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2013年10月20日 (日)

トムラウシ地区の地熱発電計画で電源開発が説明会

 国立・国定公園内での地熱発電について、国は1974年以降は景観および風地上支障がある地域での新規の調査や開発を認めていなかった。しかし、2012年3月に、条件付きで特別地域内での地熱発電を認めた。

 これを受けて、大雪山国立公園では二つの地熱発電計画が持ち上がっている。一つは層雲峡の近くの白水沢で、事業者は丸紅である。もう一つは、電源開発株式会社によるトムラウシ地区での計画だ。

 電源開発の計画は6月4日の北海道新聞で報じられ、地元合意が得られれば年内にも調査に着手したいとのことだった。地元新得町の自然関係の団体には7月4日に説明が行われたとのことだが、十勝自然保護協会に対してはなんら連絡がなかった。そこで、10月5日付で電源開発に説明を求め、18日に説明会が開催されることになったのである。

 電源開発でトムラウシの地熱発電計画について説明できる社員は本社にしかいないようで、本社から6名もの方が説明にやってきた。説明の概要は以下。

・電源開発は1975年から宮城県大崎市で鬼首地熱発電所を運転している。また、秋田県湯沢市において他企業とともに4万2千キロワット級の山葵沢地熱発電所の計画を進めており、現在、環境アセスの段階。
・再生エネルギーの湖底価格買取制度により経済性の問題をクリア。国立・国定公園内での規制緩和で開発の可能性が出てきた。
・地熱発電は、地下の貯留層から熱水と蒸気を噴出させ、蒸気を利用してタービンを回して発電する。熱水は還元井によって地下に戻す。
・トムラウシ地区を選定した理由は、過去の調査(NEDO)で有望視されていることによる。
・調査地域は大雪山国立公園の第2種および第3種特別地域内で、初期調査は主に林道沿いで行う。
・初期調査の内容は、地表調査(重力探査、電磁法探査、および弾性波探査)、小口径調査井掘削、温泉モニタリング。重力探査は約70地点、電磁波探査は約80地点、弾性波探査は林道沿いで予定。小口径調査井は3本で、一地点あたりの広さは1,000~1,500平米程度。径は深いところで10センチ。
・今後の予定は初期調査(ステージ1 約3年)、資源量調査(ステージ2 約4年)、環境影響調査(ステージ3 約3~4年)、建設・運転(ステージ4 約4年)。

 説明会のはじめに、新得町の自然関係の団体には7月に説明をしておきながら、十勝自然保護協会には何らコンタクトがなかったことについて質した。これに対する電源開発の回答は、まず町内の関係者に理解を深めてもらって合意形成をする中で、町外の団体にも参加してもらうというように段階を経て進めていきたいと考えており、十勝自然保護協会ともちょうどコンタクトを取りたいと思っていたとのことだった。本当だろうか?

 国は「国立・国定公園内における地熱発電の取り扱いについて」で、国立・国定公園の特別保護地区および第1種特別地域では地熱発電は認めないが、それ以外の地域では地熱開発の行為が小規模で風致景観等への影響が小さいもののみ認めるとしている。また、「国立・国定公園における地熱開発の実施については、地域の持続的は発展にとっても大きな関わりのある行為と考えられることから、温泉関係者や自然保護団体をはじめとする地域の関係者による合意形成が図られ、かつ当該合意に基づく地熱開発計画が策定されることを前提とする」とされている。

 原則として第2種および3種特別地域においても地熱発電は認めないが、小規模で自然環境への影響が小さいものは認めることができるということだ。ただし、その場合も自然保護団体の合意を得ることが必須と理解できる。

 十勝自然保護協会はサホロスキー場の問題で新得町とも話し合いをしているので、新得町はもちろん十勝自然保護協会について知っている。また、電源開発は上士幌町に電力所をもっており、十勝自然保護協会は糠平ダムの放流問題でここに質問書を送付している。したがって十勝自然保護協会の存在や連作先を知らないということにはならない。実際、新得町の自然関係の団体に説明した際に、十勝自然保護協会にも説明したいと言っていたそうだ。新得町で7月と9月に説明会を開催する一方、十勝地方でもっとも精力的に活動している自然保護団体である十勝自然保護協会への説明を放置していたのは恣意的としか言いようがない。

 地熱発電に関してはさまざまなデメリットがあるのだが、電源開発はデメリットについて一切説明しなかった。たとえば多くの施設・工作物が必要で敷地面積が広大になることや、坑井には寿命があり次々と新しい坑井を掘っていかねばならないという重大な問題がある。しかし、施設についての具体的説明はしない。

 そこで敷地面積について質問したのだが、地形などによって異なるので一概に言えないとしか答えない。具体的な質問になると明らかに及び腰になっているのが感じられた。鬼首地熱発電所の坑井の数と廃止した坑井の数を聞いたのだが、これまでに生産井は13本掘っておりそのうち4本を廃止しているそうだ。還元井は12本掘り、5本が廃止になっているという。

 地熱発電というのはさまざまな施設を造るだけでもかなりの森林伐採を必要とする。さらに新しく坑井を掘るたびに自然破壊の面積が増大していくのだ。発電所からの送電線部分も伐採が必要になる。きわめて大きな自然破壊を伴うことは必須だ。ほかにもさまざまなデメリットがある。

 今後、こうした問題点に対して具体的に説明を求めていくことになるだろう。

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コメント

たかが電気のために、海を温め、大気を汚染し、放射能をばら撒き、森林を破壊する。電気を使わなくても、幸せに、豊かになれる道を見つけるのが、真の賢さではないでしょうか。

サムライ菊の助さん

江戸時代に戻るわけにもいきませんので次第に自然エネルギーに変換していくしかないとは思いますが、自然エネルギーなら何でもいいということにはなりません。まずはできる限り電気の無駄遣いをしない生活を目指すべきでしょう。

また、できる限り自然への負荷の小さいエネルギーの利用を考えるべきだと思います。水力であれば小水力や流水を使った発電など。太陽光であれば太陽光パネルだけではなく、熱エネルギーを給湯や暖房に直接使ったほうが効率がよいと思います。

自然エネルギーで「お金儲け」をしようと企むので、小水力などのお金儲けに向かない小規模発電は推進されないのでしょうね。困ったものです。

謹啓、最早、ローソクの照明や電気冷蔵庫の無い生活は有り得ません。存続可能で環境破壊、自然破壊が少なく経済性にも優れたエコ発電を国家の総力、叡智を集め実行すべきです。茨城の落選中の前代議士の応援に来訪した玉木雄一郎代議士(大平正芳元総理の縁戚であるのを自慢して居りました)は「素人の皆さんには専門的な領域には疎いので我々に任せて下さい」と上から目線で見下し失望させられました。敬具

関さん

これからは原発や火発から自然エネルギーへと転換いくしかないと思いますが、自然エネルギーならなんでもいいということにはなりません。地熱発電の場合、国立公園の特別地域という保護を優先しなければならないところを大規模に破壊してしまうことに、大きな疑念を抱かざるを得ません。

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