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2014年10月 2日 (木)

故郷の光景(3)岡谷の旧林家住宅

 私の両親は上諏訪に住んでいた頃よく山やスキーに出かけたのだが、幼い私は母方の祖母のところに預けられた。といってもそこは祖母の家ではなく、祖母が住み込みで働いていた家で、上諏訪から二駅目の岡谷にあった。

 大きなお屋敷で土蔵があり、子どもの目にも庶民の家ではないことが分かったが、なぜ祖母がそこにいるのかは幼児の私には分からなかった。そのお屋敷は岡谷駅の近くにあったことは覚えている。「今日は岡谷に行くよ」と言われるとちょっぴり寂しい気がしたが、その大きなお屋敷が嫌ではなかった。両親の山行が日帰りのときは朝に預けられて夕方迎えにきたが、泊まりがけで預けられたこともあった。

 そのお屋敷には部屋がたくさんあり、部屋の周りに長い廊下が続いていた。夕方になるとここで働いているおばさんが廊下のカーテンを閉めて歩く。それが面白くてついて歩いた記憶がある。

 不思議なのは奥に洋間があることだった。洋間には滅多に入れてもらえなかったが、家族がそろった時などにたまに入れてもらえることがあった。そこは絨毯が敷かれて窓には豪華なカーテンがかかり、子どもにとっては別世界だった。ここにはコリントゲームがあり、それを見せてもらうのが楽しみだった。

 そのお屋敷が「旧林家住宅」として国の重要文化財になり、一般に公開されているのを知ったのは9年ほど前のことだったろうか。こんど上諏訪に行ったとき訪れてみようと思いつつ、今までいく機会がなかった。そこで、今年こそはと思って岡谷まで足を運んだ。

 「旧林家住宅」は、林国蔵によって明治40年に建てられたそうだ。諏訪や岡谷は養蚕で栄えた街だが、林家は岡谷の三大製糸家の一人で、この林家の住宅は「シルクと金唐紙の館」と言われている。土蔵を持った立派なお屋敷の由来が、今になってようやく理解できた。

 下の写真は廊下から庭を見たところ。この光景はよく覚えているのだが、子どもの頃はもっとずっと広かったように感じた。今見ると、こんなに狭かったのかと驚いてしまう。

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 林家の特徴は「金唐紙」。和紙で作られた壁紙なのだが、今は金色がかなり色あせている。2階の和室にはこの金唐紙が壁や天井に貼りめぐらされているのだが、こんな部屋があったとは知らなかった。

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 廊下にはクモの巣をかたどった欄間があるのだが、この欄間のことは覚えていない。

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 こちらが洋間。カーペットもカーテンも昔のままだという。

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 こちらは洋館の外観。

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 叔母の話しによると、祖父は生糸の売買をしていたそうだ。しかし若くして夫に先立たれた祖母は、同業者であった林家で働くことになったらしい。

 こうしてなつかしい岡谷の家を訪れてみると、子どもの頃の記憶通りのところもあれば、記憶にないことも多々ある。幼児の記憶とはそんなものなのかもしれない。しかし、「岡谷の家」は私にとってはほとんど記憶の彼方の存在だっただけに、再び訪問できて感慨深いものがある。

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