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2012年5月29日 (火)

3号機格納容器内爆発について隠蔽を続ける東電と政府(続報)

 昨日「3号機格納容器内爆発について隠蔽を続ける東電と政府」を書いたが、今日になってもういちど新聞に掲載された放出量を確認してみた。

 北海道新聞に掲載された「東京電力の試算による福島第一原発事故での大気中への放射性物質の推定放出量(12~20日の空間線量率が変動した期間の数値)」で示されている放出量は以下となっている(単位は万テラベクレル。新聞では時間帯ごとに区分けされているが、一日分を合計した)。

12日  1.1986 
13日  0.752 
14日  7.746 
15日  16.68 
16日  18.0 
18日  4.0 
19日  6.62 
20日  4.584 

 12日から19日までの放出量の合計は54.9966万テラベクレルになる。20日の4.584万テラベクレルを足すと59.5806万テラベクレルだ。12日から20日の放出量は90万テラベクレルの3分の2だ。では残りの30万ベクレルはいつどこから出たのだろうか? そう思って東京電力のHPを見たところ、報告書が掲載されていた。

福島第一原子力発電所の事故に伴う大気への放出量推定について 

 ここでは東電の推定量と他の機関による推定量、チェルノブイリ事故での放出量を比較した表が示されている。推定に関する詳細は以下の報告書に記載されている。

福島第一原子力発電所事故における放射性物質の大気中への放出量の推定について[報告書] 

 この報告書の9ページと10ページに12日から31日までの放出量が掲載されている。21日以降もヨウ素やセシウムが放出されているが、16日前後の値から比べたら多い量ではない。しかも20日および21日の放出は2号機からのものと推定している。

 東電の報告書によると、大気への放射性物質の放出量の測定について「本来では既設のモニタリングポスト、スタックモニタで大気中への放射性物質の放出を把握できるが、モニタリングポストについては地震により、スタックモニタについては津波に伴い電源が喪失したため、スタックモニタ等の機能が喪失した。そこで、発電所周辺にモニタリングカーを配置し、空間線量率や気象データ(風向、風速)等を測定し、放射性物質の放出状況の把握に努めた」としている。

 空間線量の測定場所については20ページに図示されている。関東方面に向かって風が吹いていた場合は原子炉の南側にあるMP-8あたりでの線量が重要になるのだが、20日以降のグラフに示されている空間線量は北側の「事務本館北」と西側の「正門」のものばかりである。これでは南側の線量は分からない。モニタリングカーは南側の線量を定期的に測定していなかったのだろうか?

 東電が推測に用いたデータは偏った不十分なものとしか思えない。これなら計算に使う放射線量をいくらでも恣意的に操作できるのではないだろうか。そもそも東電が計測した東電の敷地内の測定値を基に算出すること自体、信ぴょう性がない。

 東電はこの報告書において、岡田直樹さんの指摘している20日から21日にかけての3号機の格納容器内爆発と、21日に関東地方にまで到達した大量の放射性物質の放出を隠そうとしているとしか思えないのだ。

 また、東電は海洋(港湾付近)への放射性物質の放出量も推測している。

海洋(港湾付近)への放射性物質の放出量の推定結果について 

 海洋への放出量の推定にあたっては、福島第一原子力発電所の南北放水口付近で行った海水中の放射性物質濃度のモニタリングデータを元に、3月26日から9月30日までの間に1万8100テラベクレルが放出されたと推定している。しかし、これは空中への放出量のわずか2%でしかない。この数値を信じる人はどれ位いるだろうか?

 福島の事故では燃料の冷却のために大量の水が原子炉に注入され、もうれつに汚染された水がダダ漏れとなって地下に溜まった。循環式冷却装置ができる前はかなりの汚染水が海に流れこんだに違いない。しかも、循環冷却装置は冷却で生じる汚染水の全てを回収しているわけではないだろう。今でも地下に浸透した汚染水が海に流れこんでいるはずだ。

 このダダ漏れした放射性物質については報告書の1ページで「まだ、図2のように格納容器から放出された放射性物質のうち、大気に移行しないものとして、格納容器外から原子炉へ注水した水に随伴された放射性物質が、格納容器から漏えいし原子炉建屋内を経てタービン建屋に滞留するものがある(本報告書ではこの放射性物質の量は評価対象にしていない)。」と書かれている。建屋地下にダダ漏れした放射性物質の量について、東電は無視しているのだ。

 福島では燃料の冷却による汚染水が今でも発生している。この装置で取り除いた放射性物質の量はどれほどなのだろうか? 本来なら、これらも事故によって放出された放射性物質の量に加えなければならない。汚染水として大変な量の放射性物質が出され、今でも出続けていることを忘れてはならない。

 大量の汚染水の発生はチェルノブイリではなかったことだ。新聞記事では大気中への放出推定量である90万テラベクレルを持ち出してチェルノブイリの事故の放出量520万ベクレルの6分の1だとしているのだが、海洋に大量放出された放射性物質を無視してチェルノブイリの放出量と比較するのはあまりにも欺瞞に満ちている。

 今回の放出量の推定は、やはり事故の過小評価のためとしか思えない。

【5月31日追記】
 熊本の小野医師もこの問題で記事を書いているので参考にしていただきたい。

90万テラベクレルのウソ(院長の独り言)

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