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2014年9月12日 (金)

原子力推進派に騙されてはならない(その2)

 遠藤順子医師による講演会がYouTuboにアップされている。

遠藤順子20140803家族を放射能から守るために~国際原子力組織の動きと内部被曝  

 私は遠藤医師については全く知らなかったのだが、実に重要な問題点を指摘しており、多くの人に広めてもらいたい動画だ。講演自体は1時間ほどなので視聴されることをお勧めするが、重要な点について簡単に紹介しておきたい。

 講演で語られているのは以下について。
1国際原子力組織の福島後の動き
2チェルノブイリで何が起こってきたか
3内部被曝による細胞損傷の機序
4「放射性セシウムは安全」論への反論
5食品の放射線基準の考え方について

 冒頭の「国際原子力組織の福島後の動き」だけでも視聴に値する。特筆すべきは、IAEAについての以下の指摘だろう。

1996年4月IAEAの会議(ウィーン)「チェルノブイリ事故から10年」
「再び事故が起こるのは避けられない」として、そのとき取るべき方策も話し合われた。

「次回の原発事故にあたっては、人々を避難させず、情報をきちんと統制すること」

 福島の事故を顧みれば、事故当初からまさにこの方針が貫かれている。だから、SPEEDIの情報は隠され、関東地方にプルームが襲ったときも屋内退避の指示すらしなかった。そして御用学者に「福島の事故程度では健康被害は起きず、体調不良はストレスによるもの」という発言をさせ、除染することで汚染地に住民を帰還させるというのが政府の方針だ。IAEAが主導し日本政府はそれに従っているということだ。

 また遠藤医師は、最近の国際機関側の人物の以下の発言を紹介している。

「(情報統制のことだが)チェルノブイリは失敗したが、フクシマはうまく行った・・・」

 この発言からも、福島の事故においてはIAEAの方針通りに進められていることが裏付けられる。原子力推進派に不都合な事実は、まず隠蔽されていると思ったほうがいい。

 遠藤医師は元ICRP科学事務局長Jack Valentin博士の以下の告白も紹介している。

「内部被曝による被曝は数百倍も過小評価されている可能性があるため、ICRPモデルを原発事故に使用することはもはやできない。体制側にある放射線防護機関は、チェルノブイリのリスクモデルを見ておらず、誤った評価をしている」(2009)

 内部告発だから信ぴょう性は高い。ICRPも自分たちの理論が正しくなく、著しい過小評価をしていることを分かっているはずだ。しかし、原発を推進するためにはその誤ったモデルを主張し日本国民を騙しつづける必要がある。

 原発事故直後から、福島の事故がチェルノブイリに匹敵する惨事であり被曝による健康被害に警鐘を鳴らす人たちがネット等で発言していた。クリス・バズビー氏然り、アー二―・ガンダーセン氏然り。日本でも矢ヶ崎克馬氏などが被曝の危険性について積極的に発言をしていた。ところが、インターネットが発達して誰もが簡単に情報を手に入れられる時代になったにも関わらず、私たち日本人の多くはこうした警告に耳を傾けることなく、マスコミを通じて政府や原子力関係者、御用学者の垂れ流す情報に洗脳されている。

 さらにネット上では「工作員」と呼ばれるような人たちが跋扈し、原子力推進派に不利な情報の統制に躍起となっている。私自身は、未だに海へ大気へと垂れ流されつづける放射性物質のことを考えると、福島の事故の規模はとっくにチェルノブイリを超えていると思っている。しかも制御不能状態。それを政府は必死に隠しているに違いない。

 故郷に愛着を持つのはごく自然なことであり、誰しもが仕事や故郷を簡単に捨て去る気にはなれない。御用学者達の「大きな健康被害は起きないだろう」という言葉を信じたい気持ちになるのは分からなくもない。しかし、原子力推進派はこうした住民の気持ちを利用し、彼らを欺いているのだ。

