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2013年9月

2013年9月29日 (日)

大雪山の冴えない紅葉

 大雪山では18日に雪が降り、旭岳や黒岳などが雪化粧した。9月も中旬を過ぎると、山は紅葉の季節だ。ハイマツの緑がナナカマドの赤やウラシマツヅジの深紅に彩られる。それに白い雪と青空が重なると、紅葉がひときわ鮮やかになる。

 そんな景色を期待していたわけではないが、たまたま初冠雪の翌日の19日に黒岳に登った。天気はいいし、秋の空気は澄んでいて気温は寒いくらいだ。ロープーウェイ、リフトと乗り継いで山頂に向かったが、山の斜面は「どうしたのだろう?」と思うほど冴えない色だ。

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 ナナカマドの赤が物足りない色をしている。よくよく見ると、葉がほとんどついていない木が多く、赤く見える部分の大半は実の色だった。葉はすでに落ちてしまったのだろうか。

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 紅葉の時期の山頂からの光景は、本来ならそれは色鮮やかなのだが、白い雪と青空が重なっても冴えない色合いだった。今年の紅葉はハズレである。

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 紅葉の色鮮やかさは年によってずいぶん違う。原因は冷え込み具合にあるのだろう。秋になってぐっと冷え込む日が続くようになると、紅葉が鮮やかになるのだ。ところが、近年は美しい紅葉が見られる年がめっきり減ってしまったように思えてならない。たしか去年もそれほどきれいではなかった。

 考えてみれば、最近は9月になっても冷え込むことが少なくなった。以前なら8月下旬から長袖を着こみ、9月にもなれば朝晩はストーブを焚くほど冷え込んだ。ところが、最近は9月でも半袖を着ていられる日が確実に増えた。ピリッとした空気の冷え込みを感じる日もめっきり少なくなった。あきらかに温暖化している。

 これでは紅葉がきれいになるわけがない。山がきれいに色づかないのは、地球温暖化の影響もあるのではなかろうか。

 つい先日、IPCCの第5次報告書が公表された。

温暖化、原因は「人」IPCC、6年ぶり報告書(朝日新聞)

IPCC:報告書 猛暑・台風、脅威に 対策遅れ、科学界が警鐘(毎日新聞)

 今回の報告書では、温暖化の原因が人為起源である可能性が95%以上としている。確かに日本では毎年のように猛暑となり熱中症で亡くなる方も増える一方だ。集中豪雨なども頻発した。今まであまり聞かなかった竜巻も、今年はずいぶん起きた。明らかに地球がおかしくなってきている。

 世界最悪の原発事故を起こした日本は原発を運転する資格などないし、そもそも原発は「海あたため装置」でもある。かといっていつまでも火力発電に頼っていることにもならない。原発はもとより、火発にも頼らないで済むよう対策を講じていかなければならないのだが、温暖化対策が立ち遅れてしまっていることが何とも気がかりだ。

2013年9月27日 (金)

世界最悪の原発事故と明らかにされた内部被曝

 ここ一週間ほど風邪で体調を崩していたのだが、その間に気になるニュースが二つあった。ひとつは、EUの機関が福一からの放射性セシウムの大気中放出量はチェルノブイリの3倍の21京であると算出していたということ。

福島からの放射性セシウムの大気放出量はチェルノブイリの3倍とEU機関計算(エビデンスに基づく考察)

 たしか日本では福一からの放射性セシウムの放出量はチェルノブイリよりはるかに少ないと報じられていた。だから大きな健康被害は起きないだろうという人もいた。しかし、チェルノブイリの3倍という数値のほうが正しいとしたら、あまりの違いに愕然とするし、事故の評価そのものに大きな修正を迫られることになるだろう。

 日本の場合、土壌汚染の面積はチェルノブイリより狭いのだが、島国である日本では放射能プルームの大半が太平洋に流れたために、チェルノブイリより被害が小さく汚染も少なかったように見えているだけなのかもしれない。もちろん、EU機関の計算が正しいかどうかは分からない。また、仮に真実に近かったとしても、放射能の大半が海に流れたのであれば健康被害がチェルノブイリの3倍になるということにもならないだろう。しかし、日本では放出量がかなり過小に推定されている可能性は否めない。

 日本の場合、さらに海に大量の放射性物質が垂れ流され続けているのであり、大気だけでなく海への放出量も含めたなら、とんでもない数値になるだろう。事故レベルから見てもチェルノブイリをはるかに超えた世界最悪の事故だし、収束の目途が立たず2年半以上が経過した今でも危険な状態が続いている点でも、世界最悪だ。

 もう一つのニュースは、週刊朝日に掲載された関東地方の子ども達の尿検査のことである。茨城県の常総生活協同組合が、松戸、柏、つくば、取手など千葉、茨城の15市町の子ども達を対象に行った尿検査から、次々とセシウムが検出されているという。

セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度 

 子ども達の7割から1ベクレル以下のセシウムが検出されており、最高値は1リットル当たり1.683ベクレルとのこと。また、子どもだけではなく大人からもセシウムが検出されている。この検査は2012年11月から始められたが、検査対象の146人が検査を終える来年明けごろにはその数がさらに増えると予測されるという。

 今年の4月に早野龍五氏らによる「福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果-福島第一原発事故7ー20ヶ月後の成人および子供の放射性セシウムの体内量-」という論文が発表され、ホールボディカウンターによる検査で、福島の子どもたちから予測されたほどの内部被曝が認められなかったという報道がなされたことは多くの人が記憶しているだろう。

 しかし、早野氏らの調査とは裏腹に、関東地方の子ども達にまでセシウムの内部被曝が広がっているのは確実だ。週刊朝日に掲載された記事では矢ヶ崎氏の以下の指摘がある。

 矢ケ崎氏は、尿中に含まれるセシウム137がガンマ線だけ勘定して1ベクレルだとすれば、ベータ線も考慮すると体内に大人でおよそ240ベクレルのセシウムが存在し、それに加えてストロンチウム90もセシウムの半分程度あるとみる。

 体に入ったセシウムは大人約80日、子ども約40日の半減期で排出されるが、食物摂取で体内被曝し、放射線を発する状態が続くことが危険だと言う。

 今回の検査では1ベクレル以下が圧倒的のようだが、だからといって決して安心できる数値ではない。毎日食べなければならない食品にある程度セシウムが含まれている以上、内部被曝をし続けることになってしまうからだ。

 昨年、東北で水揚げされたサンマやサバからもセシウムが検出されているそうだが、あれだけ汚染水が出続けているのだから当然だろう。魚の場合はセシウムだけではなくトリチウムやストロンチウムの汚染もとても気になる。先日、福島で漁が再開されるとのニュースが流れたが、いったいどういう検査をして「福島の魚の安全が確認された」ということになったのだろう?

