのに、未だに国立公園の保安林でこんな酷い伐採が行われているのです。森林管理署は何も反省していないということでしょう。

2010年9月20日 (月)

石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠

 18日と19日は、日本森林生態系保護ネットワークのメンバーが、「林野庁は違法伐採を認めたけれど」という記事の伐採現場に入り盗伐の調査を行いました。2回に分けてその様子をお知らせします。

 18日は北海道森林管理局の調査で「1号物件」としている場所の一つに入りました。ところが、先日の多雨による増水で石狩川に架けられた橋が見事に落下。

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 ここを渡らなければ現場に入れません。天然の丸木橋(倒木)によじ登って勢いよく流れる川の上を恐る恐る渡り、さらに長靴で沢を渡って難関突破。なんとか集材路にたどり着きました。

 ここでは素材販売という方法で国有林の木を伐採して販売しています。伐採に当たって、まず森林管理署の職員が収穫調査を行い、伐採する木の幹にナンバーテープをつけます。集材路の作設や伐採は業者が請け負って行います。業者はナンバーテープのついた木を伐採し、そのテープを伐根に移し替え、伐採した木の枝を払って重機で引っ張って土場に運び出します。土場に運び出された丸太は長さを切りそろえ、樹種や径級、品等などで分けて山積みにするのですが、この計測や検査などの作業も下請けの業者が行います。そして、山積みされた丸太を競売にかけるのです。

 当然のことながら、業者はナンバーテープをつけた木だけを伐らなければなりません。なお、集材路の作設や伐採の支障になる木は、支障木として森林管理署に届け出てナンバーテープをつけなければならないのです。

 さて、でこぼこで歩きにくい集材路を登っていくと、集材路がいくつにも分岐しています。そのうちの一本を奥までたどることにしました。集材路の周辺にはナンバーテープのない伐根がいくつもあり、それらにナンバーテープをつけて計測しながら進みました。集材路の下の斜面には、伐根が転がっています。

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 集材路も不自然にでこぼこになっており、ところどころ伐根が顔を出しています。どうやら、伐根や枝葉を集材路に集め、上に土をかぶせて隠しているようです。証拠隠滅か?

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 下のエゾマツを見てください。この木にはナンバーテープがついていません。2カ所にチェンソーで切れ込みを入れた跡があり、伐り出そうとしたことが分かります。でも、途中で伐るのを止めてしまいました。おそらく、少し伐ってみたら材の質が悪く、高く売れないと思って伐るのを止めたのでしょう。ナンバーテープがついている木なら、たとえ品質が悪くても伐らなければなりません。ですから、まさに盗伐をしようとした証拠といえる木ですね、これは。

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 この森林を見てください。あちこちに大径木の伐根があります。お金になりそうな木はすべて伐ってしまい、細い木しか残されていません。ここにはナンバーテープがついていない伐根がいたるところにありました。これが大雪山国立公園の心臓部ともいえる森林の実態なのです。見るもおぞましい光景です。

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 こちらは、直径が70センチほどもあるエゾマツの伐根です。さぞかし高く売れるでしょう。ナンバーテープはついていません。こういう盗伐と思われる伐根があちこちにあります。

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 北海道森林管理局は、この1号物件については区域外での伐採、つまり越境伐採が52本あったとしているだけなのです。越境していない場所にも多数のナンバーテープなしの伐根があるのに、それらの数を数えていません。不可解としかいいようがありません。森林管理局による違法伐採の調査では、手続き上のミスと過失による越境伐採を認めただけなのです。

 私たちの調査では、1本の集材路をたどっていっただけでテープのない伐根が50以上はありました。集材路は毛細血管のように枝分かれしているので、ナンバーテープのない伐根はまだまだあるはずです。これは、どう考えても盗伐としか思えません。業者が盗伐をし、森林管理署がそれを黙認しているとしか考えられないのです。

つづく

2010年9月13日 (月)

森林生態系保護地域拡大で無視されたパブリックコメント

 9月7日の北海道新聞に、「大雪・日高山系の森林保護地域 国内最大に拡大へ」との大きな見出しの記事が掲載されていました。8月にパブリックコメントを行い、6日に、森林生態系保護地域等設置委員会(座長は辻井達一氏)が開かれて、北海道森林管理局の提示した原案が認められたためです。