 遠藤医師は、内部被曝のしくみについても最新の研究を紹介して詳しく説明している。もちろん原発推進派はこうしたことも知っているだろうが、無視を貫いている。

 すぐに頭に浮かぶだけでも、遠藤医師のほかに菅谷昭医師、小野俊一医師、西尾正道医師、高岡滋医師、三田茂医師、きむらとも医師、松江寛人医師、安藤御史医師などが原発事故による被ばくの危険性に警鐘を鳴らしている(もちろん他にも同様の主張をしている医師は何人もいるだろう)。片や、原子力推進派を擁護するかのような発言を繰り返している医師もいる。ここに医師としての矜持、姿勢がはっきりと表れている。

 原発の過酷事故は福島が最後ではない。IAEAはもちろん今後も原発事故があることを想定しているだろう。それでも原発を推進するのだ。自分たちの利益のために。しかし、原発事故のリスクが最も高い国といえば、間違いなく繰り返し大地震・大津波・火山噴火に見舞われてきた日本だ。こんな危険な国である以上、原発は廃止するしかない。

 原爆を落とされ、福島の原発事故を体験した日本国民が原発反対を貫くことをせずして、誰が原発災害という人災を阻止することができるのだろうか。推進派に騙されていてはならないのだ。

 日本では、チェルノブイリの原発事故で被災した子ども達の保養活動が行われていた。そうしたグループが発行した「私たちの涙で雪だるまがとけた」という本がある。ネットでも公開されているので読んでほしいのだが、これが原発事故による健康被害の実態だ。なんの責任もない子ども達がまっさきに犠牲者になる。

 私たちの涙で雪だるまが溶けた 子どもたちのチェルノブイリ 

原子力推進派に騙されてはならない(その1)

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コメント

はじめまして。
遠藤先生の動画ありがとうございました。
貴重な内容なのでリンクし一部転載させていただきました。
事後承諾で申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。

星月夜★さん

リンクありがとうございました。
遠藤医師のお話は多くの人に知って広めてもらいたいことです。マスコミではまず報じませんから。

シェアさせてください。
事後承諾ですみません。
何故福島では避難が進まないのか?
帰還を推進するのか?
謎が解けました。

た あきこさん、コメントありがとうございます。広めていただけると幸いです。

福一事故がなかったかの様に忘れられている現在の日本。私は太平洋の魚は今でも危険だといつも思いながら食して居ます。この辺にも降り注いだのです、稲藁を未だ処理できて居ない宮城県、焼却場建設に異議を申したて、役人を入山阻止に町民と共に闘った加美町町長。2017年5/29日に発生した浪江の山林火災、近辺は放射性物質が大気中に舞い上がり、広く汚染された様です。地震国日本に原発は危険だと未だにわから無いでいる日本人。

農婦さん

福一の事故からもうじき丸7年が経ちますが、多くの日本人はもう事故のことなどほとんど頭にないのかもしれませんね。1~3号機は線量が高くて近づくこともままならず、融け落ちた核燃料どころかプールの燃料すら取り出せないのですから、ほとんど「手の施しようがない」有様ではないでしょうか。福一の事故で太平洋が汚染されつづけていると思うと、言葉がありません。こんな最悪の状態なのに、原発の再稼働をしたり、東京でオリンピックをやるというのは常軌を逸しています。

松田 様
情報ありがとうございます。
私も、福島県と近接地域への放射線影響を心配している一人です。
原発事故以来、国や自治体の動向が極めて奇怪です。
これまでに発生し、未だ解決に至っていない「水俣病」「カネミ油症」などの事例に酷似しており、今後の動向にはよほど注意しなければならないと感じています。
蛇足ですが私は1964年生まれです。故に次回東京でのオリンピック開催は複雑な心境ですが、こんなことやっておる場合じゃないことだけは確かだと認識しています。

瀧本さん、コメントありがとうございます。
原子力発電を国策として推進してきた国は、国民を欺いてでも責任をとりたくないのでしょう。福島第一原発は事故から7年経っても廃炉の見通しすら立たず、東電は汚染水を海に流したがっています。石棺にしたチェルノブイリとは状況がまったく異なりますが、このような状況でオリンピックを開催するという神経が信じられません。海外の方たちはこの現状をほとんど知らないのではないかという気がします。

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