 とにかく、政府やマスコミの言っていることをそのまま信じていたなら、私たちは健康を守ることはできそうにない。産地を確かめて食品を買っても、産地偽装は当たり前のようにある。産地を気にすることなくいろいろな食品を買うことができた数年前が何となつかしいことか。若い人たちは、これからずっと放射能を気にし、健康被害を気にして生きていかねばならないのだ。こんな国にしてしまったことの大人たちの責任を考えずにいられない。

2013年9月24日 (火)

出版契約保全システムの本当の目的

 文芸社には著作者保護制度というものがある。文芸社の説明によると、支払い額が確定した印税と著者から入金された出版費用を信託財産化することで、著作者の金銭的な権利を安全に保護することが目的なのだという。

 こう説明されれば、とにかく著者にとって有利なシステムだと感じるのが普通だろう。しかし、何のために印税や出版費用を保護しなければならないのだろうか? 端的に言ってしまえば、万一倒産した場合でも支払った費用や支払われるべき印税は保全されますよ、ということなのだ。説明文には「倒産」などという言葉はもちろんまったく書かれていないが、倒産を視野に入れたシステムであるということに他ならない。

 先日、消費者庁から3カ月の業務停止命令を出された日本文学館にも、「出版契約保全システム」という同様の制度があることが「クンちゃん」によって報じられている。

日本文学館の「出版契約保全システム」 

 確かに、出版契約をして本が出版される前に倒産してしまったなら、本も出なければお金も戻らないというあまりに悲惨な被害者が出てしまう。しかし、冷静に考えてみるなら、こんな風に倒産を前提としたシステムが必要な会社など一体どれほどあるだろうか? 何故こんなシステムが必要なのかと不思議に思わないだろうか?

 文芸社や日本文学館がこのようなシステムを取り入れたのには、当然ワケがある。つまり、共同出版の御三家と言われた新風舎・文芸社・碧天舎のうち、はじめに倒産した碧天舎はこうした被害者を出して被害者組織までできた。文芸社のライバルである新風舎の倒産の際にも同じような被害者を出し、大きな批判を浴びた。

 同業者の文芸社としては、著作者保護を打ち立てることで「安心」をアピールしたということだろう。しかし、碧天舎にしても新風舎にしても、そもそも悪質な商法を新聞や雑誌などで大きく宣伝して顧客を集めるなど、無謀な事業の拡大などの行為が倒産を招いたのである。同じ悪質商法を大々的に展開している文芸社や日本文学館が、悪質商法そのものを改善せず、倒産対策だけを行うなどというのはもってのほかではなかろうか!! 著作者保護制度・出版契約保全システムなどというのは、「安心」を売りにした悪質商法への勧誘作戦なのである。

 本当に良心的な自費出版社であれば、契約の減少などで経営危機に陥った場合、事業の縮小や合理化などの対策をとり、どうしても見通しが立たなければ適切な時期に事業を畳むなどして著作者に迷惑をかけないようにするのではなかろうか。

 著者からの費用で経営している会社が、新聞や雑誌広告、出版説明会などに投資して事業の拡大を図ることの危うさこそ著者は見抜かなければならない。こういうやり方は自転車操業になりかねないのだ。「著作者保護制度」「出版契約保全システム」は、ないよりはあったほうがいいシステムではあるが、悪質商法への勧誘作戦の一環であることを忘れてはならないだろう。

 また、この制度がほんとうにきちんと運用されているのかどうかも疑問が残る。名前ばかりで中身がないのであれば、まさに詐欺同然である。日本文学館の「出版契約保全システム」がちゃんと機能するのかどうか分からないが、万一の場合に最悪の被害者が出ないことを願いたい。

2013年9月21日 (土)

消費者庁が日本文学館に業務停止3か月の処分

 私事でバタバタしていてパソコンもろくに立ちあげていなかったら、「クンちゃん」ブログで重大ニュースが報じられていた。

文芸社=日本文学館に業務停止命令(3か月、消費者庁) 

 消費者庁によるプレスリリースは以下。

特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する業務停止命令(3か月)について 

 このプレスリリースによると、4名の消費者への違反事例が紹介されている。つまり、複数の被害者から情報が寄せられたのだろう。違反行為は電話勧誘における、再勧誘(電話勧誘において契約をしないと告げているにも関わらず勧誘を続けた)、不実告知(役務の種類に関すること及び、判断に影響を及ぼすこととなる重要なものに関して、事実と異なることを告げていた)、適合性原則違反(財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行った)。

 ここに書かれている事例は氷山の一角であろうが、これだけの違法行為が確認されたのであれば消費者庁も動かないわけにはいかなくなったのだろう。

 日本文学館に消費者庁が立ち入り調査に入った件は、5月28日に記事にしていた。

日本文学館に消費者庁が立ち入り調査か?(追記あり) 

 この時点では特定商取引法違反の可能性が高いとしか分からなかったが、この強制調査によって今回の処分に至ったのだろう。

 主に著者から支払ってもらう費用で経営している自費出版社にとって、業務停止3か月、すなわち3か月間はまったく収入が得られないのは、それだけでも極めて厳しい状況になるだろう。もちろん、ニュースになってしまった以上、このような会社へ原稿を送る著者も激減するに違いない。

 そればかりではない。日本文学館はこれ以外にも「架空コンテスト」(クンちゃん曰く「嘘っぱちコンテスト」)の疑惑がある。消費者庁がこの件まで処分対象にしたなら、さらなる業務停止が追加される可能性がある。となると、クンちゃんも指摘している通り、日本文学館はもはや倒産の危機に直面しているといっても過言ではないかもしれない。

 架空コンテスト疑惑については、クンちゃんブログの以下のカテゴリーの記事に詳細が書かれている。

日本文学館のコンテスト商法 

 今回の処分に関しては日本文学館という会社の問題ということになっているが、クンちゃんが指摘しているように日本文学館=文芸社というのが実態のようだ。ということは、これは文芸社の問題がようやく表に出たとも言えるのではなかろうか。

