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2015年7月

2015年7月25日 (土)

フェロニッケルスラグによる埋立造成は日向市の条例に抵触しないのか?

 日向市の西川内地区の里山で、フェロニッケルスラグを用いて谷を埋める造成工事が行われたが、この工事では「日向市の環境と自然を守る条例に基づいて土地開発行為の届出がなされており、日向市長は付帯事項をつけたうえで届出を受理している。届出書および受理の通知はこちらこちらを参照していただきたい。

 この届出書には、「事業計画書、行為の平面図、断面図、給排水施設計画図、行為地付近の地形図及び天然色写真、植生の復元計画書、その他市長が必要と認める書類を添付するものとする」と書かれており、届出といっても審査がなされた上で受理するか否かが決定されると理解できる。たとえば住所変更届などのように届出がそのまま受理されるという訳ではなく、不備があったら受理されないこともあり得ると考えられる。また、第21条第1項、第27条第1項若しくは第34条第1項の規定による届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は5万円以下の罰金に処するとなっている。罰則規定もある重要な手続きである。

 受理の通知の付帯事項には以下の条件が書かれている。

1.土地開発行為については、「日向市の環境と自然を守る条例」を遵守するとともに、土地開発行為に関わる工事期間及び工事完了後について、当該土地周辺の環境保全対策については適切に対応すること。

2.土地開発行為に関わる土砂や資材等の運搬経路の図面を提出するとともに、運搬経路の市道については、原因者において定期的な清掃を実施するなど、機能の維持に努めること。なお、開発行為以前の市道の損傷個所については、事業者で調査後、建設課と事前に協議することとし、開発行為により損傷した場合については事業者の責務において原形復旧を行うこと。また、開発行為地に隣接する里道の機能の維持に努めること。

3.工事期間中は、公道等への出入りを含め、地域への安全対策を十分配慮すること。

4.開発行為により盛土した法面等が災害等で崩れたとしても、災害復旧事業の対象とならないため、申請者の責任において原形復旧等の解決を図ること。

5.土地開発行為に伴う区域内からの排水及び土石については、下流域の影響を及ぼさないよう、排水構造物等の適切な維持管理を行うこととし、区域外流出におけるトラブルは、当事者間で解決すること。

6.周辺土地所有者との同意形成の努力を今後も続け、施工中、施工後のトラブルについては、当事者間で解決すること。

 では西川内地区の開発行為は果たして「日向市の環境と自然を守る条例」条例を遵守しているのだろうか?

 この条例では(工事施工者の責務)および(事業者の努力義務)(公害の防止)として以下の定めがある。

(工事施工者の責務)
第7条 土木工事、建築工事その他の工事を行う者は、その工事に際し、土砂、廃材、資材等が道路その他の公共の場所に飛散し、脱落し、流出し、又は堆積しないようこれらの物を適正に管理しなければならない。
(事業者の努力義務)
第8条 事業者は、法令及びこの条例に違反しない場合においても、良好な環境の侵害を防止するため、最大限の努力をするとともに、その事業活動による公害等に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決にあたらなければならない。
(公害の防止)
第9条 何人も、法令及びこの条例に違反しない場合においても、悪臭、騒音その他の公害の発生により近隣の生活環境を妨げないよう努めなければならない。

 黒木さんは、スラグの粉じんによって咳が出たと主張している。つまり、事業者は工事にあたって粉じん公害の対策を十分に行っていなかった可能性が高い。条例を守るなら、事業者は工事施工者の責務に従って、粉じん飛散防止の措置をとらなければならない。

 また、黒木さんは第一工区の沈殿池の水質検査を行い、重金属などによる高濃度の汚染を確認している。そして沈殿池は排水パイプによって河川につながっている。したがって、事業者はこれらのことに関して黒木さんに誠意をもって対応しなければならないはずだ。しかし、そのような対応をしたという情報はない。事業者の対応は、条例違反になるのではなかろうか?

 条例には(公害対策の推進)として以下の定めがある。

(公害対策の推進)
第3条 市長は、公害の苦情、良好な環境の侵害に関する苦情及び公害に係る紛争が生じたときは、関係者と協力して迅速かつ適正な処理を図るとともにその公正な解決に努めるものとする。
(公害防止の指導及び援助)
第4条 市長は、公害が発生し、又は発生するおそれがあると認めるときは、公害を発生させ、又は発生させるおそれがある者に対し、公害の防止のため必要な措置を講ずるよう指導しなければならない。

 日向市は、黒木さんの水質検査結果を受けて沈殿池の水質検査を行った。しかし、それは黒木さんが水質検査を行った7月下旬から2カ月以上も経過した10月10日のことだ。沈殿池の水の採取なら黒木さんの苦情を受けた翌日にもできることだが、なぜ2カ月以上も放置したのだろう? とても迅速かつ適正な対応とは言えない。

 また、黒木さんの検査で有害と出たことが原因で紛争になったのだから、日向市は「関係者と協力して迅速かつ適正な処理を図るとともにその公正な解決に努め」なければならない。黒木さんの検査と日向市の検査は検査機関が同じなのだから、日向市は検査機関に問い合わせたり、専門家の意見を聞いて原因の究明に努める責務がある。

 しかし、日向市がそのような対応をした事実は見当たらない。果たして、これで事業者や日向市長は条例を遵守していると言えるのだろうか?

