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2015年7月25日 (土)

フェロニッケルスラグによる埋立造成は日向市の条例に抵触しないのか?

 日向市の西川内地区の里山で、フェロニッケルスラグを用いて谷を埋める造成工事が行われたが、この工事では「日向市の環境と自然を守る条例に基づいて土地開発行為の届出がなされており、日向市長は付帯事項をつけたうえで届出を受理している。届出書および受理の通知はこちらこちらを参照していただきたい。

 この届出書には、「事業計画書、行為の平面図、断面図、給排水施設計画図、行為地付近の地形図及び天然色写真、植生の復元計画書、その他市長が必要と認める書類を添付するものとする」と書かれており、届出といっても審査がなされた上で受理するか否かが決定されると理解できる。たとえば住所変更届などのように届出がそのまま受理されるという訳ではなく、不備があったら受理されないこともあり得ると考えられる。また、第21条第1項、第27条第1項若しくは第34条第1項の規定による届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は5万円以下の罰金に処するとなっている。罰則規定もある重要な手続きである。

 受理の通知の付帯事項には以下の条件が書かれている。

1.土地開発行為については、「日向市の環境と自然を守る条例」を遵守するとともに、土地開発行為に関わる工事期間及び工事完了後について、当該土地周辺の環境保全対策については適切に対応すること。

2.土地開発行為に関わる土砂や資材等の運搬経路の図面を提出するとともに、運搬経路の市道については、原因者において定期的な清掃を実施するなど、機能の維持に努めること。なお、開発行為以前の市道の損傷個所については、事業者で調査後、建設課と事前に協議することとし、開発行為により損傷した場合については事業者の責務において原形復旧を行うこと。また、開発行為地に隣接する里道の機能の維持に努めること。

3.工事期間中は、公道等への出入りを含め、地域への安全対策を十分配慮すること。

4.開発行為により盛土した法面等が災害等で崩れたとしても、災害復旧事業の対象とならないため、申請者の責任において原形復旧等の解決を図ること。

5.土地開発行為に伴う区域内からの排水及び土石については、下流域の影響を及ぼさないよう、排水構造物等の適切な維持管理を行うこととし、区域外流出におけるトラブルは、当事者間で解決すること。

6.周辺土地所有者との同意形成の努力を今後も続け、施工中、施工後のトラブルについては、当事者間で解決すること。

 では西川内地区の開発行為は果たして「日向市の環境と自然を守る条例」条例を遵守しているのだろうか?

 この条例では(工事施工者の責務)および(事業者の努力義務)(公害の防止)として以下の定めがある。

(工事施工者の責務)
第7条 土木工事、建築工事その他の工事を行う者は、その工事に際し、土砂、廃材、資材等が道路その他の公共の場所に飛散し、脱落し、流出し、又は堆積しないようこれらの物を適正に管理しなければならない。
(事業者の努力義務)
第8条 事業者は、法令及びこの条例に違反しない場合においても、良好な環境の侵害を防止するため、最大限の努力をするとともに、その事業活動による公害等に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決にあたらなければならない。
(公害の防止)
第9条 何人も、法令及びこの条例に違反しない場合においても、悪臭、騒音その他の公害の発生により近隣の生活環境を妨げないよう努めなければならない。

 黒木さんは、スラグの粉じんによって咳が出たと主張している。つまり、事業者は工事にあたって粉じん公害の対策を十分に行っていなかった可能性が高い。条例を守るなら、事業者は工事施工者の責務に従って、粉じん飛散防止の措置をとらなければならない。

 また、黒木さんは第一工区の沈殿池の水質検査を行い、重金属などによる高濃度の汚染を確認している。そして沈殿池は排水パイプによって河川につながっている。したがって、事業者はこれらのことに関して黒木さんに誠意をもって対応しなければならないはずだ。しかし、そのような対応をしたという情報はない。事業者の対応は、条例違反になるのではなかろうか?

 条例には(公害対策の推進)として以下の定めがある。

(公害対策の推進)
第3条 市長は、公害の苦情、良好な環境の侵害に関する苦情及び公害に係る紛争が生じたときは、関係者と協力して迅速かつ適正な処理を図るとともにその公正な解決に努めるものとする。
(公害防止の指導及び援助)
第4条 市長は、公害が発生し、又は発生するおそれがあると認めるときは、公害を発生させ、又は発生させるおそれがある者に対し、公害の防止のため必要な措置を講ずるよう指導しなければならない。

 日向市は、黒木さんの水質検査結果を受けて沈殿池の水質検査を行った。しかし、それは黒木さんが水質検査を行った7月下旬から2カ月以上も経過した10月10日のことだ。沈殿池の水の採取なら黒木さんの苦情を受けた翌日にもできることだが、なぜ2カ月以上も放置したのだろう? とても迅速かつ適正な対応とは言えない。

 また、黒木さんの検査で有害と出たことが原因で紛争になったのだから、日向市は「関係者と協力して迅速かつ適正な処理を図るとともにその公正な解決に努め」なければならない。黒木さんの検査と日向市の検査は検査機関が同じなのだから、日向市は検査機関に問い合わせたり、専門家の意見を聞いて原因の究明に努める責務がある。

 しかし、日向市がそのような対応をした事実は見当たらない。果たして、これで事業者や日向市長は条例を遵守していると言えるのだろうか?

 なお、この条例には(処理困難な製品の回収義務)という項目もある。

(処理困難な製品の回収義務)
第15条 廃棄物となった際、適正な処理が困難な製品及び容器(以下「製品等」という。)を製造し、加工し、又は販売する事業者は、その製品等若しくは廃棄物を引取り、下取り等の方法によりその責任において回収しなければならない。

 つまり、造成につかったフェロニッケルスラグがもし廃棄物であるということが明確になれば、日向製錬所は埋めたスラグを回収しなければならないと解釈できる。宮崎県は造成に用いたものはグリーンサンドという製品であると判断しているようだが、製品であろうとなかろうと、埋立資材に廃棄物が含まれると判断された場合は、事業者は条例に基づいて撤去しなければならないのではなかろうか。黒木さんの「責任のとれないものは片づけてください」という主張は、実にまっとうなものだと思う。

 それと、もう一つ、「日向製錬所残渣による造成工事と訴訟の経緯。ご意見募集」という記事によると、西川内地区の造成工事に関しては、「騒音規制法及び振動規制法に規定する特定建設作業届出」、「建設リサイクル法に基づく届出」および「土壌汚染対策法第4条に基づく届出」も出されていないようだ。

 冒頭に示した「土地開発行為届出書」の備考欄の4(2)には「他の法令の規定による当該行為が行政庁の許可、認可その他の処分又は届出を必要とするものであるときは、その旨を記載すること」という記述がある。したがって、事業者は上記の届出について備考欄に記入する必要があるのだが、記入されていない。届出を出していないようなので記載がないのは当然といえば当然なのだが、日向市はこのような不備のある届出を受理しているのである。

 このように法令を遵守しない事業者の届出を受理した日向市にも、責任の一端があるのではなかろうか。

 いずれにしても、西川内地区の造成に関してはさまざまな法律違反があるように思われる。

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