 新聞記事を見ると、なんだか保護される森林が増えたと評価するような書き方なのですが、パブコメに寄せられた意見や委員会での意見などにはまったく言及されていません。新聞記者というのは、どうしてそういうことに注目しないのでしょうか。

 パブリックコメントには、私も意見を出しました。

森林生態系保護地域についての意見はどう反映されるのか

 その後、北海道森林管理局のホームページには、寄せられた意見とそれに対する森林官管理局の対応方針が掲載されました。

意見募集の実施結果について

 これによると、意見はたったの4通だったとのこと。3人と1団体です。私の他に、十勝自然保護協会の理事の方が意見を提出しています。また、団体というのは日本森林生態系保護ネットワークです。これしか意見が寄せられなかったというのは、寂しい限りですね。森林保全に関心を持っている方は大勢いると思うのですが、広報不足ということもあるのでしょう。

 さて、出された意見に対する森林管理局の対応方針を見て、まあ、予想はついてはいたのですが、やはり呆れてしまいました。彼らの言い訳を見ていきましょう。

【意見】設定方針として「森林生態系保護地域は、上記ポテンシャルが高いと評価された区域を踏まえるとともに、原生的な天然林の区域において、脊梁部等の高山帯から比較的標高の低い森林、あるいは、針葉樹林や広葉樹林等多様な森林生態系を包括的に保護できるように設定」するとしていたのだが、標高1000m 以上の高標高域の森林帯を指標に入れたことと1,000 ヘクタール以上の原生的天然林という1991 年の基準に拘泥したため、設定案にはほとんど反映されていない

【言い訳】対応方針では、「ポテンシャルが高いと評価された区域で、設定案に含めなかった区域については、森林現況、木材需要、地域振興頭様々な状況を踏まえながら、その他保護林の設定の可能性も含め、今後取扱いについて検討を行っていくこととしております」としています。結局、木材生産などで利用したい地域は森林生態系保護地域から除外した、ということです。保護より利用を優先し、そもそも伐採対象となるような木が生育していない高標高地を中心に森林生態系保護地域を決めているのですから、開いた口がふさがりません。

【意見】鳥類やほ乳類に限らず、その他の動物群や植物も含め、保護の対象とする希少種等の種名を明確にし、種ごとに生息・生育が期待される潜在性の高い区域を示して検討する必要があります。

【言い訳】対応方針では、「特に、森林生態系・河川生態系のアンブレラ種については、分析が可能な既存の生態情報があるクマタカ、クマゲラ、シマフクロウをその指標としております。このため、ご指摘の種を含め、個別の希少種の生息・生育区域の観点から見れば、それらが含まれていない場合は多々あると考えております」としているのですが、これはとても矛盾した説明です。なぜなら、クマタカやクマゲラ、シマフクロウが生息している森林はごくわずかしか森林生態系保護地域に入っていないのです。これらの種の生息地を保護するなら、広大な針葉樹林帯や針広混交林を含めなければなりません。そして「個別の種については、必要に応じてその他の保護林の設定や森林整備に当たっての一層の配慮を通じて、その保護に努めてまいりたいと考えております」として、逃げています。

【意見】「針葉樹林や広葉樹林等多様な森林生態系を包括的に保護できるように設定」と書かれていますが、針葉樹林や広葉樹林はほとんど含まれておらず、文章による説明と指定区域の実態が一致していません。このような矛盾した設定案は、基本的なところから見直す必要があります。

【言い訳】対応方針では、「具体的には、検討対象区域(約64 万ヘクタール)内の針葉樹林面積の約47%、同じく針広混交林面積の約9%、広葉樹林面積の約30%の区域が、森林生態系保護地域及び緑の回廊の設定区域となる見込みです」とのことですが、とても針葉樹林の半分が含まれているとは思えません。針葉樹林帯をかなり狭くとっているのではないでしょうか。基にした植生図などを示して説明してほしいものです。言葉だけでは、いくらでも誤魔化すことができます。

【意見】失われた生物多様性を回復させるために今後取り組まねばならないのは、過去の乱伐を反省し、かつての原生的な針葉樹林や針交混交林を甦らせることです。今回の拡大案は、そのような視点がまったくありません。

【言い訳】対応方針では、「森林資源の持続性の維持と生物多様性の保全を両立させるための天然林施業の検討等についても、優先的に取り組んでいくこととしております」としていますが、大雪・日高地域での具体的提案はありません。