 すでに倒産した新風舎や碧天舎はもとより、文芸社や日本文学館はときに違法行為すれすれと思える危うい自費出版(共同出版)商法を展開し、多くの人から批判されてきた。幻冬舎ルネッサンスなども同じ穴の狢であるし、類似した商法を行っている会社は他にもある。こうした商法の問題点はもう10年以上前から指摘されていたし、私も以前から批判し、文芸社に関しては刑事告発までした。

 自費出版社の倒産は、著者、社員、関連業界に被害者を生じさせるだけである。今回の処分を機に、批判を尻目に悪質な商法を続けてきた会社は襟を正して欲しいと願うばかりである。

2013年9月18日 (水)

ゴミを背負うクサカゲロウの幼虫

 植物の上で小さなゴミの塊が動くのを見て「あれっ?何だろう」と思ったことのある人は少なくないのではなかろうか。

 そのゴミに目を凝らすと、虫がゴミを背負っているのが分かる。私は、この「動くゴミ」を学生の頃からしばしば目にしてきた。そこでチョウマニアの一人に「ゴミを背負っている虫がいるけど、あれは何?」と聞いたことがあるが、「知らん・・・」という返事だった。

 その後も、何度もこの虫にお目にかかったが、結局その虫が何か分からないままだった。しかし、先日、散歩に出て2回も続けてこの虫を見た。

 下の写真は、ゴミの下から腹部の先端が覗いている。

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 こちらは横から見たもの。左が頭で右が腹部。

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 今はインターネットという便利なものがある。そこで、ようやく思い立って「ゴミ 背負う 虫」と検索したら、すぐに出てきた。やはり、不思議に思ってこのような検索をする人がそれなりにいるようだ。

 その正体は、クサカゲロウの幼虫だった。クサカゲロウといえば、薄緑の弱弱しい虫で、子どもの頃よく捕まえたものだ。クサカゲロウは細い糸の先に白い小さな卵を産みつけるのだが、これが葉の裏などにいくつも並んでついている。「優曇華の花」と言われるこの卵は家の中の電燈の笠などにも産みつけられることがある。なんでわざわざ糸の先に卵を付けるのだろうと、子どもの頃から不思議に思っていたものだ。

 これで、クサカゲロウの卵(優曇華の花)→幼虫(ゴミを背負った虫)→成虫(薄緑の弱弱しい虫)が繋がり、積年の疑問が解けた。とはいっても、幼虫と成虫の間に蛹があり、これは見たことがない。

 クサカゲロウといってもいくつも種類があり、すべてのクサカゲロウの幼虫がゴミを背負うわけではないそうだ。クサカゲロウの幼虫はアブラムシやカイガラムシを食べるのだが、一部の種の幼虫はその食べカスを背中にくっつけるという。だから、ゴミが歩いているかのように見える。

 何十年ものあいだ分からないままになっていたことが、1分もかからずに調べられるインターネットは確かに便利だし驚異的だ。しかし、こうも簡単に分かってしまうと、あまりにあっけない気もする。人は疑問に思うことを頭の片隅にしまっておくものだ。そして、ちょっとしたことでその謎が解けたときの快感は格別なものがある。たとえ自分で観察して知ったということではなく、たまたま読んだ本に書いてあったとか、人から教えてもらったということでもいい。今まで分からないでいたことが分かるというのは心躍る楽しさがある。

 しかし、インターネットで何でも簡単に調べることができてしまうというのはどんなものだろう。人知れず疑問を胸に秘めておいたり、何らかのきっかけに密かに謎を知る楽しみが減ってしまう気がしてならない。便利の陰で、失われてしまうものもある。

2013年9月16日 (月)

木の幹に棲むムレサラグモ

 8月下旬にムレサラグモ(Drapetisca socialis)を探しに行ったときには1頭も見つけられなかったのだが、9月11日にもう一度探しに行った。数十本のシラカンバなどの幹を見て回り、1頭だけ見つけることができた。

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 ムレサラグモの成体が現れるのは夏の終わりから秋にかけて。そして、生息している場所は木の幹である。特に、カンバ類やトドマツなど、樹皮がなめらかな樹種を好むようだ。モノトーンの斑紋は隠蔽色となっており、樹皮に紛れて目立たない。また斑紋は個体変異がある。

 ムレサラグモの学名のsocialisは、「仲間の」「社会の」という意味である。このクモを観察していれば分かるが、しばしば1本の木の幹に何頭も見られることがある。和名のムレサラグモの「ムレ」は「群」のことだ。

 クモは基本的に単独生活者だし、サラグモの仲間は大半が皿状の網を張る。ところがムレサラグモはしばしば群がっているし、皿状の網を張らない。かなり変わり者のサラグモだ。

 幹にいるムレサラグモはどう見ても徘徊性(網を張るクモを造網性、張らないクモを徘徊性という)のクモにしか見えない。しかし、よくよく見るとクモのいる場所には細かく糸が張られていて網を持っていることが分かる。下の写真ではクモの左側に網が見えるのだが、分かるだろうか?

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 それにしても、この季節にたった1頭しか見つからないというのはどうしたことなのだろう? たまたま今年は個体数が少ないだけならいいのだが、ちょっと気になってしまう。

 同じように幹を生活の場としているサラグモにキノボリキヌキリグモ(キハダキヌキリグモ)がある。キノボリキヌキリグモは長野県の高地の森林で数頭見たことがあるが、湿度の高い自然林の苔むした樹皮に生息していた。原生林の減少とともに数が減っているクモだろう。日本での記録は少なく、希少なクモだ。

 キノボリキヌキリグモの写真は以下を参照いただきたい。

キノボリキヌキリグモ(キハダキヌキリグモ) (三重クモ談話会ホームページ)

2013年9月13日 (金)

ミツバチの大量死をめぐるNHKの偏向報道

 昨日に続いてNHKの偏向報道の話題で恐縮だが、12日放送のNHKクローズアップ現代の報道について指摘しておきたい。12日のクロ現は「謎のミツバチ大量死」だった。放送内容の概略は以下。