 なお、この条例には(処理困難な製品の回収義務)という項目もある。

(処理困難な製品の回収義務)
第15条 廃棄物となった際、適正な処理が困難な製品及び容器(以下「製品等」という。)を製造し、加工し、又は販売する事業者は、その製品等若しくは廃棄物を引取り、下取り等の方法によりその責任において回収しなければならない。

 つまり、造成につかったフェロニッケルスラグがもし廃棄物であるということが明確になれば、日向製錬所は埋めたスラグを回収しなければならないと解釈できる。宮崎県は造成に用いたものはグリーンサンドという製品であると判断しているようだが、製品であろうとなかろうと、埋立資材に廃棄物が含まれると判断された場合は、事業者は条例に基づいて撤去しなければならないのではなかろうか。黒木さんの「責任のとれないものは片づけてください」という主張は、実にまっとうなものだと思う。

 それと、もう一つ、「日向製錬所残渣による造成工事と訴訟の経緯。ご意見募集」という記事によると、西川内地区の造成工事に関しては、「騒音規制法及び振動規制法に規定する特定建設作業届出」、「建設リサイクル法に基づく届出」および「土壌汚染対策法第4条に基づく届出」も出されていないようだ。

 冒頭に示した「土地開発行為届出書」の備考欄の4(2)には「他の法令の規定による当該行為が行政庁の許可、認可その他の処分又は届出を必要とするものであるときは、その旨を記載すること」という記述がある。したがって、事業者は上記の届出について備考欄に記入する必要があるのだが、記入されていない。届出を出していないようなので記載がないのは当然といえば当然なのだが、日向市はこのような不備のある届出を受理しているのである。

 このように法令を遵守しない事業者の届出を受理した日向市にも、責任の一端があるのではなかろうか。

 いずれにしても、西川内地区の造成に関してはさまざまな法律違反があるように思われる。

2015年7月21日 (火)

原始が原 五反沼探訪記

 7月17日、一度は行ってみたいと思いつつもそのままになっていた原始が原に行ってきた。

 原始が原は富良野岳の登山コースの途中にある広大な湿原だ。富良野岳に登る登山道はニングルの森の登山口から原始が原を経由するコースと十勝岳温泉から登るコースがあるのだが、前者は後者より長いため登山者はそれほど多くはないようだ。ニングルの森登山口から原始が原へは林間コースと滝コースがあるのだが、現在は滝コースは閉鎖されていて通れない。

 17日は朝から快晴で、さわやかな登山日和だ。いつものことだが、野鳥を見たりクモの姿を探したりしながらのんびりと登った。途中、「天使の泉」と名付けられた水場がある。登山道の脇に伏流水が顔を覗かせているのだ。冷たい水がお腹までしみとおる。
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 沢を渡って急な斜面を登り切ると視界がいっきに開け、台地になった原始が原の湿原に出る。原始が原は高層湿原だが、池塘はとても少なく、大小さまざまな鏡のような池塘が点在する「沼の平」や「沼の原」とは雰囲気がだいぶ違う。一見、草原にアカエゾマツの矮性木が点在するシンプルな光景だが、やはり湿原だけあって足元から水がしみ出てくる。
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 湿原の入口で富良野岳に登るコースと原始が原の一番奥にある五反沼に行くコースに分かれる。ここで登山靴から長靴にはきかえ、湿原の奥を目指した。原始が原は大雪山国立公園の中でもかなり広い湿原で、東端にある五反沼までは2.8kmほどある。せっかくなので五反沼を目指すことにした。ただし、湿原がずっと広がっているわけではなく、森林帯が何本か横切っている。

 湿原にはワタスゲやモウセンゴケが見られるが、色とりどりの花が咲き乱れるような湿原ではない。しかし、前富良野岳、富良野岳、上富良野岳などの山々と明るい緑の湿原の織りなす光景は、格別な趣がある。松浦武四郎もここを通って十勝に抜けたという。
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 五反沼コースはかつては整備されていて道もはっきりとついていたらしい。今も「五反沼コース」の看板はあるものの、道はかすかに踏み跡がある程度だ。ところどころに目印となるピンクのテープが付けられているので、それを頼りに沼を目指すことにした。しかし、歩き始めて程なくして樹林帯にさしかかると、背丈を越すチシマザサの藪が道を塞いている。目印のピンクテープもササに隠れて見えない始末だ。途中で踏み跡もほとんど分からなくなり、藪こぎで進むしかなくなった。この初めの樹林帯の藪こぎが一番長いことが後から分かった。
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 藪をこいでまた湿原に出ると、ふたたびピンクテープが見つかった。しかし湿原を少し歩くと再び樹林帯の藪こぎに突入する。二つ目の藪こぎから脱出して湿原を横切ると、また藪こぎが待ち受けている。樹林帯の中はササ刈りが行われておらず、どこも廃道同然になっている。ときどきGPSの地図でコースを確認しないと方向を誤りかねない。さすがに三つめの藪こぎあたりで嫌になってきた。地図に目を落とすとまだまだ先が長いのだ。

 しかし、せっかくここまで来たのだからと気を取り直し、もう少し先まで進んでみることにした。幸いなことに、そのあとの樹林帯は幅が狭く、それほど難儀せずに通過できた。湿原から流れ出る布部川を渡りさらに湿原を行くのだが、ここまでくるともうピンクテープも見当たらない。南側のトウヤウスベ山からナキウサギの声が聞こえる。足元にはトキソウやミヤマリンドウの花も控えめに咲いている。
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 こんな廃道状態では沼まで行く人はもういないのかと思いきや、良く見ると泥地にまだ新しい踏み跡がある。つい最近、あの藪をこいで来ている人がいることに驚くやら安心するやら・・・。

 最後の樹林帯を抜け、広い湿原をつっきると五反沼は目と鼻の先だ。「ああ、やっとたどり着いた」と安堵感がひろがったところで、なんと目の前に三途の川のごとく水路が立ちはだかった。その向こうに五反沼の看板が見える。何ということか!
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 三途の川は飛び越えられるほど狭くはない。底に杖をつきたててみると、水深はけっこう深くしかも底は軟らかい。ここで帰るしかないのかと諦めかけたが、五反沼のほとりに看板がある以上、行けるはずだ。水路左手に沿って渡れそうなところを探し、川底が硬く水深もそれほど深くないところを見つけた。

