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2019年10月

2019年10月 9日 (水)

野党共闘では消費税は棚上げに

 れいわ新選組の山本太郎氏が、野党共闘の条件として消費税5%への減税を頑なに主張し続けている。他の野党が消費税5%を呑まなければ独自の闘いを進めるというようなことも言っているようだ。

 安倍政権の勢いは衰えず、今も支持率は50%近くある。しかも衆院選は小選挙区制なのでひとつの選挙区で当選できるのは1人だけだ。こうした状況の中で政権交代を目指すのなら野党が選挙協力をして候補者を1人に絞るしかない。もちろん、それでも政権交代は相当厳しいだろう。選挙協力しなければ政権交代など到底できないことは、山本太郎氏だって百も承知のはずだ。

 今の状況で、ほとんど独裁といえる安倍政権を退陣させるためには、野党(維新とN国を除く)が共闘して衆院選で過半数の議席を得、連立政権で政権運営をしていくしか道はない。

 では、選挙協力とか共闘というのはどういうことなのか? 連立政権を成功させるにはどうしたらいいのか?

 方針や政策が異なるから複数の政党が存在する。それらの政党が違いを乗り越えて協力関係を築かない限り選挙協力とかとか連立政権は成り立たない。共闘や連立政権のためには絶対に「協力」あるいは「折り合いをつける」という考え方が必要だ。話し合いの中で自党の主張をするのはいいが、そこで意見を戦わせるのではなく、お互いに他党の考えを聞いて理解する努力をした上で一致点や妥協点を探る、という思考ができなければ共闘などできない。仮に、政権交代を果たし連立政権で政権運営をすることになったとしても、こういう思考ができなければ内部で意見が対立し政権運営自体がうまくいかないだろう。

 先の参院選では立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議の5野党・会派と「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が13項目の共通政策に合意をし、野党と市民が協力して選挙戦を闘った。政党だけではなく市民が協力して野党共闘を実現した。その合意事項はこちらを参照していただきたい。

 9月12日、共産党の志位委員長とれいわ新選組の山本代表の党首会談が行われ、野党連合政権をつくるために協力すること、並びに野党と市民連合による13項目の政策合意を土台にするという確認がなされた。つまり、山本氏は上記の13項目を土台にすることを認めた上で、野党連合政権への参加の意思を示したということになる。

 13項目の合意事項の中で、消費税に関しての合意は「2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。」である。

 しかし、参院選ではこの野党の意見は支持されず10月に10%への増税が実施された。次の選挙ではこれを踏まえ、再び話し合いによって合意内容の修正をしなければならない。ところが、これに関して、山本氏は話し合いをする前から「5%で合意できなければ共闘に参加しない」と主張しているのだ。先の共産党との合意を反故にしたといってもいいような発言だ。

 消費税に関しては各党で意見の違いが大きい。共産党とれ新は廃止を求めているが、立民は減税には慎重な姿勢をとっている。民主党政権では事業仕分けで不要な支出を抑えたものの税収が足りず消費税増税へと舵を切らなければならなくなったのだから、減税に慎重になるのは当然のことだ。第三者が見ても、消費税の税率で妥協点を見出すのは困難としか思えない。

 しかし、税制に関して言うならどの党も法人税や富裕層への累進的課税の必要性は認めているのだから、消費税率に関しては棚上げし、たとえば「法人性や富裕層への累進課税を進め、税のベストミックスによって社会保障の充実を図る」というような内容なら、反対する政党はないように思う(れ新とていきなり消費税を廃止しろと言っているわけではなくまずは5%への減税だと言っているのだから、消費税を含めたベストミックスを否定することにはならないだろう)。その上で、消費税に関しては各党がそれぞれの考え方を主張していけばいいと思う。

 消費税に関し、自分の選挙区の野党候補者と意見が異なっていた場合は比例区で自分と一致する主張をしている政党や候補者に投票し、選挙区では野党統一候補に入れる、ということにすれば大きな混乱は生じない。野党が選挙協力し選挙区で統一候補を立てるということは、自分が支持しない野党候補者に入れざるを得ない場合もあり得るということだ。これに文句を言っていたら共闘などそもそもできない。

 こうした妥協ができないという人には野党共闘は無理であり、独自に闘うしかない。もちろん独自に闘い小選挙区に刺客を立てるということなら共闘とは正反対の行動をとるということであり、結果的に与党に与することになる。

 政策の異なる政党同士が選挙で共闘するということは、一致できる政策に焦点を絞り、一致できない政策は共闘に持ち込まないというのが基本だ。もちろんその後の政権運営についても同じで、例えば共産党が共産主義を目指す政党であるからといってそれを政権運営に持ち込んでしまったら連立政権がうまく機能しないのは目に見えている。そこは引っ込めなければならないし、実際に共産党も持ち込むことはしないだろう。

 5%にこだわり続けている山本太郎氏は、残念ながら「協力する」とか「折り合いをつける」「異なる考えを尊重する」といった思考をしない人のように思える。自分が主導権を握り他者を自分に従わせなければ気が済まない性格なら、たとえ政権交代をして野党の連立政権が誕生したとしても、他党と協力して政権運営をすることは難しいし、政党のリーダーとしても相応しくない。

 山本氏の主張をそのまま鵜呑みにし「消費税は悪税」「消費税が景気後退を招いている」と信じ込んでいる人たちは、山本氏の姿勢に何ら疑問を抱かない人が多いようだ。そのような人たちも、やはり「協力」とか「異なる考えを尊重する」という思考ができない人たちなのかもしれない。結局それは自己責任の新自由主義の考え方と重なるのだけれど。

 山本氏が野党統一候補に刺客を立てるという選択をしたなら誰もそれを止めることはできないが、結果的に与党に与する彼を支持者はどう見るのだろうか。

 

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