 10年ほど前から世界中でミツバチの大量死が問題となっている。ミツバチの大量死はダニ、ウイルス、ストレス、異常気象などさまざまな要因が考えられるが、科学雑誌にネオニコチノイド系農薬が原因であるという論文が発表され、EUでは予防原則のもとにネオニコチノイド系の3種の農薬について2年間の使用禁止を決めた。ただし、農薬会社などは因果関係が不十分だと主張している。また、農薬をコーティングした種子を使っている農家は、規制はリスクが大きいと懸念している。日本では稲の害虫であるカメムシの防除などにネオニコチノイド系の農薬が使われている。長崎では養蜂業者と農家が協議して農薬を自粛する取り組みが始められており、効果があがっている。具体的には、養蜂業者が農薬の使用を自粛した農家にレンゲの種をプレゼントし、肥料として利用してもらう(レンゲの花はミツバチの吸蜜植物にもなる)というもの。

 番組で強調していたのは、ネオニコチノイド系の農薬とミツバチの大量死との因果関係が明確になっていないという点と、農薬を使わないと農業に大きな打撃があるという点だった。ただし、直接の利害関係者である農薬会社の主張を流して「証明されていない」というのでは説得力に欠ける。因果関係が証明されていないというのなら、それを示す実験結果や科学論文を提示すべきだろう。また、ネオニコチノイド系農薬が広く使われるようになってからミツバチの大量死が報告されるようになってきたのは事実だ。農薬とミツバチの大量死には何らかの関係があると考えるのが自然だろう。

 長崎の取り組みでも「効果が出ている」としていた。ならば、因果関係がある可能性が高いのではなかろうか。ところが、放送では因果関係のことを意図的に曖昧にしているように感じられた。

 また、日本の場合は米のカメムシ防除のためにネオニコチノイド系農薬が多用されている。これについては以前書いている通り、カメムシによる斑点米を少なくするためなのだが、精米することで斑点はほとんど消失するし、食べても全く問題ない。つまりカメムシの防除など必要ないのだ。

カメムシ防除の陰にあるもの 

カメムシ・スキャンダル 

 もちろんNHKはこのようなことは全く報じない。さらに問題なのは、EU各国ではすでにネオニコチノイド系農薬の使用をかなり厳しく制限しているし、アメリカでも日本より厳しい基準値になっているということだ。以下参照。

ネオニコチノイド系農薬散布によるミツバチ被害の実情(俵 養蜂場・ビーラボクリニック ライブラリー)

 日本では、ネオニコチノイド系農薬の残留基準値は、欧米に比べて驚くほど緩くなっているそうだ。しかも主食の米に、必要のないカメムシ防除を理由に大量に散布しているのである。

 このようなことを何も報じずに、因果関係が十分に証明されていないことや農業への影響ばかり強調するのは、農薬会社に配慮しているとしか思えない。農業への影響が大きいといっても農薬は生態系や人間の健康を蝕んでいくのであり、決して無視することのできない大きな問題だ。その解決なくして健全な農業などあり得ない。

 私もNHKから電話取材を受けたことがあるが、報道にあったては相当広く情報を収集している。しかし、もちろん実際に報道するのは知り得た情報のごく一部である。そして情報の取捨選択には多分にバイアスがかかっており、予定しているストーリーと異なること、業界などから圧力がかかりそうなことはまず報じない。

 たとえNHKの報道に嘘がないとしても、重要なことを隠蔽している。意図的に重要なことを隠蔽すれば、それはまさしく情報操作であり偏向報道である。NHKの偏向報道には辟易とする。

2013年9月12日 (木)

またまたNHKが偏向報道

 先日、NHKスペシャルの偏向報道について書いたが、福島第一原発の汚染水の問題を取り上げた昨日のクローズアップ現代でも「ええっ?!」と思ったことがいくつかあった。

 ひとつは、福島の漁師の方たちの話しに関連した部分。漁師の方たちは、事故後は魚の汚染を調べるためだけに魚を獲っているとのことだった。そして、これまでは基準値を超える放射性物質が検出されていたが、今はほとんど不検出になっており、漁を再開させようと思っていた矢先に地下水のバイパス計画が出された、というような話しをしていた。

 一番驚いたのは、今は不検出になっているという部分。おそらく汚染水は事故直後からずっと海に漏れていただろう。放射性物質は海の中で食物連鎖を経て濃縮されていくはずだ。汚染水ダダ漏れ状態なのに福島沖の魚が不検出になるとは思えない。

 おかしいと思ったら、「めげ猫『タマ』」さんがその嘘について詳しく検証していた。

 NHKの嘘報道-福島県沖の魚介類からは放射性物質は見つからない(めげ猫「タマ」の日記)

 タマさんはNHKの放映画面をちゃんと保存しており、画面に出てきた検査結果と同じ日のものと考えられる9月4日の厚労省の魚の検査結果を示して、基準値越えの魚が見つかっていることを指摘している。漁師さんの発言をもとに、検査結果の一部の画像だけを見せることで、NHKはあたかも福島沖の魚は問題ないという印象操作をしたのだ。

 福島県の漁協は9月7日に漁の再開の意向を決めており、10日にはいわき市漁協が操業再開を決めていたそうだ。漁師さんの発言は、恐らくこれを受けてのものだろう。

福島第1原発:汚染水問題 福島県漁連、操業再開へ「汚染水影響なし」 (毎日新聞)

 地下水をくみ上げてバイパスで海に流すという計画に漁師さんたちが懸念を示していることも報じられたが、漁師さんは地下水が汚染されていることが分かっているから反対なのだ。ところが、NHKは地下水汚染については触れていない。だから、なぜ漁師さんたちが反対するのかがまったく分からない番組になっていた。

 ところで、厚労省の検査はセシウム134とセシウム137だけだ。しかし、海に流出している汚染水にはセシウムだけではなくトリチウムやストロンチウムなどが高濃度で含まれていることが問題になっている。そのような汚染水がダダ漏れになっており、流出がいつ止まるのか分からないのに、トリチウムやストロンチウムのことには一切触れないのには呆れ果てた。  9月9日に、水産物の韓国への輸入検査過程で、放射能水産物の68%が北海道と東京で生産されたものだというニュースが流れた。

放射能水産物の68%、東京都・北海道産(中央日報)

 放射能が検出された水産物がどこの海域で獲れたものなのか分からないが、いずれにしても福島県だけが漁を自粛すれば問題ないなどということでは決してない。タマさんの記事によると「漁師達からは風評被害を懸念する声が相次ぎました」と報道していたそうだが、海の汚染は深刻であり、おそらく水産物の汚染は今後さらに問題になっていくだろう。