 原始が原は池塘の少ない湿原だが、五反沼のあたりは池塘が広がっている。かつては湿原全体に池塘が点在していたのかもしれない。ところどころに「やちまなこ」のような窪みがあるので要注意だ。
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 ようやくたどり着いた湿原最奥の五反沼は、それはそれは静かにひっそりと佇んでいた。踏み跡すらなく我々(といっても二人)のほか誰もいない湿原はまさに秘境そのものだ。人工的なものといえば、「五反沼」と書かれた看板しかない。再びここを訪れることはたぶんもうないだろう。原始の光景を脳裏に焼き付けて沼を後にした。
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*この記事を読んで五反沼に行きたいと思う人がいるかもしれないが、樹林帯で方向を見失う可能性がある。藪こぎの覚悟と長靴、地図表示のできるGPSなどの十分な装備が必要だ。安易な気持ちでの探訪は危険であることを記しておく。

2015年7月20日 (月)

優しさとは何か

 イワシさんの「ぼくには優しさが欠けていた」という記事を読んで、優しさとは何なのだろうかといろいろ考えさせられた。イワシさんは、7月15日の裁判をレポートしたあと、黒木さんからフォローを外されたそうだ。自分の報告が彼女を傷つけてしまった以上、自分は加害者であり応援者とは言えないと彼は言う。

 私はイワシさんのツイートも裁判関係の記事もほとんど目を通している。彼はとても気配りができる優しい男性だ。黒木さんに対しても彼女を傷つけまいと言葉を選んでいるのが感じられる。それに対して、私の方がずっとストレートに自分の意見を言うことで彼女を傷つけていると思う。

 実は私も少し前から黒木さんにフォローを外されている。いつ頃外されたのかはっきり記憶にないが、7月に入ってからだと思う。私は、こちらの記事で彼女が裁判の争点や立証責任について勘違いをしているとはっきりと書いてしまった。もちろん黒木さんは自分が勘違いをしているなどとは思っておらず、自分の納得いくやり方で臨んでいるだけだ。

 ただ、彼女の勘違い(または錯誤)は客観的事実だし、本人尋問になればさらにそれがはっきりすることは分かっていた。

 たとえ事実であっても、勘違いのことをはっきり書いてしまえば彼女に不快な思いをさせるのは避けられない。たぶん彼女を傷つけてしまうことになるだろう。それに、「あちら側の人たち」(黒木さんや彼女を応援している人たちの誹謗中傷をしている人たち)が黒木さんを揶揄するネタにするに違いない。彼女にとっていいことなど一つもない。だから、勘違いと書くことに躊躇がなかったわけではない。

 私はとても重大な告発を堂々としてきた彼女を批判する気はない。でも彼女はたとえ事実の指摘であっても批判と受け止めるだろう。だからちょっと逡巡はしたけれど、この問題に関心を持ち追いかけてきた以上、やはり客観的事実や自分の感じたことをそのまま書くしかないと思った。勘違いのことを書かないと、弁護士もつけず応援者からの援助も断って一人で闘うという行動がすんなりと理解できないからだ。

 優しさとは何なのか・・・。たぶんその答えは人によって違うのだろう。相手を傷つけないという気配りだと考える人もいるだろう。しかし、相手が気分を害することが予想できたとして、はたして本当の気持ちを隠して寄りそうことが本当の優しさなのだろうか・・・。相手には厳しいことであっても、事実をありのまま書くことが必要なこともあるのではないか・・・。それは単なる言い訳にすぎないのだろうか?

 ちょっと脱線するが、私はそもそも自分のツイッターフォロワー数にそれほど関心がない。知らないうちに増えたり減ったりしている。フォローしてもらうことを期待してフォローするわけでもないし、フォローされたからといってフォロー返しをするという習慣も持ち合わせていない。自分がフォローしたいと思ったアカウントをフォローしているだけだし、それもかなり気まぐれだ。まして、フォローを外されたりブロックされることを恐れて、自分の本当の気持ちを封じてしまうなどということは私には考えられない。それは自分に嘘をつくことに他ならないから。

 誹謗中傷や粘着、人格攻撃はもちろんのこと、相手を見下したり貶めたり執拗に自分の意見を押しつけるのはマナー違反だと思っている。このような方はフォローを外したりブロックすることはある。とりわけ意図して情報操作や嫌がらせをしているいわゆる工作員のような人たちは、いい加減な情報を流して錯誤させたり挑発して疲弊させたりするのが目的だから、ブロックに限ると思っている。

 ただ、私は自分の考えと違う意見だからとか、批判されたからといってブロックすることは基本的にはしない。互いにフォローしている人であっても、意見が違うことがあるなんて当たり前のことだ。そして意見が違うことに関して批判するのも言論の自由の範疇だろう。ただ、批判をしたなら相手が気分を害するのは必至だ。人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じることを批判という(コトバンク参照)。自分は正しく他人は間違いだと評価を下すのだから、相手が気分を害するのは当然だ。

 優しさとは何かということに話しを戻そう。たしかに他人を傷つけてしまような言動は優しいとは思えない。人を傷つけないことに越したことはない。しかし、だからといって社会的なことや政治的なことについて黙っているのがいいわけはない。個人個人が主体性をもち、意見表明をするというのは民主的な社会の構築のために不可欠だ。しかし、批判をしてしまうと相手は感情的になり人間関係はぎくしゃくしてしまう。

 はたして人は誰も傷つけず、しかも自分に嘘をつかずに意志表明することができるものなのだろうか? これは限りなく困難なことに思える。

 それでも、できる限り他者を傷つけず優しくありたいと思うなら、相手を悪く評価したり、指図するような押しつけがましいことはせず、単に事実を指摘したり自分の意見を書くよう心がけるしかないのではなかろうか。相手の考えを尊重した上で、事実の指摘や意見表明に留めるよう気をつけていれば、相手が感情的になるのを抑えることができると思う。

 もっともそう努めていても相手が批判と受け止めて腹を立ててしまったのなら、それは相手の受け止め方(内面)の問題でしかないだろう。

 たとえば、(意見の違いではなく)明確な事実誤認を指摘したときの反応は人さまざまだ。誤りの指摘に感謝して訂正するというのが常識的な対応だと思う。ところが自分が馬鹿にされたと思う人、自分の過ちを認めたくない人は不快になって腹を立てる。プライドの高い人ほどこういう傾向にある。極端な人は、そのことを根に持って相手の個人情報を晒したり、事実無根のネガキャンをするなどの報復に出ることすらある。また、相手が事実誤認であるという認識を持たず自分は正しいと確信していれば、やはり間違いという指摘は不快だろうし場合によっては反発心を抱くだろう。

