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2012年11月29日 (木)

北国の非常時体制は大丈夫なのか?

 先日の暴風雪で室蘭や登別では大規模な停電が発生した。送電鉄塔が倒壊したというから、数日間の停電が生じるのは致し方ない。

 しかし、真冬の停電はなかなか大変だ。北海道の場合、大半の家庭は灯油の暖房機を使用している。灯油ストーブや灯油によるセントラルヒーティングだ。燃料が灯油なら停電になっても使えると思ったら大間違いだ。灯油ストーブといっても本州などで使うポータブルストーブとは異なり、電気で送風ファンを動かす仕様になっている。だから、停電=暖房機の停止になってしまう。

 灯油ボイラーなども電源が必要なため使えない。ポータブルの灯油ストーブがあればなんとか一時しのぎをすることができるが、なければ厚着をしたり、ガスでお湯を沸かして湯たんぽで暖をとるなどするしかない。だから、今回の停電では避難所が設置されることになった。

 わが家を建てるときも、私は停電時のことを一応頭に置いていた。高断熱・高気密住宅の場合、換気システムが必要なのだが、それも多くは電動だ。セントラルヒーティングの場合は暖房はもとより換気システムも動かない。そんなこともあって、煙突ストーブで自然換気システムの住宅にした。

 新築当時に使っていた灯油ストーブは昔ながらの中央設置タイプで、普段は電気で送風をする必要があるのだが、微小燃焼なら「自然通気」でも燃焼ができた。これなら少なくとも停電で凍えてしまうことはない。ところが、最近の壁置き型のストーブは「自然通気」ができない。ストーブを買い替えたとき、停電時には使えないということが気にかかった。真冬の停電は1、2日なら厚着で何とかなるが、何日も停電が続いたなら仕舞い込んであるポータブルの灯油ストーブを引っ張りだしてくるしかない。

 今回の停電では、ポータブルのストーブを持っている人は何とか寒さをしのげたのではないかと思うが、そのような準備をしていない人たちも多かったに違いない。燃料が灯油でありながら電気がなければ使えない暖房機というのは、停電という非常時のことをまったく考えていない。停電時は乾電池でも使えるようにするなどの工夫をなぜしないのか不思議だ。

 新聞報道によると、車庫の電動シャッターが開かずに車が出せないという事例もあったそうだ。結局、現代社会というのは「停電はしない」という考え方が基本にあり、利便性を求めてなんでも電動にしてしまったのだ。もちろんその背景には原発がある。原発を推進するためにオール電化住宅などというものが登場するようになった。オール電化住宅は、停電になったら暖房はもとより炊事もできない。

 しかし、今回のような暴風雪や大地震、台風、雷、竜巻など、自然災害による停電はいつ起きてもおかしくない。停電になっても数日くらいは何とかしのげる、という準備をしておく必要がある。もっとも、3.11の大震災を受けて、食料や水、非常用品の準備をしていた人も増えたに違いない。そういう人たちは今回の停電も難なくしのげたのではないかと思う。

 大学3年の春休みのこと、東京に住んでいた私は北海道に探鳥旅行に出かけた。ところが根室の民宿に宿泊していた時に、なんと暴風雪に遭遇して宿に閉じこめられてしまった。いわゆる春のドカ雪だ。雪の少ない根室で膝上ほどの湿雪が降り積もり、宿の前の道は2、3日除雪車も来なかった。風雪がおさまってから国道のバス停まで雪をこいで行き納沙布岬に出かけたのだが、バスの車窓からは目を疑うような光景がつぎつぎととび込んできた。湿雪の重みで電線があちこちで垂れさがり、電柱が傾いたり折れたりしているのだ。この時、はじめて湿雪の恐ろしさを知った。

 それでも泊まっていた宿は大きな混乱もなく、ランタンの明かりで食事を摂った。当時はまだ薪ストーブや石炭ストーブを使っている人もそれなりにいただろうし、灯油ストーブも自然通気で使えるタイプが大半だったのではなかろうか。それに、以前は今よりも停電への備えができていたのではないかと思う。あれから35年以上が経った今、人々はすっかり電気に依存した生活をしている。だから真冬に一日停電したら大騒ぎになる。携帯ラジオを持っていればラジオのニュースを聞くことができるが、ラジオを持っていない人も増えた。携帯電話が不通になったら連絡もとれない。電気が止まったら、避難所に頼るしかない人も出てくる。

 しかし、いつまた大地震や大津波に襲われるか分からない。北海道では暴風雪もあり、雪で身動きがとれなくなることもありうる。避難所にも行けないことになりかねない。「備えあれば憂いなし」というが、どこに住んでいても非常時への備えはしておくべきだとつくづく思う。そして、何でも電気に頼る生活を見直す必要もあるだろう。

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