 NHKは農作物の汚染も水産物の汚染も基準値以下なら風評被害にしたがるようだが、100ベクレルという基準値以下なら問題ないとでも言いたいのだろうか。たとえ基準値以下であっても原発事故で汚染されてしまったのは事実だし、低線量内部被曝こそ懸念されるのだ。しかも、基準値を超えているものもある。風評被害などという言葉で汚染を誤魔化してはならない。

 タマさんの記事の最後に、これまでのNHKの嘘報道の記事が多数リンクされている。原発問題、放射能問題に関してのNHKの報道は、はじめから疑ってかかったほうが良さそうだ。

2013年9月11日 (水)

マルハナバチを襲うケブカスズメバチ

 庭のペパーミントにチョウがたくさん吸蜜にくることはこちらに書いたが、チョウ以外にもマルハナバチやアブなど、いろいろな昆虫が吸蜜にくる。中でも目につくのはエゾオオマルハナバチだ。しきりに蜜を集めている。

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 昨日はケブカスズメバチ(キイロスズメバチ)もやってきた。ケブカも蜜を吸いにきたのか?と思ったら、どうやらそうではない。しばらく飛び回ってから、いきなりマルハナバチに襲いかかった。

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 5分後にはもうこんな感じ。

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 8分後にはほとんど食べつくしてしまった。

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 いつもなら攻撃性の強いケブカスズメバチにはあまり近寄りたくはないのだが、お食事に夢中のときだけは近寄って写真が撮れる。

 今日、ペパーミントの花を見ていると、またケブカスズメバチがやってきた。花には目もくれずに、吸蜜しているチョウやマルハナバチに襲いかかっていくのだが、チョウはさっと飛んで逃げてしまう。マルハナバチへのアタックも2回見たが、成功しなかった。ケブカスズメバチの狩りも、そう簡単ではなさそうだ。

 本州に産するものはキイロスズメバチという亜種なのだが、キイロスズメはニホンミツバチの巣に近づいて働き蜂を襲うことがある。このため、ニホンミツバチは集団(蜂球)になってキイロスズメバチを取り囲み、熱で殺してしまうことが知られている。天敵に一方的にやられるのではなく、防衛行動も進化させてきたのだ。もともと日本には生息していないセイヨウミツバチは、このような防衛をできないそうだ。詳しくは以下参照。

スズメバチを熱殺するニホンミツバチ(あきた昆虫博物館)

 以下はその動画。

2013年9月10日 (火)

Nスペ「震災ビッグデータFile.2」の裏舞台

 9月8日にNHKスペシャルで「震災ビッグデータFile.2復興の壁 未来の鍵」が放送された。内容は、東日本大震災のビッグデータを分析することで、復興の遅れについて探るというもの。前半は、被災地の水産業者が取引している企業のつながりを調べることで、被災地の業者の復興の遅れについて分析。後半は、ツイッターで交わされた単語を分析し、風評被害が復興の足かせになっているとの指摘をしていた。

 後半のツイッターに関しては、「福島」と「桃」という単語が出てくるツイートについて分析し、ツイート内容から否定派と肯定派に分け、否定派だったあるオピニオンリーダーが福島の桃を食べてから肯定派になった、という指摘がなされていた。

 そしてそのオピニオンリーダーが訪れたという農家の女性がインタビューに応じていた。この農家ではがんがん除染をし、検出限界値が2、3ベクレルの測定器でNDになったそうだ。

 まず、否定派が肯定派に移行したという部分で???となった。そもそも否定派の方がなぜ福島の桃を食べることになったのか? 本当に肯定派に鞍替えしたのか? だとしたらその理由は何なのか? 福島の桃の汚染を気にするのは風評被害なのか?

 その後、このツイッターの分析に関するツイートをtogetterでまとめている方がおり、それを読んで状況が見えてきた。

NHKスペシャル「震災ビッグデータ File.2復興の壁 未来への鍵」 

 番組でツイートを紹介されたオピニオンリーダーの方が、自らこの件についてツイートしていたのだ。黒猫さんという方らしい。

 黒猫さんのツイートをいくつか紹介しよう。

https://twitter.com/Tomynyo/status/376697434740518913
北條農園さんには去年の10月にも伺っています。伺う前に果物を測定し、不検出だったことから実際に話を聞きに行っています。今年突然という話ではありません。

https://twitter.com/Tomynyo/status/376698512127164416
北條農園さんに桃の測定データが映っていましたが、同時期に測定した流通品の福島県産の桃はCs合計5.5、4.8Bq/kg、群馬県沼田産は1.6Bq/kg出ています。 福島の桃がすべて北條農園さんのような結果ではないし、食べる食べないは自己判断です。

https://twitter.com/Tomynyo/status/376699196985704448
また北條農園さんに今年も伺ったのは放射能だけでなく農薬のことにも色々気を配られているからです。 リスクは放射能だけではないし、総合的に判断する必要があると思います

https://twitter.com/Tomynyo/status/376714937675939840
(私は基本的に測定してない東北、関東の物は食べませんよ 念のため)

 これらのツイートから分かるように、黒猫さんは農作物の放射能汚染に関心を持っている方で、番組に出てきた農園の桃を食べに行ったことで肯定派になったわけではない。この農園には以前にも行っているし、放射能だけではなく農薬にも気を使っているために訪問したのだ。測定していない東北や関東の物は食べないとも言っている。

 こうしたことから、NHKはツイートした本人に取材もせず、否定派の方が肯定派になったかのようにストーリーをつくったのだ。そして、たった一件の農家を取り上げ、あたかも福島の桃は問題なく、汚染を懸念するのは風評被害であるかのように誘導した。言うまでもないが、福島でつくっている桃のすべてがNDという訳ではない。黒猫さんのツイートにあるように、汚染されているものも流通している。

 前半の水産加工業者の件に関しても、復興が進まないのは単に震災で大きな被害を受けたからとか、取引先のネットワークの問題だけだとは言い切れないだろう。東北の海、水産物が汚染されているからこそ、水産業の復興が進まないという側面があるはずだが、それに関しては何も言わなかった。

 NHKがいかに偏向放送をし、被災地の安全をアピールしようとしているかがよく分かる番組だった。

 ところで、私は農家が除染して汚染の少ない農産物を出荷できればそれで良い、とは思っていない。もちろん作物への汚染を低減させるための努力は評価されることだし、そのことを否定するつもりはない。しかし、除染してそこに住み続けることが本当に問題ないのか?という思いが常にある。