 誤りの指摘をありがたいと思うか不快と思うかは、受け止める側の意識の問題だ。黒木さんは恐らく自分が錯誤しているとは考えていない。だから、私が勘違いと書いたことで傷ついてしまったのは無理もない。この点において完全に平行線になってしまった。でも、裁判をどう闘うかは当事者である彼女が決めることだから、彼女が正しいと確信している闘いをすることに対し、誰も彼女を批判する権利はない。

 そして、ムラ社会の同調圧力にも屈せず、スラグの埋め立て問題にたった一人で疑問を投げかけ抗議しつづけた彼女の行動は評価されることだし大きな意味がある。たとえ抗議行動に行き過ぎたところがあったとしても、彼女の告発は決して間違っていない。「黒木睦子さんの本人尋問で見えてきたこと」に書いた通り、私はこの裁判はスラップであり実質的には黒木さんの勝ちだと思っている。

 それと最後にもう一つだけ言っておきたい。今回のことで「あちら側の人たち」は、恐らく相変わらず私への誹謗中傷をしているのだろう(ブロックしているから見てはいないが)。私はあなたたちが何を言おうと、発言を止めるつもりはない。あなたたちの意図はもう丸見えだ。目的が分かってしまえば、何を言われても腹は立たない。そして、あなたたちの言動はあなたたち自身の内面を映す鏡であると思っている。

2015年7月18日 (土)

黒木睦子さんの本人尋問で見えてきたこと

 (株)日向製錬所と(有)サンアイが黒木睦子さんを名誉毀損と業務妨害で訴えた裁判の証人尋問(本人尋問)が7月15日に行われた。いつものように、イワシさんと大谷さんが裁判の報告をアップしている。お二人の報告を合わせることで、傍聴していなくても尋問の様子が伝わってくる。

黒木睦子への『尋問』7月15日第6回審理 (鰯の独白)

【Kファイル】7月15日裁判レポート (日刊Yon-go!Hin-go!)

 お二人の報告を読んで率直な感想を言うなら、黒木さんの主張は裁判当初からずっと一貫しているということだ。すなわち「日向製錬所スラグ裁判 第5回口頭弁論を終えての感想」にも書いたように、彼女はこれまでのサンアイと日向製錬所とのスラグをめぐる紛争がそのまま裁判に持ち込まれたと錯誤しており、裁判の争点も誤解しているし、名誉毀損裁判の立証責任は原告ではなく被告にあるという事実も理解していない。そのことが本人尋問でより一層はっきりとした。

 名誉毀損裁判でなければ、紛争の原因をつくったのは原告であり、安全であることの説明責任は原告にあるという彼女の主張はもっともだ。たとえばこの紛争が調停に持ち込まれたのであれば、彼女の主張は何の問題もない。しかし、姑息(私はそう思う)なことに、原告らは名誉毀損に打って出た。こうなると、彼女の考えているような紛争の続きにはならない。名誉毀損での立証責任は被告にあるからだ。裁判で紛争の続きをしたければ、黒木さんが原告らを訴えなければならない。

 しかし、黒木さんは最後までこのような名誉毀損裁判の争点やルールを理解しようとせず、自分流のやり方を貫いた。この態度は気持ちいいくらい一貫している。それが彼女の考える裁判なのだ。これは当事者がどう闘うかという問題だから、そのこと自体を批判するつもりはない。この裁判を「不思議」とか「不可解」と感じている人もいるようだが、彼女が勘違いをしていると考えるなら、不思議でも不可解でもない。

 そして、彼女流のやり方で終盤を迎えた裁判で明確になったのは、彼女の勘違いによって裁判所が求める論理的あるいは科学的な立証はほとんどなされなかったということだ。

 名誉毀損裁判で被告に立証責任があることは理不尽ではある。しかし、そういう決まりがある以上、がんばって証拠をかき集めて立証を試みるしかない。ただし、真実であると証明できなくても、「真実であると信じる相当の理由」(真実相当性)があれば名誉毀損は免責される。

 今回の本人尋問で、彼女は有害だと思う根拠について「一筆書いてくださいと言っても書いてくれないのでは安全ではありません」、「(成分証明書の結果を見てグリーンサンドが有害だと)決定的に思いました」と証言している(大谷さんのレポートより)。

 原告が本当に「無害な製品だから、将来にわたって健康被害が生じるようなことはあり得ない」と断言できるなら、一筆書くことは何の問題もないだろう。しかし、決して一筆書こうとしなかった。原告は「安全、安心な製品」であることを保証できないと言っているに等しい。そういう意味で、彼女の発言は決して間違いではない。裁判所がこの発言や水質検査結果を、「有害なゴミと信じるに足る相当な理由」に当たると判断する可能性がないわけではない。ここにかすかな希望がある。

 ネット上では、この裁判は産廃問題などではなく、黒木さんが嘘を言ってサンアイや製錬所に激しい抗議行動をしたのだから、モンスタークレーマーによる業務妨害の裁判だ、と主張する人たちがいる。しかし、裁判所は業務妨害についてはあまり重視しておらず、むしろ抗議することになった原因の方に目を向けていると感じられる。

 なぜなら、裁判官による尋問では抗議行動について質問していない。また、裁判長が最後に裁判の目的について確認した際、原告弁護士が「会社に押し掛けないことも求めている」との趣旨の発言をしたが、裁判長は「それは考慮要素として考えましょう」と答えた。つまり、裁判所は抗議行動による業務妨害についてはあくまでも副次的なものであり、抗議の原因となったスラグの有害性の立証こそ重視していると推測できる。

 ところで、私は日向製錬所の代理人弁護士による質問について指摘しておきたいことがある。イワシさんの報告によると、弁護士は「日向製錬所には約600人の社員、それにその家族、さらに関係者がいます。その人たちに迷惑がかかるかもしれないと考えたことはなかったですか?」と質問した。

 日向製錬所の従業員やその家族にかかる迷惑とは何であり、その責任の所在はどこにあるのだろう?

