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2013年9月10日 (火)

Nスペ「震災ビッグデータFile.2」の裏舞台

 9月8日にNHKスペシャルで「震災ビッグデータFile.2復興の壁 未来の鍵」が放送された。内容は、東日本大震災のビッグデータを分析することで、復興の遅れについて探るというもの。前半は、被災地の水産業者が取引している企業のつながりを調べることで、被災地の業者の復興の遅れについて分析。後半は、ツイッターで交わされた単語を分析し、風評被害が復興の足かせになっているとの指摘をしていた。

 後半のツイッターに関しては、「福島」と「桃」という単語が出てくるツイートについて分析し、ツイート内容から否定派と肯定派に分け、否定派だったあるオピニオンリーダーが福島の桃を食べてから肯定派になった、という指摘がなされていた。

 そしてそのオピニオンリーダーが訪れたという農家の女性がインタビューに応じていた。この農家ではがんがん除染をし、検出限界値が2、3ベクレルの測定器でNDになったそうだ。

 まず、否定派が肯定派に移行したという部分で???となった。そもそも否定派の方がなぜ福島の桃を食べることになったのか? 本当に肯定派に鞍替えしたのか? だとしたらその理由は何なのか? 福島の桃の汚染を気にするのは風評被害なのか?

 その後、このツイッターの分析に関するツイートをtogetterでまとめている方がおり、それを読んで状況が見えてきた。

NHKスペシャル「震災ビッグデータ File.2復興の壁 未来への鍵」 

 番組でツイートを紹介されたオピニオンリーダーの方が、自らこの件についてツイートしていたのだ。黒猫さんという方らしい。

 黒猫さんのツイートをいくつか紹介しよう。

https://twitter.com/Tomynyo/status/376697434740518913
北條農園さんには去年の10月にも伺っています。伺う前に果物を測定し、不検出だったことから実際に話を聞きに行っています。今年突然という話ではありません。

https://twitter.com/Tomynyo/status/376698512127164416
北條農園さんに桃の測定データが映っていましたが、同時期に測定した流通品の福島県産の桃はCs合計5.5、4.8Bq/kg、群馬県沼田産は1.6Bq/kg出ています。 福島の桃がすべて北條農園さんのような結果ではないし、食べる食べないは自己判断です。

https://twitter.com/Tomynyo/status/376699196985704448
また北條農園さんに今年も伺ったのは放射能だけでなく農薬のことにも色々気を配られているからです。 リスクは放射能だけではないし、総合的に判断する必要があると思います

https://twitter.com/Tomynyo/status/376714937675939840
(私は基本的に測定してない東北、関東の物は食べませんよ 念のため)

 これらのツイートから分かるように、黒猫さんは農作物の放射能汚染に関心を持っている方で、番組に出てきた農園の桃を食べに行ったことで肯定派になったわけではない。この農園には以前にも行っているし、放射能だけではなく農薬にも気を使っているために訪問したのだ。測定していない東北や関東の物は食べないとも言っている。

 こうしたことから、NHKはツイートした本人に取材もせず、否定派の方が肯定派になったかのようにストーリーをつくったのだ。そして、たった一件の農家を取り上げ、あたかも福島の桃は問題なく、汚染を懸念するのは風評被害であるかのように誘導した。言うまでもないが、福島でつくっている桃のすべてがNDという訳ではない。黒猫さんのツイートにあるように、汚染されているものも流通している。

 前半の水産加工業者の件に関しても、復興が進まないのは単に震災で大きな被害を受けたからとか、取引先のネットワークの問題だけだとは言い切れないだろう。東北の海、水産物が汚染されているからこそ、水産業の復興が進まないという側面があるはずだが、それに関しては何も言わなかった。

 NHKがいかに偏向放送をし、被災地の安全をアピールしようとしているかがよく分かる番組だった。

 ところで、私は農家が除染して汚染の少ない農産物を出荷できればそれで良い、とは思っていない。もちろん作物への汚染を低減させるための努力は評価されることだし、そのことを否定するつもりはない。しかし、除染してそこに住み続けることが本当に問題ないのか?という思いが常にある。

 日本は山国だ。田畑を除染しても周囲の山からまた汚染が広がってくる。生活空間には除染していないところもあるだろう。また、水の汚染は大丈夫なのだろうか? 農地を除染することで作物の汚染を低減することができても、汚染地に住んでいる以上、日常的に被ばくしてしまうことは避けられない。頑張って農業を続けても、将来、低線量内部被曝による健康被害が生じることになりかねない。

 NHKの番組は、あたかも除染さえすれば住むこともできるし農業も可能だと言っているかのように感じられたが、今も多くの人が被ばくを恐れて避難しているし、事故後3年目にして多数の子ども達が甲状腺癌になっている現実を忘れてはならない。

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