 日本は山国だ。田畑を除染しても周囲の山からまた汚染が広がってくる。生活空間には除染していないところもあるだろう。また、水の汚染は大丈夫なのだろうか? 農地を除染することで作物の汚染を低減することができても、汚染地に住んでいる以上、日常的に被ばくしてしまうことは避けられない。頑張って農業を続けても、将来、低線量内部被曝による健康被害が生じることになりかねない。

 NHKの番組は、あたかも除染さえすれば住むこともできるし農業も可能だと言っているかのように感じられたが、今も多くの人が被ばくを恐れて避難しているし、事故後3年目にして多数の子ども達が甲状腺癌になっている現実を忘れてはならない。

2013年9月 9日 (月)

ミチゲーションというまやかし

 9月6日に行われた学園通の説明会で「ミチゲーション」という言葉を持ち出した参加者がいて驚いた。

 ミチゲーションの本来の意味は「和らげること、緩和、軽減」であるが、環境対策に関して使われる場合は回避、最小化、矯正、軽減、代償のことを指す。

 大きな開発行為においては環境アセスメントが義務付けられているが、アセスメントに際しコンサルタント会社が行っているのがミチゲーションだ。

 日本の場合、環境アセスといっても「事業をしない」という選択肢はまずない。とてもおかしなことなのだが、はじめから事業を行うことが前提となっている。だから希少な動植物などが確認されたからといって事業を取りやめたりはしない。事業の中止はありえないのだから、環境対策として取り入れるのは部分変更とか、影響の低減ということになる。

 たとえば、道路の建設予定地にナキウサギの生息地があった場合を考えてみよう。まず、ナキウサギの生息地を壊してしまうのは影響が大きすぎるので、ルートを変えることで生息地破壊を避けようとする。どうしてもルート変更ができない場合は、改変面積を最小限になるように工法を検討したりする。また、繁殖期を避けて工事をするとか、できるだけ騒音や振動が小さい機械を使うなどの対策をたてる。

 しかし、そのような影響低減のための対策をしたところで、影響を完全にゼロにすることなどできないし、もしナキウサギがいなくなってしまったら、それまでだ。事業実施後にモニタリング調査を行うこともあるが、それが新たな事業で活かされたという話しも聞かない。

 植物の場合、よく行われるのが移植だ。北見道路では移植したホソバツルリンドウが消えてしまったそうだ。つまり、移植というのは失敗するというリスクをいつも伴っている。そして消失しても誰も責任をとれない。

 森林を伐採したら、別の場所に植林をするなどして新たに森林を確保するなどということもある。代替である。以前、十勝地方の林道で世界ラリー選手権が行われたことがあった。主催者はラリーで二酸化炭素を排出した代償として、植樹を行っている団体に寄付をしたそうだ。これなども一種の代替であろう。もっとも、林道を滅茶苦茶に荒らし、動物との衝突事故を起こしているのだから、そんなことをしてもラリーによる自然破壊の代替にはならない。また、植林で炭素を固定する森林を育成するのなら、しっかりと手入れをしなければならないし、100年も200年もかかる。樹を植えさえすればいいというものではない(「植樹とカーボンオフセット」参照)

 いわゆる自然再生、復元もそうで、「破壊する代わりに別のところに復元する」などというのはまやかしでしかない。たとえば湿原には湿原特有の昆虫やクモなどの無脊椎動物が多数生息しているが、湿原を壊せばそれらがまるごと失われてしまう。湿原ではないところに水を溜めて湿原を造っても、それは壊した湿原と同じものにはなり得ない。とりわけ、移動能力の低い小動物などは新たに出現した湿原に簡単に移動することはできない。環境保全で一番大切なことは、「壊さない」ことだ。

 自然を破壊から守るためには、まず破壊を回避しなければならない。少なくとも回避できる方法を探り、努力しなければならないだろう。学園通りの件で言うなら、カシワ林を伐採しないで済む方法を考えるということになる。そして、自然保護団体の提案した暫定二車線案は、伐採を回避できる案なのだ。だから、伐採面積の縮小という帯広市の見直し案より優先して、時間をかけて議論すべきだと私は思う。

 ミチゲーションは、開発行為の免罪符として使われているのである。だから、自然破壊を行う事業者やコンサルタント会社はミチゲーションが大好き。そのことに気づかずに安易にミチゲーションなどという言葉を持ち出したなら、事業者は大喜びすることにもなりかねない。少なくとも自然保護の議論の中で、自然保護団体が自ら口にすべき言葉ではない。

 以下は建設業界に関わりを持つ技術者の方のブログだが、業界関係者もそのことがよく分かっているのである。

ミチゲーションという仮面(思考の迷路)

2013年9月 8日 (日)

環境団体の理解が得られなかった「学園通」見直し案

 一昨日の6日に、帯広市は環境保護団体に対し「都市計画道路(学園通)の見直しに関する説明会」を開催した。  

 はじめにこの問題について経緯を簡単に説明しておきたい。  

 「学園通」は帯広市が4車線の都市計画道路として整備を進めているが、帯広農業高校に隣接するカシワ林の保護をめぐって地域住民や環境保護団体などの意見がまとまらず、その部分のみ未整備になっている。市は道路を若干カーブさせることでカシワ林の伐採範囲を縮小する見直し案を提案したが、それでも地権者や環境団体との折り合いがつかない状態が続いていた。十勝自然保護協会と地球環境を守る十勝連絡会は2012年6月に、伐採もせず直線を維持できる暫定二車線案(提案では「変則3車線案」としている)を帯広市に提案した。これに対し、帯広市は道路構造上は可能としながら、将来の交通量の増加と安全性を理由に採用できないとの見解を示した。帯広市は今年度に入って地権者を個別に訪問して「見直し案」の同意をとりつけた。8月9日には「見直し案」について地域住民への説明会を行った。  

 6日の説明会ははじめに市から経緯と見直し案の説明があったが、予定時間(2時間)の大半は質疑応答に充てられた。ここでは十勝自然保護協会の質問とその回答について、要点を報告しておきたい。 

