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2013年3月 3日 (日)

土木工事による防災より避難対策を重視すべき

 私はこれまで調査や旅行で道内各地にでかけているが、いつも思うのが津波や火山に対する考えが甘い人が多いのではないかということだ。

 たとえば、大津波がきたらひとたまりもない海岸に家を建てて生活している人が非常に多い。多くは漁業を生業としている人たちだ。そんなところを通るたびに、「よくこんな危険なところに住んでいるなあ・・・」と他人事ながら思ってしまう。裏手に高台や山があり容易に避難できるようなところはまだしも、背後が絶壁で簡単に避難できないようなところ、あるいは平地が広がっていて近くに高台がないところにも人々は住みついている。

 そもそも、裏手に高台があるのなら高台のほうに家を建て、海岸は番屋だけにしておけばいいのに、と思うのだが、やはり利便性を優先してしまうのだろう。それに、人というのは「自分の生きている間には大津波は来ないだろう」と高をくくってしまうのかもしれない。地震大国に住んでいる以上、大津波がくる可能性を知らないわけがない。知っていながらも利便性の方を選んでそこに住んでいるのだ。

 火山の噴火もそうだ。洞爺湖はそれなりの規模の温泉街が広がっているが、有珠山はいつ噴火してもおかしくない。有珠山の場合、噴火に備えて観測をしており、噴火の兆候が現れたらすぐに避難する体制ができてはいるが、私にしてみればなぜそんな危険なところに住みつくのかと不思議でならない。

 十勝岳の山腹にある白金温泉や十勝岳温泉も同じだ。ここでは噴火による被害を軽減させることを目的に砂防施設を整備している。たとえば、噴火に伴って発生する泥流による被害を軽減させるための砂防堰堤が美瑛川や富良野川に造られている。また、白金地区では十勝岳火山砂防情報センターという立派な施設が建設され、噴火の際の住民の避難場所にもなっている。

 しかし、泥流を流下させるための施設を造ったからといって決して安全が確保されているわけではない。大規模な泥流や火砕流が発生したなら、この程度の施設は焼け石に水だろう。住民は建造物をあきらめて避難するしかない。大規模噴火があったなら被害にあうのを承知で住んでいるということなのだろう。

 限られた住民しかいないところで、防災のための土木工事に巨額の費用をかけるべきなのだろうかと、いつも思う。

 3.11の大津波で、国は防災強化のための土木工事を加速させようとしている。堤防のかさ上げや強化、防波堤の建設などだ。しかし、なんでも土木工事で対処しようとすべきではないだろう。高台に避難できるようなところでは避難を優先すべきだし、そもそも避難するような場所がないところは、できる限り居住地にするのを避け農地などとして利用したほうがいい。少なくとも将来的にはそうしていくべきだと思う。

 3.11では函館も標高の低いところでは浸水した。釧路のようにかなりの人が住んでいて高台も近くにないところでは津波対策は必要だ。釧路市の津波のハザードマップを見たら、根室沖から十勝沖を震源とするマグニチュード8.5の地震が起き、津波の最大水位が4~13メートル(釧路港で約5メートル)、津波到達時間30~40分の場合のマップが公開されているが、もっと規模の大きな地震も想定しておく必要があるだろう。

釧路市の津波ハザードマップ 

 仮に20メートルの津波がきたら、釧路の市街地は全域が水没する。以下のサイトから浸水域の想定を見ることができる。

津波浸水マップ 

 しかし、津波を土木工事で止めようとしても限界がある。3.11の大津波で、1200億円もかけて造られた釜石の防波堤はあっけなく壊れてしまった。所詮、人が構造物で自然災害を防ごうとしても限界がある。防波堤に巨額の税金を投じるより、徒歩で避難できる範囲に点々と避難場所となる免震建造物を建てたほうがいいのではなかろうか。

 3.11以降、大地震や大津波、火山の噴火が懸念されている。地震も火山もプレートの動きと密接な関係にあるからだ。日本ではいつ大地震や大津波が起きるか分からないし、これから火山活動も活発になるだろう。箱根でも地震活動が活発化しているし、富士山も近い将来噴火する可能性が高い。しかし人々はあまりに無防備に麓に住みついてしまった。災害は忘れたころにやってくるのである。

箱根で不気味な地震が頻発 専門家は「最大の警戒が必要」 

3年で富士山は噴火する そのときに備えたほうがいい(現代ビジネス)

 大都市や近代文明は災害に弱く、火山噴火や津波などの自然災害そのものには何の手も打てない。津波被害や火山による被害が想定されるところに住んでいる人たちは、いざという時のために防災や避難について常に頭に描き準備しておいたほうがよさそうだ。

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コメント

謹啓、天災、病気、巻き込まれ事故、窃盗や詐欺、無差別テロに加えて放射能汚染と政治の失敗に起因する膨大な国家と地方の債務等々、生きていることがリスクの塊ですが生き抜かなければなりません。性善説が前提と出来なくなり政治家を見たら詐欺師と思うようになりました。敬具

防災の土木工事をすべて否定するつもりはありませんが、地震・津波対策を口実に堤防のかさ上げをしたり防波堤をどんどん造ればいいというものではありません。何につけても、根本的な対策というのがこの国では欠けているように思います。

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