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2012年4月16日 (月)

内部告発の意義

 元文芸社社員で文芸社についての告発ブログを書いている「クンちゃん」、そして不当な退職勧奨のことでクンちゃんに情報提供をしている日本文学館(=文芸社)社員の西瓜谷南瓜さんに対し、いろいろな嫌がらせがあるようだ。たとえばクンちゃんに対しては嫌がらせコメントやメッセージが送信されているようだし、西瓜谷南瓜さんにも嫌がらせがあるらしい。

日本文学館=文芸社の西瓜谷(すいかや)さんに退職勧奨!成り行きを詳報 

 誰が嫌がらせをするのだろうか? ひとつは会社側の人間、あるいは同業者だろう。都合が悪いことを暴露されるのだから、腹いせに告発者に嫌がらせをするというのは分かる。でも、嫌がらせをするのはおそらく会社側の人だけではないだろう。

 「クンちゃん」は文芸社の元社員、「西瓜谷南瓜」氏は社員という事実がある。だから、自分のやっている(いた)ことを棚にあげて告発することを批判したがる人もいるのだろう。著者の立場の人なのか、あるいは2ちゃんねるなどに集って著者を「カモ」呼ばわりしている人なのか分からないが、業界関係者以外の人でも告発者を批判する人がいるのではなかろうか。

 しかし、私は悪質会社の社員に対して恨みのようなものはあまり感じないし、批判する気持ちもない。なぜなら、一社員が自社の悪質な商法について何とかしたいと思ったところで、内部から会社の体質を変えることなどほとんど不可能だからだ。悪質商法を行っている会社の責任は、ほぼ100%経営陣にある。

 それに、悪質商法をしていると知って入社する社員もほとんどいないだろう。入社してみたら、なにやら「人を騙すようなことをやっている」と気づき、罪悪感にさいなまれる人も多いだろう。しかし、新入社員が上司に物申すなどまずできないに違いない。良心が咎める人は辞めるという選択肢しかないし、生活のことを考えるとそう簡単に辞めることができない人だって多いと思う。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というが、新風舎の場合は罪悪感すらなくなっている社員もいたらしい。

 そして、文芸社では会社を辞めるときには内部で知り得たことを口外しないという誓約書を書かされるのだ。だから良心の呵責に耐えかねて辞めた社員は、退職しても口をつぐむしかない。たしかに社員が悪質商法に加担したことは事実なのだが、しかし見方によっては彼らも被害者ではないだろうか。

 警察の不正にしても然り。警察官はほぼ全員が裏金づくりという犯罪行為をしている。警察という組織にいる以上、犯罪と知りながら裏金づくりに手を染めるしかない。頑として裏金づくりに手を染めなかったのは愛媛県警の元警察官で、現職で裏金告発をした仙波敏郎さんくらいだろう。その仙波さんだって、裏金づくりに加担はしなかったが警察の不正を知りながら警察官を続けていた。巨大組織の悪に対して、個人が闘うことなど所詮無理なのだ。

 しかし警察官の中には、いつか裏金を告発してやろうと考え、不正に加担して裏帳簿などの証拠を手に入れるという人もいる。そうでもしない限り、個人が巨大な組織を相手に告発するなど不可能だし、証拠がなければいとも簡単に潰されてしまう。悪と闘うためには、時としてそういう戦略や覚悟が必要なのだ。

 警察の裏金もそうだが、悪質商法を続けていれば、いつかは内部告発をする人が出てくるものだ。それが「クンちゃん」であり「西瓜谷南瓜」さんだ。だから、私は彼らが悪質商法に手を染めていたとしても、そのことを責める気持ちにはなれない。彼らが会社を辞めたなら別の社員が同じことをするだけで、会社の体質は何も変わりはしない。もし少しでも会社を変えることができるとしたなら、あるいは被害者を少なくすることができるとしたなら、事実を告発するしかない。

 そして告発にはものすごく大きなエネルギーが要るのだ。匿名で告発者に嫌がらせをしたり批判する人は、そんな覚悟もエネルギーも責任感もないのだろう。だからこそ内部告発者には頑張ってほしいとエールを送りたい。

 「クンちゃん」や「西瓜谷南瓜」氏に嫌がらせをしている人たちに言いたい。悪質商法の諸悪の根源は経営陣にこそあるのだ。告発者に嫌がらせをしたところで、悪質会社の経営者を喜ばせるだけだ。そのことをよく考えてほしい。

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コメント

>告発者に嫌がらせをしたところで、悪質会社の経営者を喜ばせるだけだ。そのことをよく考えてほしい。

同感!!
内部告発はどんどんすべし。

記事の一部を転載させて貰いました。
ありがとうございました。

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