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2012年7月 3日 (火)

加森観光のサホロ岳北斜面スキー場予定地にはナキウサギが生息!

 東京に行っていたために報告が遅くなってしまったが、自然保護団体が6月24日にスキー場開発が予定されているサホロ岳の北斜面でナキウサギの調査を行った。

 この日、サホロ岳は朝から霧に包まれていた。私たちは登山ガイドブックに出ているスキー場側の登山コースから現場に向かうべくサホロスキー場の駐車場に集まっていたのだが、そこに加森観光の職員が通りかかり「登山届」を出して欲しいと言う。登山届を書きに行くと、自然保護団体であることを察知した職員が上司に電話をかけ、「天気が悪いので入山の許可を出せない。狩勝峠の登山道から登って欲しい」と訳のわからないことを言いはじめた。どう考えても嫌がらせだ。

 そんなわけで狩勝峠の登山コースから現場に向かった。目的地の北斜面の岩塊地はサホロ岳の山頂を越えて少し下ったところだ。私は北斜面の岩塊地に行ったのは初めてだったが、ゴンドラの山頂駅のすぐ近くである。岩塊地はチシマザサに覆われているのでスキーコースから直接見えないのだが、ササを踏みわけるとすぐのところに岩塊斜面が現れる。一目見ただけで、ナキウサギが生息していそうな雰囲気が漂っている。

 この岩塊地を手分けしてナキウサギの痕跡がないかを探したのだが、すぐにあちこちで痕跡が見つかった。噛み切った植物が岩穴に運ばれていたり、まとまって地面に置かれていたり。明らかに動物が噛みきったものだし、こんなことをする動物はナキウサギしかいない。

 下の写真は噛み切って穴に運ばれた植物。

P10308561


P10308612


 大きな岩の下には古い貯食があった。

P10308673


 下は噛み切られたナナカマド。

P10308714


 この岩塊地は、複数のつがいが生息できる規模だ。サホロ岳周辺の岩塊地では過去に市民グループの調査によってナキウサギの貯食やフンが確認されていたのだが、今回生息痕跡が確認された北斜面の岩塊地はこの地域のナキウサギのコア的生息地と言えそうだ。

 かつてサホロ岳一帯のリゾート開発が行われた際、北斜面の開発は中止されたのだが、当時の事業者(西洋環境開発)はおそらくナキウサギの生息地の破壊を懸念したのだろう。このために、1992年の北海道環境影響評価条例に基づく狩勝高原サホロリゾート開発事業の環境影響評価について、知事は事業者に「エゾナキウサギについては、事業予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努力すること。」という付帯意見をつけた。

 この知事の付帯意見の通り、北斜面のスキーコース予定地に「ナキウサギの供給源となる生息地」が存在していたのである。

 ところが事業者である加森観光は、この「北斜面ガレ場」の調査を2009年7月2日に、また「北斜面コース沿いガレ場」の調査を2009年11月5、6日に行っただけで、生息の痕跡がなかったと結論づけた。

 自然保護団体が数時間の調査で多数の痕跡を確認した場所で、調査会社(森林環境リアライズ)が何ら痕跡を確認できなかったというのは信じがたい。調査者の目がよほどの節穴だったのか。しかも、たった3回ほどの調査で生息を否定してしまうのもあまりにも杜撰だ。私には、事業者はナキウサギが生息していることを知りながら隠蔽したとしか思えないのである。なぜなら、加森観光の調査報告書では、文献に記載されているサホロ岳北斜面のナキウサギの生息事実を隠蔽していたからだ。この隠蔽については新聞記事にも書かれたので、北海道も知っていただろう。

 ところが、北海道環境推進課は加森観光の報告書をそのまま認めて開発許可を出してしまった。北海道の特定開発行為の許可手続きは、事業者が嘘の報告書を出しても何ら見抜けない「ザル手続き」なのである。

 また、サホロ岳の開発に関しては「北海道自然環境等保全条例」に基づいて北海道特定開発行為審査会が2011年に3回開催されているのだが、この審査会では知事の付帯意見もナキウサギ生息地のことも委員に知らされていなかった。

 つまり、知事による特定開発行為の許可は手続きに重大な瑕疵がある。このために自然保護団体は北海道知事に対し6月29日付けで特定肺発行為の許可を取り消し、開発中止を求める要望書を送付した。

 自然破壊を招く大きな開発行為に際し、こんな杜撰なことが行われているのが現実なのだ。知事の付帯意見を無視し、ナキウサギの生息事実を隠蔽した報告書に基づいて出された許可は、取り消されて然るべきだ。

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コメント

道庁も自前で調査しないで、認可するとはまったく呆れたものですね。
それにしても加森観光は北斜面コースで
スキー客が増えると本気で考えているわけではないのかも知れません~?

飯嶋さん

北海道はサホロスキー場に隣接する加森観光の「ベア・マウンテン」の許可に際しても、柵に大きな空隙(ヒグマが楽に通り抜けられる大きさ)がある状態で許可を出していました。柵に問題がないか確認もせずに許可を出したのでしょう。信じがたいことですが、事実です。

北斜面にコースを新設したところで、それほどスキー客が増えるとは思えません。海外資本への売却を考えているのではないかと囁かれています。

そうでしたか
ベア・マウンテンなんていう、施設まで
できているんですね。ヒグマを見世物に
して、関心しませんが、柵に隙間があり
で、道が許可を出しているというのも
また、呆れますね。
やはり、裏がありそうですね。
海外資本への売却の囁きも、あながち
牽強付会ではないかも、ですね。

それにしても北斜面の開発は
やめてほしいですね。ガレ場だけ
残しても、ナキウサギが生息できない
可能性もあるしですね。

飯嶋さん

ベア・マウンテンの柵の空隙については以下に書いています。
http://voicejapan2.heteml.jp/janjan/area/0605/0605114219/1.php

サホロ岳北斜面のナキウサギの生息するガレ場は森林の中にあるのですが、ガレ場だけを残してもその一帯の木を切って環境を変えてしまったらナキウサギがいなくなってしまう可能性があります。ナキウサギの生息地を保全するためには、ガレ場の周囲も含め環境を変えるべきではありません。

ここの生息地は大雪山系と日高山系の中間にあり、両地域を結ぶ重要な生息地なのです。以下、毎日新聞の記事です。
http://mainichi.jp/feature/news/20131014k0000e040123000c.html

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