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2012年11月23日 (金)

ペクチンやサプリメントが放射能対策にならないというのは本当か

 福島の原発事故以来、被ばくの危険性を訴え続けている木下黄太氏は、ユーリー・バンダジェフスキー博士やヘレン・カルディコット博士を日本に招いて講演会や記者会見を開いてきた。私は両者の講演は聞いていないが、木下氏のブログでバンダジェフスキー氏がペクチン等の吸着剤について発言し、ペクチン製剤であるビタペクトを製造しているベルラド研究所に対して批判的であることを知ってとても不可解に思っていた。

 バンダジェフスキー博士の「ベラルド」への見解。また、放射性物質に関するペクチンの限界について。 

 また木下氏はカルディコット博士の発言を受け、先日ツイッターで以下のツイートをしており、多くの人がリツイートしている。

http://twitter.com/KinositaKouta/status/270404116923174912
ペクチンなどは効きませんと明言。カルディコット博士。

 木下氏はバンダジェフスキー博士とカルディコット博士の意見から、ペクチンなどの吸着剤を否定しているようだ。そして、それを多くの人が拡散している。こういう状況に疑問を感じざるを得ない。

 アレクセイ・ヤブロコフ博士らの著書によると、投与試験でペクチン(ビタペクト)は体内のセシウム137の排出を促進させる効果があることが認められている。

チェルノブイリの放射性核種を除去する(チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト)

 ペクチンには生命維持に必要な微量元素まで除去してしまうというデメリットもあるが、これについても説明されていて、年4回の摂取を推奨している。

 だから、私はなぜバンダジェフスキー博士がベルラド研究所やペクチンについて否定的なのかという疑問をずっともっていた。この疑問を解消してくれたのが、以下のブログ記事だ。

バンダジェフスキー博士のペクチンへの見解について(追加記事あります。) (ベラルーシの部屋ブログ)

バンダジェフスキーとネステレンコ 決別の理由(ベラルーシの部屋ブログ)

 ペクチン製剤であるビタペクトを開発・製造しているベルラド研究所のネステレンコ博士とバンダジェフスキー博士は、以前は親友の仲であったが、服役後の就職をめぐって仲たがいしたと理解できる。ただし、バンダジェフスキー博士もペクチンの効果を全否定しているわけではない。仲たがいした経緯があるゆえに、ネステレンコ氏に批判的になっているように感じられる。

 上に紹介した記事にもあるように、経口摂取されたペクチンは消化管内でセシウムと結合して体外への排出を促進する効果があると言えるだろう。だから、汚染された食品から放射性物質を取り込んでいるなら、同時にペクチンを摂取することで消化管内のセシウムを速やかに排出できるだろうし、それによって血液などで運ばれて筋肉などに蓄積するセシウムの量を減らすことにつながるだろう。ならば、汚染されている食品を食べている人にとって、ペクチンは放射能対策になると言える。

 また、ペクチン以外で同じような効果をもつものもあるかもしれない。その一つの可能性は菌類だ。放射性物質を濃縮する性質のある菌類を摂取すれば、消化管内の放射性物質を濃縮して便とともに排出させることができるだろう。菌類に関しては、国立環境研究所の以下の研究事例がある。

微生物による環境汚染物質の濃縮 

 菌による放射性物質の濃縮を除染などに応用できる可能性はある。また、EM菌の中にそのような性質をもつ菌が含まれているならば、野呂美加さんが推奨しているEM菌による体内放射性物質の排出促進もデタラメとはいえない。ただし、私はEM菌にそのような性質の菌類が含まれているかどうかは知らない。

 もちろんペクチンや菌類が放射性物質の排出を促す効果があっても、あくまでもそれは消化管内においてのことだ。一度筋肉や骨などに蓄積してしまった放射性物質を取り除くことはできないだろう。そういう意味では、こうしたものは根本的被ばく対策にはならないというのも事実だと思う。

 ところで、ニセ科学批判の人たちはこのような放射能対策を全面的に否定している。自分たちで実験を行って放射性物質の吸着や濃縮が確認できないのなら否定するのも分かるが、何もせずに「効果はない」と断言するのはおかしなことだ。さらに安全側に偏っているニセ科学批判の人たちとは正反対のような木下氏までもが、カルディコット博士の発言に影響されて「放射能に効くものはない」と広めるのはいかがなものかと思う。

 「チェルノブイリの放射性核種を除去する」では「食品中の安定的な元素量を増やすことにより、放射性核種が体内に取り込まれるのを防ぐ。たとえば、カリウムやルビジウムはセシウムが体内に取り込まれるのを阻害し、カルシウムはストロンチウム(Sr)を、三価鉄はプルトニウム(Pu)の摂取を阻害する。」と書かれている。これは放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを防ぐために安定ヨウ素剤を飲むのと同じ論理だろう。

 だからサプリメントなど効果がない、という主張にも賛同できない。私自身はこうしたサプリメントや菌類をとりたてて推奨するつもりはない。その判断は個人個人がすることだと思う。しかし、「効果がない」「でたらめ」と断言するのなら、その根拠を具体的に示すべきだろう。

【関連記事】

菊池誠さんの野呂美加さん批判は科学的か? 

 再度、菊池誠さんの野呂美加さん批判とEM菌について

【11月24日追記】
 週刊金曜日の11月23日号に「ベラルーシ・ベルラド放射能安全研究所所長A・ネステレンコ博士が語る放射線被曝と『エートス・プロジェクト』」という記事が掲載されている。A・ネステレンコ氏は、ベルラド研究所を創設した故ワシリー・ネステレンコ博士のご子息で、ベルラド研究所の現所長。この記事でも、ペクチン剤を与えた子どもの内部被ばく量が減少したが、ペクチンを与えられず放置された子どもではセシウムの減少が見られなくなったと書かれている。

 カルディコット博士がどのような理由あるいは観点でペクチンが効かないといったのか不明だが、事実に反する発言だと思う。

【11月24日追記2】
 以下の記事でもチェルノブイリの教訓を活かしペクチンを摂取することを勧めている。

ミシェル・フェルネックス(WHOの独立のために)

 私は、汚染地域に住む人々は基本的に移住するのがベストだと思う。しかし、実際にはさまざまな理由で移住できない人もいるし、移住によるリスクやデメリットがあるのも事実だ。やむを得ず汚染地域に住んでいる人にとって、体内の放射性物質を減らす有効な対策があるならそれを取り入れるのは当然のことだと思う。

【11月26日追記】
 ペクチンがセシウムを体外に排出するメカニズムについては以下の記事に説明されている。この記事によると、ペクチンは消化管内のセシウムの排出を促進するだけではなく、腸粘膜から吸収されて血液によって内臓に運ばれ、内臓のセシウムと結合して尿として排出すると説明されている。

ペクチンが体内の放射能を排出するメカニズム(ベラルーシの部屋ブログ)

 以下はネステレンコ博士のペクチンに関する論文(PDF)

チェルノブイリ地区の放射性物質からの開放

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