【意見】本来、国立公園や国定公園では生態系の保全が最優先されるべきであり、伐採をすること自体が不適切です。国立公園や国定公園での伐採の是非から見直すことが必要です

【言い訳】対応方針では、「自然公園における森林施業については、風致の維持を考慮し、特別地域の区分に応じて、その制限が定められております」としていますが、結局、現状の伐採率の制限を見直すつもりはないということです。

 北海道森林管理署の「対応方針」から分かる彼らの姿勢は、意見は聞きましたが、希少種などには配慮したうえで、これまで通りの施業を行いますといっているわけです。これでは、ほとんど進歩なしです。

 やはりパブコメは形だけで、「聞きおく」だけだったということです。設定委員会とやらもお墨付きを出してもらうことが目的の委員会だったのでしょう。

2010年9月11日 (土)

林野庁は違法伐採を認めたけれど

 昨日の夕方、北海道森林管理局が大雪山国立公園内の石狩川源流部での違法伐採 を認めて記者会見をしたとの情報が入りました。以下が北海道森林管理局のプレスリリースです。

上川中部森林管理署における森林法違反行為について

 ここは水源涵養保安林に指定されており、伐採には知事の同意を得なければなりません。知事に届け出て同意を得ていた集材路の面積は3.2ha、長さは8,025mですが、実際には8.57ha、20,239mだったとのこと。長さで12.2kmも過剰だったのです。知事の同意を得ていた土場の面積も0.41ha広かったとのことです。

 また、77本の伐採について知事の同意を得ていなかった(すなわち盗伐)としています。

 これまで林野庁は違法伐採疑惑を指摘してもなかなか認めようとしなかったのですが、今回は自ら調査をして認めたので、その点については進歩したといえるでしょう。しかし、林野庁が「原因」として述べている言い訳は、とても納得できるものではありません。

 たとえば、集材路の面積や長さが申請より過剰だったことについては、「責任施行である当該事業の請負事業者が予め森林管理署に申し出るべきであったのに、これを行わなかったことが原因と考えられます」としています。また、森林管理署の監督責任については「既に知事同意を得ていた数量について、事業発注の際に事業内容を精査したにもかかわらず、道知事への追加・変更協議を怠ったことや、一部現場における誤った指示があったことなど、その管理体制にも問題がありました」ということになっています。

 しかし、集材路は申請した長さの2.5倍にものぼるのです。業者は申請通りの集材路で作業をするべきなのです。これほどの追加が必要だというのはとても不自然です。盗伐のために勝手に集材路をつけたというのが真実ではないでしょうか。森林管理署が事業内容を精査していたなら、追加・変更を怠るというのも不自然です。ここから見えてくるのは、業者の違法行為を知りながら見逃していたという森林管理署と業者の癒着疑惑です。

 また、盗伐については「不適切な伐採」という書き方をしています。そして「請負事業者側の現場代理人と伐採作業従事者との連携不足による錯誤が原因と考えられます」としています。しかし、伐採現場では伐根にナンバーテープがついているもの(収穫木であるという証拠)とついていないものが混在していました。これはどう考えても、錯誤などというものではなく、確信犯の盗伐としか思えません。盗伐をした業者を擁護するような釈明です。こんな盗伐を見逃した森林管理署も、確信犯ではないでしょうか。自然保護団体の調査がなければ、闇に葬られてしまったのです。

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(写真はナンバーテープのない伐根)

 土場の面積なども、計測は容易です。二つの現場で集材路・土場・盗伐という違法行為が重なっていたのに、「追加・変更を怠った」とか「錯誤」では誰も素直に納得しないでしょう。

 また、集材路は約12kmも長かったのです。ここにあった木は伐採されたのですが、それらはどうなったのでしょうか? 今回の72本の違法伐採の本数にはそれはカウントされていません。つまり、とても不十分な調査報告だということです。内部調査による甘さが見え見えです。

 集材路とか土場の面積が申請より広かったなどということは、消し去ることのできない事実ですので、森林管理局としては認めざるを得なかったということでしょう。しかし、盗伐については、かなり誤魔化しているのではないかと思わざるを得ません。

 ということで、日本森林生態系保護ネットワークは再度、この現場で調査を行うことにしています。

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