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2013年10月11日 (金)

バンダジェフスキー博士講演会DVDの感想

 知人がバンダジェフスキー博士東京講演のDVDを貸してくれた。視聴していくつか気になったことがあったので、感想を書きとめておきたい。

 バンダジェフスキー氏の講演が始まる前に、山本太郎氏が登壇してメッセージを発言している。これについては主催者の代表である木下黄太氏のブログに書かれていたので、それを読んでいる人たちには山本太郎氏が出てきた経緯や理由が分かるのだが、いきなりこのDVDを見た人はとまどってしまうのではなかろうか。山本太郎氏の登壇部分もDVDに収録するのなら、彼が講演会に呼ばれた経緯について、もう少し説明が必要だと思った。

 バンダジェフスキー氏の講演内容については、ベラルーシの汚染や死亡率・出生率の推移、セシウム137が体内に取り込まれたときの影響などについてグラフなどを用いて分かりやすく解説するものだった。彼の研究については多くの方が紹介しているし、ここであまり具体的に書いたなら著作権侵害や営業妨害にもなりかねないので、内容を紹介することは控えたい。

 プロが撮影しただけのことはあって、映像はきれいだし、適宜ズームアップされるなどして全体的に見やすく構成されている。通訳の音声もきれいに入っている。ただし、しばしばカメラが観客席に向けられるのが気になった。顔が分からない程度に全体をさっと映すくらいならいいだろうが、前の席の人の顔がはっきり分かるような映像が何回も流れた。テレビなどの中継映像なら観客を映すのも分かるが、何回も視聴できるDVDで顔のわかる観客席の映像はカットすべきだと感じた。

 このDVDでもっとも不可解に思ったのは最後の質疑応答の部分だ。講演会での質問は講演終了後に会場から挙手によって発言してもらうのが普通だ。講演内容を聞いたうえで疑問に思うことやもっと詳しく説明してもらいたいところなど、あるいは講演内容に関連したことを聞くのが質疑応答である。だから質問者が直接講演者とやりとりするというのが普通のスタイルだ。質問者が講演者の回答に対してさらに質問することもある。会場が大きいと質問者のところにマイクを持って走る人が必要だが、質疑応答の時間を設ける以上、それは仕方ない。

 ところがこの講演会ではそのようなことをせず、いきなり司会者である木下氏が紙に書かれた質問事項を読みあげるという形をとっている。しかも、これらの質問をどうやって集めたのかの説明すらない。受付の際に質問を紙に書いて出してもらったのだろうか? それとも事前に何らかの形で募集したのだろうか? せっかくバンダジェフスキー氏がいるのに、なぜ質問者と直接やりとりをするよう設定しないのか疑問に思えてならない。なんとも不可解な質疑応答だった。DVDにするにあたって、質疑応答まで収録する必要があったのかという気もする。

 バンダジェフスキー氏は、日本では自分の本が2冊出版されていることについて言及していた。2冊目の本は共著で最近出版されたもので、インターネットで調べてほしいとのことだった。インターネットで調べてみると、以下の2冊のことだと分かる。

放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響:チェルノブイリ・原発事故被曝の病理データ(久保田護訳、合同出版) 

放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響:チェルノブイリ原発事故 その人口「損失」の現実(久保田護訳、合同出版) 

 2冊とも久保田護氏の翻訳による本だ。バンダジェフスキー氏が翻訳者や出版社と合意のうえでこれらの本が出されていることは、氏の発言からも間違いないだろう。ところが、バンダジェフスキー氏を日本に招聘して講演会の司会をしている木下氏自信が、バンダジェフスキー氏の翻訳本について出版社に言いがかりとしか思えない再版中止要請をしているのである(バンダジェフスキー翻訳本の再版中止要請への私見参照)。バンダジェフスキー氏は恐らくそのことを知らないのだろうが、何とも皮肉な光景であった。

 なお、DVDには「2013/07/20バンダジェフスキー博士東京講演with木下黄太at新宿文化センター」とタイトルが書かれている。「with木下黄太」となっているので、私はてっきり木下黄太氏のトーク、あるいはバンダジェフスキー氏と木下氏の対談などもあるのだろうと思った。

 ところが、実際に視聴してみると木下氏は単なる司会者の役回りである。この講演会の主催は木下氏が代表を務めている「バンダジェフスキー講演プロジェクト」なのだから、主催者が司会をするのは当然のことだ。バンダジェフスキー氏の講演を録画したDVDのタイトルに、わざわざ司会者の名前を入れることに違和感を覚えた。

 このDVDの販売価格は送料別で2000円である。台湾でプレスしているのだが、台湾での制作費は「1000枚で5万円~、2000枚で9万円~」が相場らしい。

 撮影はプロが行っているとしても、字幕も入れておらず、編集に手をかけているとは思えない。千数百枚は売れているようだから、かなりの利益が出ているだろう。もちろん非営利団体が営利事業を行うこと自体は問題ないのだが、利益を団体構成員に分配できない以上、もっと価格を安くしてもよかったのではなかろうか。また、それなりの利益が出る以上、せめて「売上金は放射能防御の活動のために使われます」などとどこかに書いておくのが望ましいだろう。

 なお、上記の感想や意見は主催者やDVDに文句をつけるのが目的ではない。非営利の市民団体がDVDの制作・販売をする場合、こういう点に注意をすればより良いものになるだろうという視点からの感想である。

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