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2013年11月27日 (水)

民主主義を捨てた日本

 昨日、特定秘密保護法案が衆院を通過した。いよいよ安倍政権の暴走が本格化した。

 国民がこの法案の恐ろしさを気づきはじめてから各地で反対の集会やデモが行われるようになった。先日は御用メディアNHKまでがデモについて報じた。25日には福島で公聴会が開かれ、意見を述べた7人全員が反対や慎重審議を求めた。昨日は国会議事堂前に法案に反対する大勢の市民が詰めかけた。共同通信の世論調査では6割が「知る権利が守られるとは思わない」と回答した。

 それにも関わらず、ごり押しで衆院を通過してしまった。なぜこれほどまで急ぐのか?

 安倍首相の支持率は11月24日に実施された共同通信の世論調査によると57.9%であり、まだ大きく低下していない。アベノミクスという経済政策に期待している国民はいまだに多い。しかしアベノミクスは時間がたてばたつほど化けの皮が剥がれていくだろう。安倍首相にとっては、支持率が高いうちに稀代の悪法である秘密保護法を通してしまいたいに違いない。早ければ早いほどいい。

 もう一つ、マスコミの抵抗がある。いつもは権力寄りの報道ばかりしているマスコミも、秘密保護法に関してはかなりの危機感を持っている。報道機関としては当然のことだ。今日の北海道新聞では「拡大運用 際限なく」とか「知る権利 崖っぷち」と題して秘密保護法の問題点を大きく報じているし、「強行採決」という連載記事も掲載した。社説はもちろん秘密保護法の批判である(もっと早くから報じるべきではあったが・・・)。

秘密保護法案、衆院通過 ノーを突き付けて廃案に(北海道新聞)

 秘密保護法案を何としても成立させたい政府にとって、マスコミに問題点を暴かれ、国民が危険性に気づいて大騒ぎされたら都合が悪い。マスコミが書きたてる前に何としてでも衆院を通過させたいのだ。早い者勝ちと思っているのだろう。

 しかも、政府には隠したいことがいっぱいある。告発されたら困ることがいっぱいある。原発問題、TPP、オスプレイ、米国との関係・・・。マスコミはある程度コントロールして御用メディアにすることはできる。しかし、マスコミが伝えない事実を伝えようとするインターネットメディアは目の上のたんこぶだろう。市民メディアやブロガーの口封じにも特定秘密保護法は有効に違いない。言論の自由が保障されない世の中になる。

 安倍政権がこれほどまで強行な姿勢をとれるのも、7月の参院選でのねじれ解消がある。衆院さえ通してしまえば楽勝だと思っているのだろう。

 多くの国民がこの法案に警戒心を抱いているのは、何が特定秘密なのか分からないこと、そして公務員だけではなくごく普通の市民まで処罰されかねないという点だろう。「何が特定秘密なのか秘密」というのは無茶苦茶な話しだ。市民運動などにも関わっていないごく普通の市民が、理由も分からず突然逮捕されてしまうということもあり得るのだ。道新の社説には一例として以下のような事例を取り上げている。

 市民団体が自衛隊基地の監視活動をした場合、監視対象に特定秘密が入っていれば「管理を害した」として罪に問われかねない。
 秘密の漏えいや取得をめぐり共謀、教唆、扇動すれば、実際に秘密が漏れなくても最高懲役5年となる。
 例えば避難計画策定のため原発情報を得ようとだれかと話し合ったり、だれかに働きかけたり、大勢の前で呼びかけたりした場合、その情報が特定秘密なら入手していなくても罰せられる恐れがある。

 国民が自分の身を守るために原発に関する情報を手に入れようと誰かと話しあったり、誰かに働きかけたりしただけで、逮捕されかねないのだ。毎日新聞でも具体例を挙げている。

特集:特定秘密保護法案、成立したら――市民生活こうなる 崩壊する知る権利 

 秘密保護法を成立させれば、政府にとって都合の悪い情報をいくらでも隠せるし、公務員やうるさい国民の口を封じることができるのだ。さらに「適正評価」の際にはプライバシーが丸裸にされる。つまりは国民を縛る独裁政治がかんたんに実現できることになる。人々は政治にまつわる噂話すらできなくなるのではないか。北朝鮮と何も変わらない。

 そもそも私たち国民には行政機関が所有する情報を知る権利があり情報公開を求めることができる。国民主権を謳っている以上、当然のことだ。しかし、今でさえ行政にとって都合の悪い情報は黒塗りにされている。特定秘密保護法案が成立したなら、ますます情報の隠蔽が加速するだろう。国民に主権はなくなる。民主主義を捨てたと同じだ。

 特定秘密保護法に疑問を持たない国民もかなりいるようだが、そういう人は「自分は関係ない」と思っていないだろうか? 独裁政治とはそんな甘いものではない。今日は日本版NSC法案(国家安全保障会議設置法案)も成立してしまった。この国は平和憲法をかなぐり捨てて戦争へとまっしぐらだ。治安維持法やナチス・ドイツを思い出せばどんなことになるか容易に想像できる。

 この世紀の悪法が成立した日は、後に歴史に刻まれる日になるだろう。日本国民が主権を捨て独裁政治を許した日として。

特定秘密保護法が濫用されまくるのは確実な理由について(志葉玲・Yahooニュース)

立法府が自滅した日。特定秘密保護法案衆議院通過。もはや民主主義の保護は議会外野党の市民の力だけ。日本が直面する80年前のドイツの悪夢。 (明日うらしま)

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コメント

「特定秘密」の”特定”としているところがいかにも欺瞞ですね。
どんどん、戦前の治安維持法、天皇の軍隊の時代に逆戻りしている感じがします。

飯嶋さん

「特定」として具体的なことは一切明らかにしないというのが怪しいですね。何が秘密なのか分からないのなら、市民は地雷を踏むのが怖くて何もかも口をつぐんでしまうでしょう。まさに平成の治安維持法だと思います。

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