1.暫定二車線案を公にして議論しないことについて
Q:十勝自然保護協会などが提案した暫定二車線案について、帯広市は詳細な図面を作成した上で、道路構造上は可能であると説明していた。しかし、この案が提案された事実や経緯は今回の配布資料に全く記載されていない。暫定二車線案という対案が提案され帯広市も検討していながら、それを広く公表せず、経緯にも記載しないのは不適切。
A:資料に記載しなかったのは紙面の都合。また、帯広市の見解(不採用)については提案団体に個別に説明している。地域説明会では説明していない。

Q:住民説明会でも暫定二車線案の説明していないのはおかしい。
A:今後やりたい。

2.過去の道路拡幅等による伐採への影響について
Q:帯広市は過去にも「影響を最小限にする」として道路の拡幅や直線化の際に伐採を行ってきた(若葉の森、稲田の森、チョマトー等)。伐採の影響について工事後に調査を行っており、その結果を知らせるという約束があった。過去の伐採の影響を明らかにするのが先決。
A:手元に資料がないので、回答できない。

Q:「影響を最小限にする」の影響とは、面積のことか? カシワ林の林縁部は外部との緩衝帯の役割があるのであり、緩衝帯が伐られる影響について事前に調べるべき。
A:影響とは面積のこと。カシワ林への影響については専門家から話しを聞いており、事後調査したい。

Q:線引きして支障木を区別しているが、樹木の根は地下に伸びて複雑に絡まっているのであり、影響があるカシワは5本などというものではない。
A:環境団体と相談しながら進めたい。

Q:林縁部を伐ることの影響について調査しているのか。
A:していない。

Q:調査していないのに審議会にかけるのはおかしい。
A:林縁部の影響について検討するかどうか、即答できない。  

3.暫定二車線案について
Q:暫定二車線案については要望書を提出し、議会にも知らせるなどして行動している。また将来は交通量が減少する可能性もある。二車線の方がメンテナンスの費用も少ない。カシワ林の伐採をせず、直線も維持できる。民有地の買収も不要。
A:二車線案をないがしろにしているわけではないが、すでに説明は終わっている。将来の交通量は7%減ると推測されているが、それを加味してもこれまでの調査で将来交通量が11,400台と推定されており、4車線が必要な道路。二車線だと補助金がでないので市の持ち出しが大きい。根本的な改修が必要。交通調査を9月下旬に行う。朝・夕の調査をしたが、一日9600台に近い交通量があると予測される

Q:9600台なら絶対に4車線にしなければならないということではないはず。将来の交通量はどうなるか分からない。右折レーンを十分とるなどすれば大きな渋滞にはならない。推計値に拘らず、暫定二車線で様子を見るべき。ここだけ例外として二車線としても問題ないのではないか。環境保全のために多少の不便を我慢することも必要。
A:安全のために4車線は必要。

 以上は十勝自然保護協会のメンバーからの質問である。他に2団体(2名)からカシワ林への影響に関すること、専門家の追加や除雪、融雪剤などについて質問があった。  

 このように、昨日の説明会においては批判的な意見しか出されず、帯広市の見直し案に理解を示す意見を述べた環境保護団体はひとつもなかった。暫定二車線案について、紙面の都合で経過報告に入れなかったという説明は言い訳でしかなく、代替案に触れたくない姿勢が浮き彫りになった。しかも、「即答できない」ことが複数あった。これで幕引きするのであれば環境保護団体の意見を無視することになる。  

 そこで私は最後に「住民説明会では一定の理解が得られたとのことですが、今日の環境団体への説明会はどう評価するのか?」と聞いたところ、都市計画課長は用意していた原稿を読み上げ「全会一致での理解は得られなかったが、見直し案で進めたい」と締めくくった。

 反対意見が出されることを予測して、あらかじめこのような原稿を用意していたのだろう。しかし、「反対意見ばかりで理解は得られず、回答を先送りした質問もあった」というのが実態だ。この実態をきちんと反映しない締めくくりの挨拶は、「環境保護団体の理解が得られなくても見直し案で進める」という宣言である。

 要するに、環境団体への説明会は「説明した」とのアリバイづくりでしかない。説明会で理解が得られなくても、出された質問に答えられなくても結論は決まっており、「はじめに見直し案ありき」だったのである。

 予想されたこととは言え、環境保護団体の意見を真剣に受け止め、環境保全のために最大限の努力をしたとは言い難い。ちなみに帯広市は「環境モデル都市」である。

2013年9月 4日 (水)

森の「足長おじさん」の秘密

 夏から秋にかけて、よく目にするようになるのがザトウムシだ。先日、ムレサラグモを探しに行ったときも、シラカンバの幹などでたくさんのザトウムシを見かけた。少なくとも4種はいた。

P10501191_2


 上の写真はPlalangium opilio か?

 

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 こちらはたぶんトゲザトウムシOligolophus aspersus

 

 

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 こちらはタマヒゲザトウムシLeiobunum globosum

 

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 これは不明なのだが、大型の種。

 ザトウムシは乾燥に弱いために、主として森林に生息している。あの異様に細くて長い脚を見ただけでゾッとする人も多いと思うが、足が長くて細いのにはもちろん理由がある。

 あの長い脚で音や匂いを感知できるそうだ。また長い脚は外敵より有利な態勢をとれるとのこと。そして、いざとなったらトカゲのように自分で脚を切り離すこともできる。以下の動画を是非ご覧いただきたい。

ザトウムシの奇抜な生態
http://www.nationalgeographic.co.jp/video/video_title.php?category=1&embedCode=QxYzExOs_8E626GJnIMOstf33x6vjXik

 

2013年9月 3日 (火)

活断層がなくても原発は危険

 原子力規制委員会の専門家会合で、大飯原発が活断層ではないという見解で一致したとのニュースが流れた。

 大飯原発「活断層ではない」規制委員会で一致(朝日新聞)

 活断層の上に原発を建てるのはもってのほかだ。福島第一原発は3.11の東北地方太平洋沖地震でかなり地盤が沈降してしまったのだが、ガンダーセン氏は以下のように述べている。

 4号機の建屋の下の、南側3分の1くらいのところに活断層がある。核燃料プールはその上にある。大震災のとき、4号機は80cmも右に傾いた。そこに東電は40本の棒を打ちこんで補強した

 しかし、60cm沈んだところや40cm沈んだところもあって、地面はあちこちが凸凹になっている。それを東電の報告書では『平均58cmの地盤沈下』と言っているが、いったい何のことやら、実態を反映していない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33518?page=4より)