 黒木さんが嘘を広めているから従業員が迷惑しているというのならば、従業員は「安全で無害な製品」だと信じているということになる。本当にそうだろうか?

 黒木さんの義父は日向製錬所のOBだとされている。そのような方ですらスラグの安全性に疑問を感じ、地権者への直訴状に名を連ねているのである。元従業員もスラグが安全・安心ではないと感じている証だろう。さらに、日向製錬所でスラグを扱う者は防塵マスクをしているという。ならば、会社も従業員もスラグ粉じんが無害だとは思っていないのではないか?

 つまり第三者の目からも、従業員が「安全な製品」だと確信しているとは思えないし、むしろ安全性に疑問を抱いているのではなかろうか?

 もし従業員が黒木さんの告発は嘘ではないけれど、告発によって会社の経営に影響が出るから迷惑だと考えているのであれば、それは自己保身にすぎない。

 黒木さんの告発は企業経営者のモラルの問題であり、決して従業員やその家族に向けられたものではない。告発によって従業員やその家族が迷惑を被るとしたなら、その責任は間違いなく告発者ではなく企業にある。弁護士のこの質問は、従業員を持ち出すことで企業の責任問題を告発者にすり替えているに等しいと思う。

 さて、この裁判は本人尋問をもって終結した。このあともう一度口頭弁論が開かれて結審になり、そのあとに判決というのが一般的な民事訴訟の流れなのだが、裁判所は今までの経緯から考えてこれ以上口頭弁論を開いても意味がないと判断したのか、10月14日が判決と決まった。

 名誉毀損裁判で不可欠な論理的立証をほとんどしなかった以上、黒木さんにとって厳しい判決が下る可能性は高い。しかし、裁判所が業務妨害を重視していないのであれば、たとえ黒木さんが負けたとしても損害賠償金額はさほどの額にならないかもしれないし、ブログでの発言も部分的な削除や訂正に留まる可能性はある。また、「真実相当性」の判断に関しては裁判長の裁量がかなり関係してくると思うので、裁判官による公平な判断に望みを託し一貫した態度で臨んだ黒木流が功を奏するとしたなら、免責される可能性も残されているとは思う。

 ただし、私は被告が争点や立証責任について勘違いをして自分流を貫いたまま結審した裁判の判決に大きな意味があるとは思わない。意味があるのは、彼女がツイッターを利用してこの裁判を広めたことで、彼女に代わって埋め立てに用いられたスラグが産廃であるという立証を試みた人がいるということだろう。

 裁判が始まってから何人かの人たちがあのスラグは産廃の可能性が高いということをブログなどで具体的に検証してきた。たとえば「これどうなってんの?」のSuper-Kさん、「がんばらない、でも諦めない」のよしおかさん、「Dust n’ Bones 偽計のスラグ」のボーンズ88さんなど。とりわけよしおかさんの「宮崎県環境森林部循環社会推進課と環境省産廃110番にメールしてみた (グリーンサンドは?) 」という記事はまさにスラグが産廃であることを証拠を示して立証する記事だ。原告らはこの記事に戦々恐々としているに違いない。

 原告らが提訴し、そのことを黒木さんが拡散したからこそこのような立証が試みられた。つまり、今回の裁判は、産廃であるにも関わらず、名誉毀損を利用して告発者の口封じをしようとしたスラップである可能性が極めて高いと考えられるし、提訴が結果として企業イメージの低下につながったのは間違いないと思う。

 さらに裁判が始まると同時に黒木さんと彼女を応援する人たちを批判するツイッターアカウントが湧いてきた。私は、彼らの一連の発言から、間違いなくそのアカウントの大半が情報操作を目的としていると考えている。彼らの出現は、原告企業のイメージをさらに低下させただろう。

 そういう意味では、この裁判は実際の判決はともかくとして、実質的には被告の勝ちだといっても過言ではないと思う。

 今回の裁判は、日向製錬所から大量に排出されるフェロニッケルスラグの処理問題を社会に知らしめる契機になった。このスラグ問題は、決してこの裁判で終わったわけではない。

2015年7月13日 (月)

久々の登山で緑岳へ

 11日に久しぶりに大雪山系の緑岳に登った。ここ数年、いろいろあって山から遠ざかっていたので、はて、何年ぶりの登山だろう。私は頻繁に登山をするほどの山好きではない。体力もないし健脚とは程遠いから、ゆっくりしか歩けない。それでも、たまには天井の楽園を覗いてみたくなる。

 東京に住んでいた若い頃は、週末に思い立って一人で山に行ったことが何回かあった。山行を思い立つと金曜日の夕方に食料などを買い込み、帰りの電車の中で行き先を考える。両親がしょっちゅう山に行っていたので家にはガイドブックや地図はいろいろあった。家に帰って夕食と身支度を済ませてから新宿駅に向かい、夜行列車で山に向かうというのがお決まりのパターンだった。

 ときどき山の自然に身を置くことで心身をリフレッシュするというのが最大の目的ではあったのだけれど、山の自然にはそれだけの力があると思っている。高山帯という極限の環境の中で生きている植物の姿は決して無駄がなく、限りなく清々しい。風雪に耐えた高山植物たちは一斉に花を開いて短い夏を謳歌し、無機質な砂礫地にすら可憐な彩りを添える。そんな景色を見るだけで心が洗われ、日常の人間関係でのごたごたが些細なことに思える。人は、ときどきこんな気持ちになることが必要なのではないかと思う。

