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2013年8月21日 (水)

信じがたいほど深刻な福島の子どもの甲状腺検査結果

 昨日(20日)の午後、福島県の子どもを対象に実施している甲状腺検査の結果が、県民健康管理検討委員会によって発表された。ツイッターでは公表直後から情報が流れていたのだが、今日の北海道新聞を見たらこのニュースは第2社会面に小さく出ているだけ。案の定だ。マスコミはよほど被ばく関係のニュースを流したくないらしい。

 マスコミ報道では、甲状腺癌が確定したのが18人、疑いは25人で、合わせると43人の子どもが癌または癌の疑いがあるとしている。事故後2年間で疑いも含め43人という数字は、これだけでも驚くほど多いといっていいだろう。北海道新聞では、検討委の「原発事故の影響があるとは思っていない」というコメントを掲載していたが、この期に及んでまだこんなことを言っているとは救い難い。

 しかし43人という数字は甲状腺検査を受けた176,648人のうち、あくまでも二次検査を終了した者の中での数字であることに注意しなければならない。以下のサイトに受信者や終了者の数を示した表が掲載されている。

甲状腺がん悪性、悪性疑い43人~福島県民健康管理調査で(とある原発の溶融貫通)

 これによると、2011年と2012年の2年間で甲状腺検査を受診したのは176,648人。このうち二次検査の対象者は1,167人で、受診者は768人。つまりまだ66%ほどしか受診していない。

 二次検査を受診した768人のうち細胞診を実施した子どもは206人。ただし、検査の終了者は625人である。受信者と終了者の数に143人の開きがるのだが、これはおそらく細胞診が必要でありながらまだ実施していない者の数ではなかろうか。とすると143人は細胞診が終わっていないことになる。

 206人のうちの43人が「癌または癌の疑い」ということであるから、細胞診を受けた者の約20%が「癌またはその疑い」ということになる。すでに細胞診を実施した206人と未実施の143人を足すと349人。この20%は約70人になる。そして、これは176,648人のうちの66%終了時点での数値だ。

 二次検査の対象者でまだ二次検査をしていない399人に同じ割合で「癌または癌の疑い」があるとしたなら、176,648人のうちの何と106人もが「癌または癌の疑い」になるのではなかろうか。さらに、これは福島の子ども全員の検査が終わっていない段階での数字だ。つまり、福島県だけでも腰を抜かすようなとんでもない数の甲状腺癌の発症が予見されるのだ。

 現時点の「癌および癌の疑いが43人」という数字に騙されてはならない。県民健康管理検討委員会の発表の仕方はまるで数字のトリックだ。事故からたった2年で、しかも全員の検査が終わっていない中でのこの数字は、信じがたいほど深刻な状況を表していると思う。

 ところで、今回の発表資料に関して驚くべき指摘がある。

4K委員会資料のデータに、・・・・・・・・ありえへんことが!! (放射線被ばくを学習する会(仮))

 なんと前回(平成25年5月27日現在)発表時の「細胞診で悪性および悪性疑いであった28例の年齢、性分布」のグラフと、今回の「細胞診で悪性ないし悪性疑いであった44例(平成25年7月31日現在)の年齢、性分布」のグラフで整合性が全くないというのだ。

 両グラフではともに年齢を「平成23年3月11日時点」としているので、5月27日のグラフに今回のデータが追加されなければならないのだが、そうはなっていない。たとえば11歳のところを見ると、前回のグラフでは男性が3人となっているが、今回のグラフでは女性が2人なのだ。性別も人数も整合性がない。

 これが集計の際の単純ミスなのかどうか分からないが、こんなグラフを平然と出してくるところからして滅茶苦茶で信頼性に欠ける。

 前回の記事 で、福島の被ばくはチェルノブイリを超える可能性が指摘されていることを書いたが、甲状腺がんの発症率もチェルノブイリを超える可能性がある。それなのにマスコミはこのようなことについて何ら言及しない。これほど深刻な状況なのに「子どもの甲状腺がんが6月から6人増えた」と小さく伝えるだけである。

 昨日は夕方に東電がタンクからの汚染水の漏えいについての記者会見をした。そのために今日の朝刊では汚染水のことが大きく取り上げられ、甲状腺がんの報道はかき消されてしまったかのようだ。恣意的なものを感じるのは私だけだろうか。

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コメント

謹啓、東京電力の広告宣伝費、圧力に屈したマスメディアは真実を伝えずオリンピック、イチローの記録で争点回避して居ります。放射能は遺伝子に傷を付け癌化の誘因になるのは科学的に立証されているにも拘わらず気休めで騙し続けましたが明白な結果が露呈し隠し切れなくなりました。この期に及んでゴルフ三昧、フジテレビや読売新聞のトップと会食を続ける安倍総理の感覚を疑い頭の中を覗きたくなりました。敬具

関さん

検査結果が公表されるたびに、政府がいかに国民を騙そうとしていたかがはっきりしてきたと感じています。「福島の事故程度では健康に影響がない」と言っていた人たちは、いったいどのように責任をとるのでしょうか。

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