 福一の地盤沈下については小野俊一医師が早くから指摘していた。

福島原発で地盤沈下(院長の独り言)

 たとえ活断層がなくても、地盤が沈降したならそこに載っている建屋の基礎コンクリートには当然大きな力がかかるだろう。不等沈下すれば、建物が傾いたり歪んだりするだろうし、配管なども耐えられるとは思えない。今回、建屋から汚染水がどんどん漏れているのも、地下のコンクリートに亀裂が入っている可能性が高い。

 また、房総半島では大地震のたびに地盤が隆起してきた。以下によると、関東地震では房総半島の南端付近で2m近く隆起し、元禄地震では最大で6mも隆起したそうだ。

海岸段丘が語る過去の巨大地震(地質ニュース605)

 「北海道電力〈泊原発〉の問題は何か」(泊原発の廃炉をめざす会編、寿郎社)には、北海道の泊原発のすぐ近くに地震性隆起を示す地形がはっきりと残っていると書かれている。

 日本の原発はみな海岸に建てられている。活断層があればもちろん原発が大地震で壊れる可能性は高い。しかし活断層がなくても、大地震で地盤が大きく沈降したり隆起すれば原発が壊れてしまう可能性は高いだろう。活断層の有無にばかりに拘るのはナンセンスではないか。

2013年9月 2日 (月)

福島第一原発の「廃炉」という嘘

 昨日(9月1日)の北海道新聞のコラム「異聞風聞」に「汚染水と『石棺』の予感」というタイトルで、小出裕章さんへのインタビューが紹介されていた。

 小出さんは廃炉の見通しについて以下のように述べている。

 廃炉はできないと思います。最終的に石棺にするしかない。多分、そうなるだろうと思います。

 溶けてどこにどうなっているのかも分からない核燃料、線量が高くて作業もできない1~3号機、原子炉やタンクからダダ漏れの汚染水・・・。簡単に取り出せない燃料プールの使用済み核燃料・・・福一は戦場そのものだし、いまだに危機的な状態が続いている。溶けた燃料を取り出す技術がない上こんな状態なのだから、石棺にするしかないと考えるのは当然だろう。ところがプールに大量の使用済み核燃料があり、その石棺すら見通しが立たない。「廃炉」などというのはすでに幻想でしかないだろう。もういい加減に「廃炉に向けた工程表」などと言うのはやめ、石棺への作業とでも言い変えるべきではないか。

 小出さんは、ダダ漏れの汚染水については「『放射能の沼』と化している」と表現しているが、まさにその通りだ。さらに、使用済み核燃料の取り出しについては以下のように述べている。

 絶対にやらなければならないのは、使用済み核燃料の取り出しです。1~4号機の燃料プールから1体たりとも取り落とすことなく、引き上げなければならない(燃料集合体は新燃料も合わせて合計約3100体。うち最も多い4号機には1533体)。これだけでも10年はかかるでしょう。大きな余震が来ないことを願います。

 「放射能の沼」と化した現場で、これから10年?もかけて3100体もの使用済み核燃料を取りださねばならない。その間にいったいどれほどの放射性物質が海へ、大気へと放出されるのだろう。しかもいつ再び強い地震に襲われるかもわからないのだ。日本はこれまで経験したことのない、とてつもなく困難な状況に直面している。

 この現実を見据えるなら、どこの電力会社とて原発の再稼働などあり得ない。ところが、今月から値上げした北電の新料金は、今年12月以降に泊原発(泊村)が順次再稼働することを前提に算出されているのだという。そして、北電の川合社長は「再値上げの可能性もある」とまるで脅しのようなことを言っている。

北海道電力:家庭向け7.73%値上げ 32年ぶり(毎日新聞)

 冗談ではない。火発の燃料代が増えたのは事実だとしても、停止している原発の維持管理費や再稼働のための安全対策費に相当のお金をつぎ込んでいるはずだ。北電は値上げ理由を「泊発電所の長期停止に伴い燃料費が大幅に増加し、財務状況が悪化したことなどから・・・」としているが、値上げの理由は燃料費だけではない。原発に多額の経費をかけているのは明らかであり、そこを隠蔽するのは騙しというものだ。北電は何にどれくらいのお金をかけているのか、具体的に説明すべきだ。

沖縄電力が暴く電気料金値上げの大嘘(読む・考える・書く)

原発新安全基準、安全対策費は従来比増の見通し=関電と北電(ロイター)

 チェルノブイリの石棺は1基だが、それも劣化が進んで巨大なカバーで覆う工事が進められている。福島では3基または4基もの石棺が並ぶことになるのだろう。そして、そこから漏れ出す放射能を封じ込めるために、このあと何百年も管理をしていかねばならないのだ。しかも海への放射性物質の垂れ流しもいつ止まるかわからない。福島の事故は世界最悪であり、気の遠くなるような作業が待ち受けている。

 電力会社こそ、この原発事故の凄まじい実態を深刻に受け止め、廃炉の決断をするべきだ。

2013年9月 1日 (日)

命をつなぐマルコブオニグモ

 先日、ムレサラグモの写真を撮りに行こうと思い立った。フイルムカメラを使っていた頃に写真を撮ったことがあるが、考えたらデジカメでは写真を撮っていなかったのだ。ムレサラグモは夏の終わりから秋にかけて成体が出現するサラグモの仲間で、カンバ類やトドマツなどの幹に多い。

 今の季節ならまず間違いなく見られるだろうと思っていたのだが、何本ものシラカンバの幹を見て回っても全然姿が見られない。いったいどうなっているのだろう??

 で、ムレサラグモの代わりに見つけたのがマルコブオニグモ(Araneus rotundicornis)。その名のとおり、腹部に丸みを帯びた二つのこぶがある。卵のうを守っているのだが、すでに子グモがふ化しているようだ。北海道のクモの多くは幼体で越冬するが、マルコブオニグモも子グモで越冬するのだろう。こうして次世代へと命が引き継がれていく。

P10501232

 マルコブオニグモは北海道では平地にも生息していてそれほど珍しい種ではないが、個体数は多くはない。本州では山地に生息し、珍しい種のようだ。

 もうずいぶん昔のことになるが、北アルプスの常念岳の山頂近くのハイマツの茂みにこのクモが何頭もいた。本州でも標高の高いところでひっそりと暮らしているのだろう。

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