 緑岳(標高2019m)の登山口は高原温泉(標高1260m)にある。登山口のすぐ近くに泥火山(泥水噴出口)がある。泥水が音をたてて煮えたぎるこの噴出口は、規模は小さいながら地球の鼓動が伝わってくるようだ。
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 その周囲に固有種ダイセツヒナオトギリが花をつけていた。
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 急な斜面を登り切って第一花畑に出ると、目の前に緑岳の姿が現れる。花畑にはチングルマが咲き誇っていたが、ツガザクラなどはまだこれからだ。
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 こちらは、ミヤマリンドウとヨツバシオガマ。
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 第一花畑、第二花畑を抜けハイマツの茂る道を過ぎると、目の前に山頂への大斜面が現れる。写真で見ると傾斜が分からないが、けっこう急な登りだ。
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 山頂からは白雲岳、旭岳、高根が原が見渡せる。そして遠くにトムラウシ山。写真は旭岳。
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 山頂のイワウメ。イワウメは、米粒ほどの小さな葉には不釣り合いの大きな花をつける。
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 こちらはミヤマキンバイ。
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 同じく、山頂のイワヒゲ。釣鐘状の花が愛らしい。
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 こんな景色が待ち受けているから、文句なしに山はいい。

2015年7月10日 (金)

初夏の原生花園

 少し前のことになるが、7月5日に十勝川の河口近くの長節湖とトイトッキ浜で植物観察会があり参加した。講師は若原正博さん。

 日中は暑くなるかと思いきや、海岸に近付くにつれ雲が空を覆いはじめ、観察会がはじまる時は涼風がたっていた。海岸の天気は行ってみないと分からない。

 このあたり一帯は原生花園となっており、春から秋にかけてさまざまな花が草原を彩る。6月にはセンダイハギが黄色い鮮やかな花をつけるのだが、大半が実になっていた。今の季節はハマボウフウ、エゾノヨロイグサ、マルバトウキなどのセリ科の白い花に、ハマナスやノハナショウブ、エゾフウロなどが彩りを添えている。

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 以下、植物を少し紹介したい。

 下の写真はノハナショウブ。この原生花園にはアヤメ、ヒオウギアヤメ、ノハナショウブが咲くが、今はノハナショウブが美しい季節。花弁の黄色い斑がポイントだ。

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 こちらはエゾフウロ。あちこちでピンクの可憐な花をつけている。
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 砂浜に生育するハマベンケイソウ。青い花が可愛らしい。
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 こちらも砂浜に生育するハマボウフウ。

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こちらは蘭の仲間のエゾチドリ。
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 トイトッキ浜の原生花園の一部は北海道の天然記念物に指定されているのだが、ここにはガンコウランやコケモモ、ハナゴケ(地衣類)など、高山性の植物も見られる。

 コケモモの花。
P10609177


 ガンコウランは黒い実をたわわにつけていた。
P10609118

 以前も同じような季節にこの海岸を訪れたことがある。あの時はまだ母が元気で、植物が好きな母は原生花園の散策をとても楽しんでくれた。長節湖は霧に霞んではいたが、靄の中に浮かぶ花々はそれはそれで幻想的だった。

 花の観察にはいい季節なのに、あの時に比べて今回は何か物足りない。しばらくしてその原因が分かった。セリ科植物の花をエゾシカが食べてしまっているのだ。シカが悪いわけではないのだけれど、草原に林立するセリ科植物の花が少ないのは何とも寂しい。

2015年7月 8日 (水)

ネットで名誉毀損などの不法行為をしないために

 以下は昨日、7月7日の私のツイート。

ブロック=相手を黙らせるということではない。悪意のある人、マナーが守れない人の挑発に乗らないための一つの選択肢。挑発行為に乗って時間を浪費したり煩わされるのを防止する機能がブロックだと私は思っている。

①ネットが普及して、誰もが名誉毀損で訴えられないように気をつけなければならない時代になった。真実であっても相手の社会的評価を低下させる発言をしたら名誉毀損に該当する。本当のことだからと言って、何を言ってもいいというわけではない。

②名誉毀損は刑法によって犯罪とされることもあるが、民事で不法行為として損害賠償を求めて訴えられる場合が多い。企業などからスラップ訴訟をしかけられないためにも、ネットなどの公の場で批判をする場合は十分な注意が必要だ。

③名誉毀損は公共性・公益性のある発言で真実であれば免責される。だから、批判をするなら公共性・公益性のある問題に限ったほうがいい。人格否定。人格攻撃は公共性・公益性があるとは思えず、やってはいけない行為。

④公共性・公益性がある問題でも訴えられる可能性があるような批判は、自分の発言の根拠となる証拠を保存しておくことが大事。ネット上の記事などは消えたり書き変えられる可能性もあるので、プリントしたりスクリーンショットなどで保存するなどし、URLも記録しておくべきだ。

⑤証拠がなく断定できないことや不確かなことに関しては、そう考える根拠を説明した上で「私は○○だと思う」「○○だと考える」という意見表明の形にしたり、仮定形で書くように心がける。間違いに気付いたり指摘されたら、速やかに訂正することも訴えられないためのポイントだ。

⑥誹謗中傷などによる名誉毀損のほか、侮辱やプライバシー侵害も不法行為として訴えられる可能性がある。匿名でも相手の特定は可能だから、匿名だからといって安心して暴言を吐いたりプライバシー侵害をするのは禁物だ。無断転載などの著作権侵害も気をつけたい。

 今や大半の人がインターネットを利用している。ブログやツイッターなどのSNSを自ら利用していなくても、ネット上には他人に対する誹謗中傷、罵倒、人格攻撃などによる嫌がらせ、無断転載などが溢れていて、それを目にするのは日常茶飯事だ。

 ツイッターでは違反報告も受け付けているが、次々とアカウントを変えてマナーや規約違反を繰り返す人が後を絶たない。言論におけるマナーに関しては以前より知れ渡ってきたのではないかと思うが、マナーや法律を無視して誹謗中傷を続ける人が一定程度おり、見るに堪えない状況がある。これにはネットの匿名性も大きく関係しているのだろう。匿名が必要な場合があるのは確かだが、とりわけツイッターの匿名性はマナー違反を助長しているように思える。

