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2015年1月 8日 (木)

中国電力の裁判も高江ヘリパッド裁判も抗議行動を理由にしたスラップ訴訟

 (株)日向製錬所と(有)サンアイが黒木睦子さんを訴えた裁判で、「市民メディアみやざきCMM」の大谷憲史さんは、この裁判は産廃問題ではなく個人情報を公開したことによる名誉毀損であり、黒木さんの抗議行動による業務妨害だと主張している。

 この件について私はあくまでも名誉毀損と業務妨害を理由にしたスラップ訴訟だという見解だ。

 私は訴状を見ていないが、訴状を見た人の報告をもとにこの点について整理してみたいと思う。

 まず、業務妨害の件。以下の「木星通信」で黒木さんの抗議行動に関する原告の主張がある程度分かる(ただし、訴状に書かれていることが事実かどうかは分からない)。

合同調査・黒木睦子さんへの訴訟問題について。基本データベース。 

 ここに書かれている黒木さんの妨害行動とは、車の通行の妨害や無断での現場立ち入り(これに対しサンアイが警察を呼んだ)、日向製錬所やサンアイの事務所に立ち入って主張をしたり電話を掛けるなどしたということだ。暴力行為を行ったなどというようなことは書かれていないようだ。

 黒木さんはスラグを埋め立てた第一工区の沈殿池の水を採取して検査に出し、有害という結果を受け取った。黒木さんは第一工区のすぐ近くに将来住宅を建てる予定だとIWJの取材で答えている。

 居住予定地のすぐ近くに有害物質が埋められ、そこから流れ出る水に有害な重金属などが高い濃度で含まれているとしたなら、当然、造成地一帯の地下水や河川水の汚染が懸念される。地権者や利害関係者は、自分たちの健康や生活環境を守るために、業者や許認可に関わる行政に納得のいく説明を求める権利がある。私が黒木さんの立場だったら、やはり説明を求めたり抗議をすると思う。もちろん、事業者や行政は職務として市民の抗議に対し納得のいく説明をし、工事について合意を得る責任があるだろう。とりわけ事業者は地域住民への十分な説明を行い合意形成のために努力する責務があるし、合意が得られないのであれば断念するという選択肢もある。

 しかし、黒木さんのブログを読む限り、事業者も行政も誠実に対応しているとは言い難い。口では「無害で安全」と言いながら、黒木さんの一筆書いてほしいという求めにも応じていない。このような事業者の無責任は対応に対し、説明を求めたり抗議をするというのは利害関係がある住民の当然の権利であり行動だろう。ところが事業者は話し合いで解決できることでありながら誠実な対応をせず、権力の力を借りて抗議する住民を排除しようとしたのではないか。

 しかも不思議なのは、抗議をしているのは被告の黒木さんだけではない。彼女の夫やおばも抗議行動を行っていたと訴状に書かれているそうだが、業務妨害で訴えられているのはブログやツイッターで告発をしている彼女一人だ。

 ここで思い出されるのは、住民の抗議行動に対して起こされたスラップ訴訟だ。ひとつは上関原発に反対し抗議行動を行っていた住民を提訴した中国電力スラップ訴訟。中部電力が、地元住民の理解を得ないまま強引に工事に着工し、非暴力で抗議行動をしていた市民に損害賠償を求めて提訴したという事件だ。

4800万円損賠賠償裁判(祝島の暮らしと上関原発~止めようSLAPP裁判)

 以下はこの裁判で訴えられた4人の被告の裁判での意見陳述書。

 4人の意見陳述 

 もう一つのスラップ訴訟は高江ヘリパッド訴訟。この訴訟も、ヘリパッド建設予定地入口で事業者への説得と監視を目的とした座り込みを続けてきた住民に対し裁判を起こしたというもの。

 ヘリパッドいらない!高江座り込み弾圧訴訟、始まります(やんばる東村 高江の現状)

 以下は被告の意見陳述書。

本人意見陳述(1) 
本人意見陳述(2) 

 どちらも、住民が権利を行使して非暴力の抗議行動を行ったことに対して起こされた訴訟である。黒木さんの事例もこれとよく似ている。

 もうひとつの名誉毀損の方だが、木星通信によると、サンアイは社長の携帯電話番号と従業員の顔写真のブログへの掲載をあげている。これらはプライバシー侵害に関わるものであるから、掲載をされた本人個人がプライバシー侵害として提訴すべきであり、会社として提訴するというのはどうみても筋違いだ。それに提訴する前に該当部分の削除を求めればいいことではないか。

 日向製錬所は、「有害なゴミ」などという表現が虚偽だとし、また黒木さんの水質検査に疑義を呈し、これらが営業上の信用や名誉を棄損したとしている。これに関しては埋めたスラグが有害か否か、産廃か否かを争うことになるだろう。「有害」「産廃」という判断が下されれば、名誉毀損には該当しないと思う。

 大谷さんは「産廃問題でも何でもない」というが、日向製錬所は明らかに埋められたフェロニッケルスラグ(原告はグリーンサンドという製品だと主張)がゴミ(産廃)か否か、有害か否かを争点としている。

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