 もちろん、実名の者同士の争いもある。一市民である志岐武彦氏が、歌手であり作家である八木啓代氏からツイッターで名誉を棄損されたとして裁判になっている。今日は本人尋問があるそうだ。

「志岐武彦VS八木啓代」裁判の本人尋問、ツイッターによる名誉毀損は認められるのか? 8日の13:30分から東京地裁 (MEDIA KOKUSYO)

 両者の言い分などについて具体的なことは分からないが、ツイッターでの発言がどのように判断されるのか、注目される裁判だ。

 一部の者が、言論のマナーも法律も無視してブログやツイッターなどのネット空間で言いたい放題の発言をしているというのがこの国の現実だ。子どもの頃から言論の責任やマナーについて教育をする必要があると思う。

 以下では、ネットでの誹謗中傷を見つけたときの対処法を説明している。

 【保存版】ネットで自分への「誹謗中傷」を見つけたときの対処法

2015年7月 3日 (金)

夫婦別姓を選択できない遅れた国

 先日、以下のネット署名のお知らせがあり、私は迷わず署名をした。

 名前を変えずに結婚したい!  〜LOVE MY NAME ♡ 選択的夫婦別姓制度の実現を〜 

 私の名前、すなわち松田まゆみは、私が生まれたときに両親がつけてくれた名前である。そのことは私が父、松田白の遺稿集を公表していることからも分かると思う。私は戸籍上の名前を使うことが不可欠な場合以外は、すべて松田まゆみという名前を使用している。

 たとえば民間団体や学術学会もこの名前で登録しているし、講演や公聴会などでの意見陳述も松田の名前を使っている。論文や文章を書く場合も同様である。裁判(原告となっている裁判がいくつかある)においても、松田まゆみという名前を併記しているし、この名前で郵便物も届く。戸籍上の名前で検索しても、私のことはほとんど何もでてこない。松田まゆみという名前で本人を特定できるようにしているのであり、偽名でもペンネームというわけでもない。つまり実名と同等である。

 なぜこの名前を使いつづけるのかというと、日本の婚姻制度がおかしいと思っているからだ。日本の制度では結婚したら夫婦のどちらかが姓を変えなければならない。本来、結婚、離婚、再婚などというのは極めてプライベートなことであるにも関わらず、婚姻制度によって名前を変えることでプライバシーが保たれないという状況が生じている。

 日本では結婚の際に男性の姓を選ぶ場合が圧倒的に多い。本来ならどちらの姓を選ぶかは話し合い、じゃんけん、くじ引きなどで決めてもよさそうだ。ところが実際にはさまざまな理由からなかなかそうはならず、納得できなくても女性が変える場合が大半だ。これは明らかに不平等である。

 また、仕事上、名前を変えると支障や混乱をきたす場合だってあるだろう。そういう方たちは通称として旧姓を使い続ける人が多いが、二つ名前を使い分けるというのは煩わしい上にさまざまな面で不便が伴う。

 研究者の場合、結婚、離婚、再婚などによって名前が変わってしまうと、論文の著者名の同一性が保たれなくなる。したがって名前を変えないのが普通だ。最近は海外に送金をする際に必ず身分証明書で本人確認を求められるのだが、海外の学会に戸籍上の名前とは違う名前で登録していると、学会費の送金の際に面倒なことも生じる。

 選択性夫婦別姓にすればこういう不平等や不便さは解消される。ところが、日本ではいつまでたってもそれが実現されない。つくづく遅れた国だと思う。

 このような理由で私は松田の姓を使い続けている。何よりも子どもの頃から使いつづけてきた名前で愛着がある。松田まゆみで本人が特定できるし、公の場での活動はすべて松田を使用しているので、戸籍上の姓を公開する必然性も意味も全くない。誰と婚姻関係を結んでいるか、あるいは婚姻関係を解消したかなどというのは極めてプライベートなことであり、公にしたり他人にとやかく言われることではない。

2015年7月 1日 (水)

黒木さんの水質検査で確認された有害物質は何に起因するのか?

 黒木睦子さんが平成24年7月30日に、日向市西川内地区の第一工区と称される造成地の沈殿池の水を採取し検査機関に分析を依頼したところ、高濃度の有害物質が確認された。この検査結果は裁判の証拠として原本が提出されており、有害という結果が出たのは間違いないだろう。検出された有害物質は以下(単位はmg/l)

カドミウム   0.0096
総水銀    0.0073
セレン     0.030
鉛        2.1
六価クロム   0.02
ヒ素       0.52
シアン     0.1未満
フッ素     20
ホウ素    0.23

 この水の採取に関して「別の場所から採取したのでは?」という意見もあるが、何ら証拠はなく、黒木さんがそのようなことをする理由も考えられない。また、このような汚染された水を一般市民が入手するのも困難だろう。黒木さんは採取時の様子も説明しており、第一工区の沈殿池から採取したと考えるのが妥当だ。

 ならば、いったいこの高濃度の汚染はいったい何に起因するのだろう?

 私は6月26日にこの件に関して以下のツイートをした。

https://twitter.com/onigumoobasan/status/614545946949488640
1 黒木さんの水質検査で有害とでた理由として考えられること。①スラグ微粉末を含む水をろ過せず検査した。②酸性雨によって沈殿池に飛来した微粉末から有害物質が溶けだした。③造成地に有害物質が不法投棄された(石灰で対処し川が白濁)。④酸性雨が積まれたスラグを浸透し有害物質が溶けだした。

https://twitter.com/onigumoobasan/status/614546095755034624 2
 黒木さんが主張しているのは④だが、他の検査では有害と出ていないので、この可能性は一番低いのではないかと思う。もっとも、検査データや検査機関の人の説明、現場の状況などから黒木さんが「スラグを浸透した水が汚染されている」と考えるのは不思議ではない。 

 上記ツイートの「①スラグ微粉末を含む水をろ過せず検査した」という説に関しては以下の記事に書いたが、よしおかさんの仮説を元にしたものだ。私はこれまでこの説が妥当ではないかと考えていた。

 フェロニッケルスラグは有害なのか無害なのか? 

 そのほかに、「②酸性雨によって沈殿池に飛来した微粉末から有害物質が溶けだした」という可能性も考えられる。つまり沈殿池には雨水が溜まっていただろうから、酸性の雨水によって沈殿池に降り注いだスラグから有害物質が溶出したという可能性もある。これについてはOwlmanさんの6月17日の連続ツイートで触れられている。

https://twitter.com/nightowlfly00/status/610963803056947200

@mutsukurokiこれは県立図書館の分厚い金属辞典か鉱業辞典に専門家が書いてたことだが、 硫黄は時間が経つといろいろなものに変化する。イオン化したり酸化したり。 変化したある物質(正確な名前失念)が水に溶けると硫酸になる。

@mutsukuroki従って、製錬所では鉱滓をしばらくの間、貯蔵所に貯めといて、硫黄が硫酸になり鉱滓を溶かすことがないか、様子を見る。これをエイジングと呼ぶ。 硫酸になると黄色い水になるため、これは黄濁水問題として鉱毒原因として世界中で有名

@mutsukurokiネット記述では、製錬所は鉱滓中のフッ素を抜くために、エイジングを行う場合もあるらしい。 2002年頃鉱滓のフッ素規定が厳しくなり、製錬所が鉱滓のリサイクル利用を減らしたという記述もあった。(三浦万尚氏の指摘は正しい)

@mutsukurokiここから先は個人的推測だが、 鉱滓は空気や水に触れる環境中では、鉱滓中の硫黄が酸化したりイオン化したりして、その一部が硫酸原因となる物質になり、それが水に溶けて硫酸になり、鉱滓から重金属を溶かし出してしまうのでは?。

@mutsukuroki山中にそのまま事実上の投棄を行えば、地下水に触れ、将来的に長期間経過するうちに、硫黄の硫酸化と重金属溶け出しが地下で起こる場合があり得るが、埋立てしまえば、何が起きているのかわからなくなる。確認のしようがなくなるのだ。

@mutsukuroki自分的には、被害者が見つけた高濃度重金属汚染水は、山中に埋立途中で大量の雨水がかかり、鉱滓中の硫黄が水と大気でイオン化や酸化などを起こし、その結果、一部分が硫酸原因物質に変化し。それが水に溶けて硫酸となり、重金属を溶か

@mutsukurokiし出したように思われる。 或いは、製錬所で電気炉から出て来たすぐの鉱滓を、エイジングもしないまま、山中に埋立たのかもしれない。 無論、その場合は黄濁水問題が発生する確率は高くなるだろう。 以上2つの要因が重なったのかも 

 酸性雨にスラグが長期間浸かることよってスラグから有害物質が溶出するかどうかも酸性溶媒による溶出試験で確認する必要があると思う。もっとも検査機関では定められた方法での検査しかしないだろうから、こうした試験はそう簡単にできないかもしれない。

 上記二つの仮説は、有害物質がフェロニッケルスラグに由来するという考え方だ。私はこれまで有害物質はスラグに由来するだろうと思い込んでいた。しかし、この思い込みのタガを外せば、有害物質がスラグに由来することに拘る必然性は何もないということになる。すなわち「③造成地に有害物質が不法投棄された」という説もあり得る。

 以前、左巻健男さんとツイッターでやりとりした際、左巻さんが「スラグ溶出と思えない成分などもあった」とツイートをしているのを思い出し、そのツイートを探してみた。以下。

https://twitter.com/samakitakeo/status/552097537083994112
@onigumoobasan 第三者も一緒に採取していないと厳しいですね。スラグ溶出と思えない成分などもあった気がします。その検査結果のもと報告書のコピーも示されていませんよね? 

 フェロニッケルスラグには含まれない有害物質が検出されているのなら、スラグ埋め立てとは別に不法投棄があったと考えるほうが辻褄が合う。

 黒木さんは「フェロニッケルスラグ沈殿池の水質検査」というブログ記事で、水の採取をした際の状況を「私たちが水を汲みに行ったときは、水は黒く濁っており、下の方の状態は黒くて見えませんでした。吐き気がくるような異様な臭いもしてました・・・」と説明している。黒く濁り悪臭がするような水が存在したのなら、スラグ微粉末の混じった水をろ過せず検査したためだけではなく、水そのものに有害物質が溶け出ていたのかもしれない。

 造成地の下を流れる西川内川が石灰で白濁していた時期があったが、有害物質の処理のために石灰が投入されたという可能性も否定できない。もしこれが事実だとしたなら、事業者は不法投棄を知って対処したことになる。

 上記①、②、③が重なっている可能性も否定できない。

 現時点では黒木さんの検査で有害物質が検出された原因は全く解明されていない。①ないし②であればスラグは有害ということになるが、もし③の不法投棄があったのであれば、それはそれで重大な違法行為だ。どれも可能性の話しなのだが、有害物質が検出されている以上、その原因を解明することが必要だと思う。

 大量のスラグが積み上げられた造成地の下部にある沈殿池(しかも第一工区の沈殿池はコンクリートブロックで固められていない)の水から有害物質が高濃度で検出されたという状況から、私もはじめはスラグを浸透した水が有害物質を溶出させたのではないかと思った。黒木さんが同じように考えるのは無理もないし、彼女がそう確信した「真実相当性」が認められれば、有害という主張に関しては名誉毀損が免責される可能性はある。

 なお、香取ヒロシさんは、黒木さんはグリーンサンドの主成分であるシリカの発がん性について裁判で主張すべきだと言っている。

 【追記あり】池の水は争点じゃない。衝撃の発がん性物質。 (Come on by! 英語ガレージ! ☆☆☆)

 原告が求めているのはフェロニッケルスラグが有害であるということについての立証だから、水質検査結果とは別に、スラグ微粉末自体の有害性を主張することも意味があると私は思う。

*検出された有害物質について追加した。

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